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びゅりほでぃず(ブログ版) (16)

「結婚!?どうするつもりなの?」

まりやは驚いた。

「鏑木瑞穂ではなく、『宮小路瑞穂』が結婚するの。だから鏑木は安全という事。久石さんにも手を回して貰ってるから。鏑木瑞穂は海外留学することになってるわ」
「瑞穂さん、おめでとうございます。と言ってよろしいのかしら」
「小父様は納得してるの?」
「ええ、『娘の晴れ姿が見られるとは思わなかった。あと新郎を一発殴ってみたいんだがなー』と大喜び」
「あっちゃー。小父様はそういうバカ騒ぎ大好きだったわね」

「とりあえず、これで学院内の騒動は収まりますわね」

 紫苑はほっとした様に言う。恵泉女学院新聞部の連日のスクープ報道によって大騒ぎになっていたのが、結婚を前提におつきあいしているとなれば騒ぎも収束するだろう。

「で、結婚式はいつなの?」

まりやが尋ねた。

「卒業式の翌日を考えているのだけれど」
「それは、また急ですわね」
「ええ、でも恵泉の関係者。特に同級の人に来ていただくなら、卒業式の翌日くらいが良いかなって、拓美が言うの」
「おーおー、のろけですかい。いやー冬なのにあついわねー」

まりやが茶化す。

「ウェディングドレスなのですか?それとも白無垢文金高島田?」

 紫苑が目を燦めかせて瑞穂に尋ねる。女の子としては気になる所だろう。

「結婚式自体は、恵泉内のチャペルを使うことになってるのでウェディングドレスですよ。紫苑さん」
「まあ、それは素敵ですね」
「実はドレスは母様が使ったモノがあるのでそれを使うことにしているのです。サムシングオールド。サムシングブルー。サムシングニュー。サムシングボロウのうち古いもの、借り物はこれを使います」
「サムシングブルーはガーターベルトというのも相場みたいよね。瑞穂ちゃん、あんたこの間買ってたわね?」
「なんでまりやがわたしのクローゼットの中身に詳しいのよ!」
「ふっふーん。だって、この間タンスの中身チェックしたんだもの。そういえば彼氏とつきあい始めてからやたらに乙女ちっくな服が増えたわよねえ」
「もうっ、まりやのばか!」

 瑞穂は顔を真っ赤にしながらも、軽く怒っただけにとどめた。

そして、卒業式がやってきた。

『答辞、3年A組宮小路瑞穂』
 恵泉女学院の憧れの頂点にいるエルダーシスターたる役目はこの日に終わった。

「お姉さま、ご卒業おめでとうございます。ご結婚おめでとうございます」

 下級生達は悲しみの涙と感激の涙でもうくしゃくしゃになっている。全校生徒が結婚式には参加できないので、今ココで思いの丈をはき出す下級生が後を絶たない。

「わたしもお姉さまみたいに良い男性を見つけて結婚しますっ!」

勢いが付きすぎて、とんでもない宣言をし始める娘もいる始末。

「あは…うふふ。良い人を見つけてね」

 半ば唖然としていた瑞穂だが、優しく微笑み直すと下級生達に別れをつげた。

「今日は卒業式が終わったらカラオケよっ!瑞穂ちゃんの独身さよならパーティも兼ねて」
「カラオケ…ですか。緋紗子先生はマイク握ったら離さないタイプだって聞くけど大丈夫かしら?」
「今日の主役はわたしたちだけど、さらに主役は瑞穂さんですから大丈夫じゃないかしら?なれそめとかを根掘り葉掘り聞かせていただきますから」

 同級生達が瑞穂にプレッシャーを掛けまくる。

 カラオケボックスでは歌を歌う前に、瑞穂のなれそめの大質問大会になった。開正時代のおつきあいは男同士の部分が男女のおつきあいに聞こえるようにエピソードを選んだりして、話を進めた。
 一番盛り上がったのはキスシーン。そりゃもう拓美の言った甘々なセリフから、キスの角度や時間まで事細かく説明させられた。キスの話だけで盛り上がれるのは女子ならではの特権であろう。

「あ、そういえば瑞穂さん。婚約指輪見せて~」
 同級生がおねだりをする。卒業式は済んだので『お姉さま』は無しと頼んであったので、瑞穂さんに名称が改まっている。

「はい」

 瑞穂は左手の甲をみんなに見せるように手をあげると左手薬指にはきらりと輝くリングが見えた。

「拓美はまだ学生なので、安いプレーンのリングなの。でもわたしの大事な宝物なの」

 そう言うと、瑞穂はうっとりとした。

「うわー。あつい。あついですよ。だれかークーラー全開にしてー」

みんなが、祝福しながらもからかう。

「えーと、そろそろ歌良いかしら?」

 緋紗子がうずうずしながらマイクとリモコンを握りしめている。

「緋紗子センセーったらもうー」

 どっと笑いが起きる。

「まずは、てんとう虫のサンバと瀬戸の花嫁ね」

「センセー、おばちゃんな選曲ですよ~」

 そういいつつも、みんな瑞穂の為にお祝いの歌を歌った。卒業式打ち上げというよりは瑞穂の独身お別れパーティの様相を呈してきた。

「すいませーん。延長もう2時間おねがいしまーす!」

 みんなノリノリで瑞穂いじり。乙女の狂乱騒動は、とりあえずそれぞれの門限でお開きになった。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (15)

「ひゅ~。これはまた可愛い下着だな」
「下着って、なんだかおじさんくさいね。かわいらしくランジェリーって言ってよ」

 ぷくっとふくれる瑞穂。

「わかったよ。女の下着の呼び方はめんどくせーな」
「では、まず瑞穂の本当のおっぱいちゃんとご対面だな」

 そういうと拓美は瑞穂のフリルのいっぱいついた5/8カップブラをずりあげてパッドをあらわにした。

「すげえな。これ本物みたいだ」
「他の女の子の見てるんだ」

ちょっと瑞穂がすねてみる。

「違うよ。えっちな本で見てるだけだって」

 そういうとパッドをうまくとりはずすと、最近はこぶりではあるが育ってきた胸がぽろっと出てきた。
やさしく手のひらで包み込むようにして軽く揉んでみる。
ちゅっ。っと乳首にキスをした。
びくんっ!っと瑞穂が反応する。

「すごい性感帯になってるんだね」

 もう一方の乳首を指でくにゃくにゃと弄ばれる。

「あん♪ああ…ん♪」

 激しく感じているようで。乳首がぷくっと硬くなってきている。
カリッっと乳首を咬むと瑞穂は足の先をこわばらせる。

「よく揉むと、おっぱいは大きくなるんだっけな」

 そうつぶやきながら拓美は瑞穂の乳房(?)を弄んだ。
最近は紫苑やまりやに揉みしだかれているためか、AAカップくらいの大きさになっている。

「さてと、では、ご対面と行くか」

 拓美は瑞穂のショーツを膝までずりさげるた。

「これはこれは(笑)」

 そういうと、瑞穂を手のひらでなで回した。

「はぁああああん」

 瑞穂は快楽に身を任せた声しか出なくなっていた。

「さてと、今度はこっちが瑞穂を愛してあげなくちゃな」

くにくに。

「ひゃん!」

 瑞穂が反応した。

「瑞穂はかわいいなあ、ココがぴくぴくしてるよ」

「恥ずかしいこといわないでよ…」

 瑞穂は赤面しながら女の子の様に恥じらった。

「さぁてと。よくほぐれたからいただきましょうかね」

 そういうと、拓美は瑞穂の両足を持ち上げ、ショーツの掛かっている部分に頭を通し、膝を両肩にかけると、がっつりと進んだ。

「ひゃん」

 瑞穂の体がビクッと反応した。

「痛いか?」
「ううん、そんなこと無い。拓美は優しいもん」

 ぐっと押し込まれると瑞穂は少し苦悶の表情をした。

「痛くないところまで少しだけ戻してみるよ」

 にゅるーっと排出される快感に瑞穂がぴくんと動いた。

「なるほど。感じてるんだね。いやらしい娘だな。瑞穂は」
「そ…そんなことないよう」
「慣れるまで動かずに待っていようか」

 そういうと、挿入した状態でしばらく動くことをやめた。

「まだ痛い?」
「ううん、もう大丈夫」
「じゃあ、もう少し送り込んであげるから、息をはいて、力を抜くんだよ」
「うん」

 素直に返事をして、拓美に言われたとおりに実行する。
拓美のブレードは瑞穂の中に少しづつ送り込んまれていった。やがて拓美が根本まで挿入しきった。

「すげえ、柔らかくて、だけどキュンキュンしめつけられるよ」
「た…拓美…気持ちいい?」
「ああ、また行きそうだよ。瑞穂は…見ればわかるか。気持ちいいんだろ?」

「こんなになったのは生まれて初めて」

 瑞穂は折りたたまれるような窮屈な体勢になっているが、正常位では感じられないような拘束感と密着感に包まれた。

「じゃあ、ゆっくりと動かすからね」

にゅるっ。少し抜ける。

「あん♪」
じゅぽっ。少し入る。

「うんん」

にゅるっ。

「あん♪」

じゅぽっ。

「ふんん」

にゅるじゅぽにゅるじゅぽのサイクルがだんだん早くなっていった。

「あん…あんあんあん」

 喘ぐ瑞穂の唇を拓美の唇がふさぐ。上半身のゆったりさと異なり下半身における拓美の煽動はどんどん早くなってきている。浅く浅く深く。浅く浅く深く。という変速リズムが瑞穂を上り詰めさせる。
頭の上にまっすぐ伸びる瑞穂の足の指先がきゅっと丸まりながら、まっすぐに伸びて、絶頂を迎えた。それに合わせ、拓美もほとばしらせた。
 瑞穂の頭の中は真っ白になり、意識が完全に飛んた。拓美は瑞穂が絶頂を迎えた後も、優しく愛撫しつづけたので、だんだんと薄れていく絶頂感の代わりに幸福感で満たされた。
その日は、夕方に帰るまで7回戦にまで及んだ。まさに猿カップルである。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (14)

「あっ、わたしばっかり気持ちよくなって、拓美がまだ気持ちよくなってないよね。今度はわたしがしてあげる番だよ」

 瑞穂はそう言うと拓美のズボンのベルトを外し、トランクスごとずり下げた。

「うわっ!」

 瑞穂はそそり立つ拓美自身をまじまじと見つめた。

「何びっくりしてるんだよ、見たこと無いモノじゃないだろ?」

 拓美は笑って瑞穂を見つめた。

「だって、こんなにかちんかちんになってるのは無いよ」
「自分のは?」
「こんなに、ならないもん…」

 もちろん、大嘘。周りの女の子達の過剰なスキンシップで悶々とした夜を迎えたことが何度あった事か。でも他人のモノは当然無いし、ましてや自分を見てこんなになってるなんて言うのは皆無だった。瑞穂は、拓美のモノに頬を寄せた。

「熱いよ…」
「そりゃあ、瑞穂の乱れ姿見てこうなっちゃったんだ」

 それを聞いて、瑞穂は拓美のモノがとても愛おしく感じてきた。顔の前に掛かっている髪を手でぱらっと払うと、拓美に近づいた。
ちゅっ。
瑞穂は拓美の先端にキスをした。

「そんな、汚いよ」
「ううん、拓美のだもん。汚くなんかないよ」

 ぱくっ。瑞穂は口でくわえると、舌を転がすようにして先端の刺激をつづける。

「ふむぅ」

 拓美はあまりの刺激に少し腰が引けた。
瑞穂はちゅばちゅばと鈴口を吸い続ける。
爪を軽く立てるようにして、拓美のモノを、ハープをかき鳴らすように軽く刺激をする。
ピクっ。敏感な部分を掻き鳴らされる度に、拓美のソレは拓美の意志と無関係に蠢いた。

「自分のを触るのと全然ちがうね。気持ちいい?」
「うっ、人に触られるのは、予想外の動きをするから、き…気持ちがいいよ」

 硬直した怒張がさらに堅さを増す。

「むぐっ」

 瑞穂は亀頭のカリの部分から、竿の裏側の筋目に舌を這わせつつ、手は付け根の袋を触るか触らないかの軽いタッチで刺激する。

「ん。むう」

 拓美は快感を我慢しつつ声を出す。親友が自分のものを咥えてくれている。その背徳さは何とも言えないものであった。
一方瑞穂の方も、愛する人のおちんちんをしゃぶっているという感動からか、どんどんとテンションがあがっていく。
亀頭部分をしゃぶりながらも、右手で拓美の竿の根本をしっかりと往復運動をする。さらに左手では陰嚢を軽く刺激する。

そして少しづつ頭を前後に動かし全体に刺激を加える。
口を陰部に見立てた性戯である。拓美の息づかいはだんだん荒くなっていく。

「み…瑞穂。激しくやっていいか?」
「むん」

 口いっぱいにほおばりながら瑞穂が返事をした。
拓美は瑞穂の後頭部をがっちりと両手でホールドすると、思いっきり瑞穂の口内に突き立てる。
屹立が瑞穂の喉の奥にまで達する。瑞穂はえづきそうになるのを我慢して、喉の奥に屹立を受け入れる。
拓美は瑞穂の頭を自分に引き寄せるように動かす。
瑞穂の口が拓美の屹立を全て飲み込んでいた。のどの奥で屹立の先端を慰め、舌先で敏感な裏筋を慰め
唇で根本を慰める。愛する人の全てを慰めたいと思った。
やがて、拓美の根本の方で軽いけいれんのような挙動が起こった。
ぴゅる。ぴゅくっ!
瑞穂の咽喉に拓美のほとばしりが満たされていく。

「んぐっ!」

 瑞穂はそのほとばしりを喉の奥で受け止める。
ごくっ。ごくっ。白濁を飲み込む。
 堅さが抜けた拓美自身が瑞穂の口から引き抜かれようとするのを、瑞穂は追いかけた。

「あん♪全部綺麗にしてあげる」

 ちゅる。ちゅるちゅる。瑞穂はストローでシェイクアイスを吸い取るように、拓美のイチモツを吸い取る。

「ああ、気持ちよかったよ。瑞穂」

 拓美は感激をしている。

「うぇ、セーエキってしょっぱいね。うにゃ。喉の奥もいがいがするよ」
「うがいしてきなよ」
「ダメだよ。拓美の味なんだもん。じっくり味わうの」

 瑞穂は微笑んで言った。

「お前さ、こんなキャラだっけ?」
「開正時代と変わった?」
「うん、すげー女っぽくなってるのはさておいても、積極的になってる」
「あは、あはは。それはきっと学校での生活のせいかもね」

「ところでさ、俺のココ。また元気になっちゃってるんですけど…」
「くすくす。君は盛りのついたお猿さんですか?」
「そうだよ。むきーっ!それより、今度は瑞穂に入れたいな」

そういうと、拓美は瑞穂の服を脱がせ始めた。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (13)

 拓美は、瑞穂を再び抱き寄せると、胸を揉みしだき始めた。

「あんっ…」

 ぴくんっ。と瑞穂の体が軽くはねると同時に、甘い声を出した。

「へぇ、うれしいなあ。感じるんだ」

 拓美がうれしそうに笑った。

「もう、拓美のばか…」

 いつも紫苑に揉みしだかれている為、パッドの上から揉まれても感じてしまう身体に開発されてしまったとは、口がさけても言えない瑞穂であった。

「これ、本物じゃないんだろ?感じるの?」
「うん。でも本当の乳首とか触られるよりは、刺激は強くないのだけれどね」
「そうなんだ。かぷっ」

 返事を耳元でささやいた勢いで、拓美は瑞穂の右耳たぶを甘噛みした。

「!」

 瑞穂はさらにぴくっと反応した。

「初めての経験かな?今日は瑞穂のえっちな所、いっぱい触ってやるからな」
「や…ん。拓美にどんどん開発されちゃったら、わたしえっちな娘になっちゃうよう」
「いいじゃないか、俺だけの瑞穂なんだから。それとも、他の誰かにえっちされたいのかなぁ?」
「拓美のいじわるっ。そんなわけないじゃない!」

 そう言う軽口を叩きながら、拓美の右手は瑞穂のスカートの中に進入していた。膝上の部分をさわさわっと、優しく触れるか触れないか位の軽いタッチで往復する。

「う…ん。あ…ん」

 タッチセラピーという治療があるくらい、やさしいタッチは気持ちをリラックスさせてくれる。つまり拓美の愛撫によって、瑞穂はどんどん気持ちよくなっていったのである。
 さわさわという、ピアニッシモを弾くピアニストの様な繊細な指捌きが、瑞穂の太ももからだんだんと、秘密の花園へと進んでいく。瑞穂は握り締めた手の上側から自分の人差し指をくわえて、声を出さないように我慢した。

「我慢しなくてもいいんだよ。思いっきり甘えてごらん」

 拓美が瑞穂に囁く。拓美の息が耳にかかるたびに、瑞穂の快感はいや増していく。

「く…くぅん…はぁ」

 拓美の指がついに瑞穂の秘所に到達すると、瑞穂の声が変わった。

「瑞穂かわいいよ。こんなに硬くなって、もうとろとろじゃないか…」
「そんなことないよう…」

 息も絶え絶えになりながら瑞穂は答える。しかし、容赦なく拓美はくりっくりっと瑞穂の秘所を円を描くように刺激する。くちゅっくちゅっ。瑞穂のおつゆはショーツの秘所をしとどに濡らしていた、
すぅうううっと、寄せては返し、すぅうううっと返しては寄せる手の動きは、瑞穂の快感を満ち潮状態にしていく。

「は…はあああ」

 瑞穂の背が弓なりに曲がり始めた。

「本当に感じやすいんだね。遠慮しないでいっちゃっていいんだよ」

 拓美の指がだんだんと律動を速める。

「くううううん!」

 瑞穂が絶頂を迎えて、くたんとなり全身の力が抜けてしまった。

「瑞穂のイッた姿。すげえ可愛かったよ」

 そういうと瑞穂にちゅっと軽くキスをしつつ、手は秘所から離れ、再び体中を軽く撫でることに専念している。

「ねえ、拓美。どこでこんなテクニックを覚えたのよ」
「ふふっうれしいね。やきもち?」
「そんなんじゃないってば!」
「気持ちよかった?」

 意地悪そうに拓美が尋ねた。

「すごく、感じちゃった。もう、まりやなんかと段違い!好きな人にされるのって快感が倍増するってホントだよね」
「お、聞き捨てならないな。まりやってお前の親戚の子だったよな」
「あ…。あは。あははは。恵泉に転入したばっかりの頃に、『ココは女の子ばっかりで、抜かないと大変な事になっちゃうから、抜いてあげるわね』って無理矢理されたんだってば。後輩の娘も毒牙にかけてるような傍若無人でアクマみたいな人だから、犬に咬まれたと思ってあきらめてます」
「うわーひっでーなー、親戚なんだろ?って、そんなにすごいのか?」
「だってね、恵泉行く羽目になった張本人の一人なんだもん」
「なるほどねえ。でも、俺はそのまりやって娘に感謝だな」
「なんで?」
「だって、俺が瑞穂と愛し合えるようになったのって、間接的かもしれないけどその娘のおかげでもあるんだろ?」
「まあ…そうかも」
「俺は感謝するよ。あと瑞穂のじいさんにも」
「そうね。最初遺言を聞いた時には、何考えてるの?って驚いたのだけれどね」
「瑞穂のじいさんってさ、瑞穂のこと孫娘と思いこんでたんじゃないのか?」
「うーん、小さい頃は確かに女の子の格好をさせられていたけど、小学校までだから」
「うはっ、そのころの瑞穂に出会いたかったな」
「何言ってるの。中学の入学式のちょっと前だよ」
「あっ、そう言われてみればそうだよな」

 拓美と瑞穂は昔話に花を咲かせかけた。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (12)

 いそいそとデートに出かける瑞穂を寮生3人は玄関で見送った。
「お待たせ」

 瑞穂が待ち合わせ場所に行くと、拓美はやはり先に来ていた。

「い…や、来たば…っかり」

 そう言いながら、拓美は瑞穂を見てドキドキし始めた。やっぱりかわいい。色っぽい。女らしい…女…それいいのか?瑞穂は男… そうお逡巡するが、瑞穂の一挙手一投足に目が奪われる。

「な…なあ、公園に行ってみないか?」
「…うん」

 駅の南口にある大きい恩賜公園に歩いていく。ここは人気が少ないと言っても隣町のような危険さは少ないし、なにより恩賜公園であるため、それなりに警備もされているので暴行事件はおこりにくい安全な場所だった。

 やがて、公園の池のほとりに出ると二人はベンチに座る。拓美は瑞穂がすわる場所にハンカチをさっとひくという技も覚えた。

「ありがとう、ごめんなさい。こんなスカートじゃなくてもっとデニムみたいな気を遣わない素材のにすればよかった?」

「い…いや、すごい似合ってる」

「ね。ねえ。先週の事なんだけど」

瑞穂がもじもじしながら、拓美に聞いた。聞かれた方ももじもじしている。

「えっ…な…何かな?」
「た。拓美にキ…キスされたけど、わたしの事…す…好き?」

 瑞穂は真っ赤になりながら、拓美に尋ねた。

「お、おう。好きだ」
「友達として?」
「友達として…いや…違う…それ以上かも」

ドキンドキン、瑞穂の胸は高鳴った。

「ねえ、今日はわたしに付き合ってっ」

 さらに真っ赤になると、すっくと立ち上がり、ハンカチをたたんで拓美に渡しながら、そのままハンカチを間に挟んだまま拓美の手を引っ張った。

「お、おい」

 拓美が問いかけても瑞穂は無口だった。しょうがないので拓美も押し黙った。
 瑞穂はそのまま、拓美の手を取ると公園の外れにあるブティックホテルにやってきた。ボタンで部屋を決めるシステムのホテルなのでフロントには人が居ない。
 少女趣味っぽい部屋のボタンを押すと鍵が払い出し口から出てきた。それをつかむと、電光掲示板の指示に従って二人は部屋に入る。
入り口で靴を脱ぐ為に手を離した。拓美の手の中に残されたハンカチはどちらの汗のせいかは判らなかったがじっとりとしていた。
 靴を脱ぎ、バッグを置くと、瑞穂はいきなり拓美に抱きついた。

「わたしも、あなたの事が好き。大好きになっちゃったの。自分でもおかしいと思うのだけれどあなたのことが大好きなの!」

 瑞穂はそう言いきると、拓美にしなだれかかった。拓美は瑞穂を思いっきり抱きしめてそれに応えた。
 興奮のあまりした抱擁が済むと、二人はベッドサイドに腰掛けて話し出した。

「なあ、瑞穂。俺…お前の事が男だって判っているのに、いつもお前のことばっかり考えちまってるんだよ。くそっ!こんなんじゃ、俺おかしくなっちまうよ!」
「それはわたしだって、同じ…。毎日毎日女の子の格好して、女の子として振る舞って、女の子として生活してたから、女の子として拓美を好きになっちゃったんじゃないのかな?そう考えるとおかしくなっちゃって、自己嫌悪に陥ってた。なのに、身体は別のことを考えてる。拓美にギュッと抱きしめられた時のあの力強い腕のこと。拓美にキスをされた時のあの唇の熱い感覚。夜、布団に入ると身体が拓美の感触を思い出すのよ」
「それは、俺も同じだよ。瑞穂の甘い声。瑞穂の甘い唇。瑞穂のかわいい目。自分の部屋でお前のことを思い出すだけで、身体が熱くなるんだ。…瑞穂」

 そう言うと拓美は瑞穂を抱きしめた。ドキンドキン!瑞穂の心拍数が跳ね上がった。顔がかぁあああっと火照りだし、胸がキュンとして、なにか萌え出づるものが出てきたような気がした。

 瑞穂は拓美を見上げるように顔を上げ、そして何かを期待するかのように目を閉じた。拓美は瑞穂を抱き寄せると、最初は遠慮がちに、しかしだんだんと力強く口をむさぼるように吸い続けた。

『んちゅ。ん…ちゅぱ…ちゅぱ』
『むぐ…あ…んはぁ…くちゅ…ちゅば』

 拓美は瑞穂と舌を絡めてキスを続けた。拓美の舌が瑞穂の口の中で暴れまくる。歯の裏の付け根の敏感な部分を優しく舌先で愛撫されると、急に瑞穂は腰に力が入らなくなってへなへなと崩れ落ちそうになった。
拓美はそんな瑞穂の変化を見逃さずに瑞穂を抱きかかえた。

『はぁはぁはぁ』

 瑞穂は息が上がってきている。キスだけで気をやってしまいそうだった。拓美はやさしく瑞穂の髪に手をかけた。

「なあ、本当に俺なんかでいいのか?」
「俺なんかじゃない!拓美だからっ!ねえ、自分に自信を持ってよ。それともわたしが信用できない?」
「い…いや、うちの学校じゃ俺は女にはモテない君だったからなあ」
「あのね、わたしの…恵泉の先生がこう言ってたの。『男だから。女だから。で好きになるのじゃないのよ』って。『たまたま好きになった人が同性だった。』ただそれだけ」
「それって…」
「うん。その先生の体験談」
「ふはぁ。女子校の先生って、すげえな。そうか。俺が好きになった瑞穂は、男も女も関係ねえ、ただの瑞穂だもんな。その先生に感謝しなくちゃな」
「うん、拓美に抱きしめられて、思い出したのね。わたし何迷っていたんだろうね。開正にいたままだったら、きっと単なる良い友達で一生終わってたかもしれない」
「人が人を好きになるって、そんなに複雑なことじゃ無いんだな…」
「でも、その好きになる想いは、とてもとても大事なこと…」
「瑞穂…、俺はお前が欲しい。お前のすべてを」
「うれしい。わたしもあなたに…」

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びゅりほでぃず(ブログ版) (11)

 拓美とファーストキスしてから最初の金曜日。瑞穂は一人で、こっそりと駅ビルにあるランジェリーフロアへ足を運んでいた。まりや達と何度もランジェリーショップで自分用のランジェリーは買っているのであるが、それはあくまでカモフラージュの為。そう割り切っていた。だからいつも買うのは可愛いけれど、女子高生なら普段使いする程度のものばかりだった。
 だが今日のお目当てのランジェリーは、いわゆる「勝負下着」と呼ばれる類のレースとフリルがいっぱいのかなり透けているやつだ。
春に初めてみんなで買い物に行った時は、ランジェリーショップへ入ることなど思いもよらなかったし、拓美と再会した日もやはり恥ずかしさで逃げ出していたが、今は拓美の為にドレスアップするのだと考え、生まれて初めて真剣にランジェリーを選んだ。無意識に顔もほころんでしまっているのは愛のなせる技か。
 店員にデート用のものが欲しいと相談すると出てきたのは、ストレッチレースのカップにバラの刺繍がほどこされたうすいピンク(さくら色と言った方が雰囲気が出るかも)ブラとショーツのセット。ショーツはフロント部分にバラの刺繍が施されているが、残りはストレッチレースで肌触りもやさしいものだった。セットとおそろいのデザインのガーターベルトと、ストッキングもかわいらしいものであった。

「お客さま。ガーターベルトはお使いになったことはございますか?」

 店員が聞いてくる。

「あ、初めてなんですけれど何か?」
「ガーターベルトは、ショーツの下につけていただくのと、ガーターベルトをしてからストッキングを着けてくださいね。ストッキングを着けたままにすると、スナップ部分で伸びてしまったりほつれたりいたしますので。あとこちらのガーターベルトはブラジャーと同じ金属のフックになってますので、引っかけないように気をつけてくださいね」
「へえ。そうなのですか」
「デート。うまくいくといいわね」

 そういうと店員さんは瑞穂にウィンクした。お茶目なお姉さんであった。

 次に向かったのはアクセサリーショップ。リップやファンデはまりやが用意してくれたものがあるので基本的にコスメは困らないのだが、アクセサリーは持っていなかった。
学内では不必要なものであるし、女の子同士で出かけるときも着飾ることはあまりなかったから。かわいい花のデザインのイヤリングとチョーカー、乙女チックなりぼんのついたバレッタを買った。

 最後に向かったのが靴屋さん。学院の制靴はローファーシューズ。外出用にローヒールのパンプスを持っているが、やはり、ハイヒールな女性らしい靴が欲しい。拓美が183センチ、瑞穂が173センチだから8センチヒールくらいでちょうど良いかなと思った。
 瑞穂が選んだのは淡い赤色のアンクルでストラップがついているお嬢様っぽいエナメルのハイヒールだった。ヒールの高い靴は履いたことがなかったので、慣れるまで部屋の中で歩く練習をする事になったのはご愛敬。

「はあ。女の子って大変なのね」

 そう実感する瑞穂だった。

 朝、起きると気分はバラ色。嗚呼、薔薇色の人生という感じに輝いていた。歯を磨き、シャワーで上から下まで綺麗にしてから、胸パッドを装着した後に、ブラから着けた。桜色のブラはとてもかわいい雰囲気を醸し出している。
そしてガーターベルトを締める。瑞穂の買ったガーターベルトはブラジャーと同じ作りの留め金が付いているので付け方はすぐにわかった。椅子に片足をかけ、ストッキングをはいていく。ストッキングはガーターベルトのつり下がっているヒモの先にあるスライド式の留め金にはさむ。ぱちんぱちんと前後左右の留め金を留めたら、ヒモの長さを調整する。
ぴったりのサイズに調整するとガーターベルトはウェストからヒップにかけてのなだらかなラインの場所に止まる。最後にショーツをはいて、綺麗に納めるとエロティックだがかわいいランジェリーに身を包んだ少女が現れた。

「パンストと違って、ちょっと心許ないかな」

 そう独りごちる。フリルの付いた白いコットンブラウスにピンクのボレロ。装飾過多ではなく、ささやかなリボンの付いピンク色の膝上丈のスカート。あまり短いとガーターベルトとストッキングが見えてしまうのでやや長めのものを選んだ。
 ドレッサーに座るとメイクを始めた。まずは髪をとかして、メイクの時に髪がじゃまにならないようにバレッタで軽く髪をまとめる。あとはヘアピンとカチューシャで髪をあげてメイクを始めた。
 瑞穂は恵泉に入ってからメイクをするようになった。それはもちろん本来男性であるので、より女性らしく見えるようにするカモフラージュの為。
 だが、今日は違う。いつもより気合いが入る。大好きな人のために装い、綺麗にするのである。女性も普段はこぎれいにする為にメイクするが、そでれもやっぱりデートの前には気合いが入る。(たまに気合いが入りすぎてど派手になる娘も。)
 幸いな事に瑞穂にはむだ毛がほとんど無く肌理細かい肌の持ち主であったために、ほとんど普通の女性と変わらないメイクで済んでいる。高校生という年齢もあるのでアイシャドーとか派手派手しいモノは使わないが、明るいオークルのファンデを塗り、パウダーを載せ、ちょっぴりピンク色のチークをさすとよりかわいらしい顔つきになった。まりやの指導の賜物である。この時ばかりはまりやに感謝した。
 リップを唇に乗せ、にりにりと唇をこすりあわせてなじませる。最後にティッシュを軽く咥え、余分なリップを落とした。ヘアピンとカチューシャを外して、髪を整える。

 花をモチーフとしたイヤリングとチョーカーを着け、左手には華奢なデザインのブレスレット型の腕時計をした。ショルダータイプのエナメルのハンドバッグを取ると、姿見の前でくるっと回ってみる。ふわっとスカートが軽く広がった。

「ん~。完璧♪」

 軽い朝食を取るために食堂に降りる。

「おはようございます。おね… うわー。すごく素敵です」

 由佳里ちゃんに感激された。奏ちゃんも大喜びだったが、まりやだけは、にしゃにしゃと悪巧みでもしているように笑っていた。
 軽くサラダを食べる終わると、瑞穂はメイク直しを始めた。

「いやー、随分、乙女になってきたねー、瑞穂ちゃん」
「ほんとっ(ぽっ)!?」
「いや。そこは反応違うから」

 まりやがからかうも、今日のデートで浮かれきっている瑞穂には何を言っても無駄だった。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (10)

「瑞穂は男。瑞穂は男」

 瑞穂と会う度に呪文のように瑞穂の性別を心の中で再確認をしてきた。だが、今日の瑞穂は拓美の心の防波堤をぶち破った。
かわいいセーターにかわいいスカート。しかも自分の腕によりかかってくれてる。
(これは行くと事まで行っちゃってもおっけーなのか?開正時代にはこんなんじゃなかったハズじゃないか。
俺は恋愛はノーマルだったハズだよな。でも見た目はノーマルカップルなんだよな。ごくっ。俺ヘンだ。瑞穂が欲しい。瑞穂を抱きしめたい。瑞穂にキスしたい。瑞穂に触れていたい。瑞穂を喜ばせたい。瑞穂の笑顔が見たい。うおおおおお、どうしちゃったんだ俺。ってどっかのコマーシャルみたいに手のうちのカードを見てみたら「告白」「告白」「告白」なんじゃこりゃー!ってかんじじゃあー。いかん、もう一度「瑞穂は男。瑞穂は男」)

ついに拓美の固い意志が決壊するときがやってきた。
ショッピングの後に映画を見に行った。こてこてのラブロマンス。拓美一人なら絶対見に行かないような作品だ。瑞穂は、最近女子寮で見る作品は恋愛物オンリーになってきているので、特に気にせずにチョイスした作品だった。

「なんか、映画館で恋愛映画なんか見るの初めてだよなー」
「いつも見に行くのはアクション映画かコメディばっかりだったよね」
「くううー、恋愛って良いなぁ」
「うん。いいよねえ」

 気分が盛り上がったままの帰り道、瑞穂がさりげなく言った一言に過剰反応してしまったのだ。

「わたしも、燃えるような恋愛したいな」

 その瞬間、拓美は瑞穂を抱きしめてキスをしていた。

「あ…」

 瑞穂は最初こそ驚いたが途中から目を閉じて拓美のキスを受け入れた。
やがて拓美は己の行動に気がついたのか、はっとして瑞穂の唇から自分の唇を離して、あわてて謝った。

「す…すまん。そんなつもりじゃ…」

 瑞穂は自分の唇に指を当て感触を再確認している。暫くして瑞穂は自分の心臓の鼓動が高鳴っている事に気がついた。

「ううん。拓美のは嫌じゃないよ」

 ちょっと赤面しながら、瑞穂は拓美に言った。

「あ…のさ。また来週…あえるかな?」
「あ…ああ。いいの?」
「うん。どうして聞き返すの?」
「いや、こんなことしちゃって嫌われたかと思った」
「なんで拓美のこと嫌うのよ」
「あ…ああ、また来週」

 どぎまぎしながらも拓美はOKした。OKを貰うと瑞穂は何故かダッシュで帰ってしまった。

(た…拓美とキスしちゃったよう~。きゃー、恥ずかしいけどなんか嬉しい。ってわたし、恋する乙女モードに入っちゃってるの~!? いや~ん。でへへへへ)
瑞穂の頭の中はピンク色に染まり上がっていた。

一方の拓美は。
(どうちしまったんだ俺。「瑞穂は男。瑞穂は男」そう思ってたじゃないか! 俺はホモじゃねーぞー!くそっ!)

「お、おかえり、瑞穂ちゃん。どうしたの嬉しそうだけど。なんか良いこと有ったんだ」

まりやが顔をにしゃにしゃして聞いてきた。

「えへへ。わかる?」
「おーおー、色恋沙汰?」
「え、なんでわかるの!?」
「瑞穂ちゃん、分かり易すぎだもん。で、何があったか白状なさい」
「ええとね、キスしちゃった♪」
「ほほう、誰と?」
「拓美にきまってるじゃない!」
「ふーん。おめでとう。にひひひひひ」

「おーい、由佳里~、奏ちゃ~ん。いいものを聞かせてあげるから食堂へおいで~」
こうして、瑞穂は今日のデートの顛末を根掘り葉掘り、洗いざらい聞き出された。とろけきった瑞穂を目の前にして、寮生は唖然とするばかりだった。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (9)

拓美と約束した土曜日、瑞穂はうきうきする半面心落ち着かなかった。
(わたしは男の子。拓美を意識しちゃってどうするの?異性としてって…拓美は男だからわたしが女じゃなくってええと、やっぱり同性愛?いやだわたしは普通に女の子に悶々とさせられてたから男の子だよね。最近まりやにどーじんそくばいかいっていうのに連れていかれて『渡良瀬さん』という女装の主人公が男女問わずやりまくるという本を一緒に買わされて、帰りのファミレスで『ホモの嫌いな女子はいませんっ!』って
力説されたし…ええとこう言う場合は拓美×瑞穂? ぶはっ自分でなんか想像しちゃった。
なんかキスシーンでバックに花びら散ってるし。瑞穂愛してるよ… ええ、拓美。わたしもよって。
ああああ、これじゃあタダのヘンタイさんだよう。)
一人妄想の暴走列車、シベリア超特急な瑞穂であった。
傍からみると一人で顔を赤くしたりもじもじししたり『いやーん』なんて言いながら体をくねくねさせたり。どこかぶっこわれていた。

「ま…まりやお姉さま? お姉さまどうされちゃったのでしょうか?」
「にははは、面白いからほおっておこう」

待ち合わせ場所に来ると拓美はすでに待っていた。瑞穂を見つけると嬉しそうに手を振ったがすぐに気恥ずかしそうに手を下した。

「お待たせ」
「い…いやぁいまきた所」
「今日ど…どこいくの?」
「軽くショッピングでもどうかなー、なーんて あはは…」
「いいよ、何買うの」
「ええと、なんにしようかなあ」

拓美は自爆した。

「変な拓美」
「えええとー、おれが瑞穂の服をみたててってのは、どうだあ?」

「へ?」
「いや、えっと。なんだその。もっとかわいらしい瑞穂が見てみたいんだ」

顔を真っ赤にしながら告白ターイムっなってしまってるのに気がつかない二人。

「えと。い…いいよ」
「ほんとかっ。じゃあ行こう、今いこう。すぐ行こう、瞬く間に行こう、たちどころに行こう、あっという間に行こうっ!」

瑞穂はあっけにとられながらも、拓美に連れられて洋服屋を目指した。

「やっぱり、婦人服…だよね…」
「かわいい瑞穂が見たいんだってば」
「あの~拓美さん?」

頼まれると嫌とは言えない性格が災いしてか、小悪魔きゅーと系とお嬢様系のお店であれこれ試着した。瑞穂に黄色いルーズネックのセーターにリボンのかわいいシフォン生地のスカートを買うとそのまま着替えさせた。

まりやたちと来る買い物も決して嫌ではなかったが、拓美とすると何故か浮き浮きする。

あなたが隣に居るだけで。

今日の瑞穂は、拓美の手ではなく腕に手を絡めてもじもじしながら買い物をこなした。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (8)

一方、拓美の方も女性にはモテない君と自称したくらいで女の子とのお付き合いは全くない。
男同士で遊びに行くだけと思っていた瑞穂との交友だったが、隣にいる瑞穂からはどんどん女の子っぽい仕草や女の子っぽいしゃべり方を繰り出され、免疫がない女の子らしい雰囲気にノックアウト寸前であった。

拓美も健全な高校生男子であるわけで、瑞穂の事を思い出しては下半身がもやもやしてきていた。

「瑞穂は男。瑞穂は男」

そう念仏を唱えるようになってきた拓美の表情は修行僧のよう。

「最近、何悩んでるんだよ。女関係か?それとも進学関係か?」

同級生にひやかされる。

「お…女関係なのかな」

しどろもどろに答える。

同級生には言えない秘密だよな。と思った。瑞穂が女だったら、こんなに悩まなくても済むのに…。

「拓美ちゃ~ん、元気だしなよぉ。振られたら骨だけは拾ってあげるからさ~」

同級生達は気楽に言った。

「そういえば、お前らさ鏑木の事覚えてるか」
「ああ、おねーちゃんか」
「やだ~、なにそれー」
「いや、女顔だったし、髪の毛は校則違反めいっぱいだけど、成績優秀で学校側黙らせちゃったって武勇? 伝は有名だったからなー」
「今頃さ、なにしてるんだろうな。なんかばたばたと転校してったけど」
「でもさー、今頃シンガポールあたりに行って、ニューハーフになってたりしてなー。『うふふ。あたし、きれい?』ってやってたりなー」
「ちょっとそれは言い過ぎだぞ」
「す…すまん菅野。お前鏑木と仲良かったからな。一時期出来てるとか噂されて、噂ばらまいたヤツをタコ殴りにしてたの忘れてた」
「でも、何してるんだろうねえ。金持ちの考えはわからんなー」
「あー、でもあいつ自身はえれー、びんぼくさかったけどな。昼飯は焼きそばパン1個と缶コーヒーだけとかさ」
「あんまり食べないから、あのウェストなのかしらねえ。うらやましいわねぇ」
「スカート似合うヒップだったわね。男で残念。というか女だったら嫉妬しちゃうかもね」
「あんまりしゃべらない地味なやつだったなあ」
「うん、それは120%認めるけどね」

まあ、鏑木瑞穂という存在は、派手ではないがそれなりに覚えられてはいたようだった。

毎夜毎夜、拓美は邪な夢を見るようになってきた。

「拓美…」

そういう瑞穂はシースルーのナイティ(寝間着)を着ている。胸もばよーんとあり(モデルは拓美が良く見ていたAVのおねえさん)ベッドに寝ている拓美に馬乗りになるように近づいてきては甘いキスをしてきた。

「ねぇ。えっちしよ…」

そういうと瑞穂はするすると拓美のかぶっていた布団の中に潜り込んできては胸を拓美の身体にすりつけた。

「おっぱい、大好きでしょ?知ってるんだゾ。えっちなビデオみて喜んでいるの」

マシュマロのような柔らかい胸がむにょむにょと拓美に押しつけられる。

「ねぇ、わたしのおっぱいじゃ興奮してくれないのかなぁ?」

そういうと瑞穂はさらに身体を密着してきた。拓美はシャツとトランクスで寝るので瑞穂の肌の感触がダイレクトに伝わる。

瑞穂が拓美の足に両足を絡めてきた。じっとりとした湿り気が瑞穂の足の付け根から拓美のふとももに伝わる。

プレスキスからフレンチキスへ。

「わたしとしたい?」
「ああ、瑞穂としたい」

そして、ごちそうさま♪

そこで目が覚める。トランクスの中が青臭い匂いが充満し、布地には白くにゅるっとしたほとばしりがついていた。

「やっちまった。俺って最低だ。…瑞穂、ごめんっ!」

こんなところまで、妙に律儀な拓美であった。

「瑞穂は男。瑞穂は男っ!」

朝のさわやかな景色の中で、煩悩の叫びがこだました。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (7)

次の週、瑞穂たちは隣町の駅ビルに一緒に出かけた。二人で行けば安心だと言う考えも有ってのことだ。

「へぇ。こういうお店には、入ったこと無いな」

拓美が感心しているのは、以前来たときにまりやが散々くさしていたセレクトショップだった。

「同じような商品が並んでいるのにお店によって雰囲気が違うから面白いよ」
「ホントだね。これなんか瑞穂に似合いそうだよ」
「うー、本当は似合っても困るんだけどなあ」

ぷっくりとほっぺたをふくらまして瑞穂は抗議した。

「あ…ああ、そうだったな。いや、すまん」

毎週拓美と遊びに行くのが学院内で噂になり、学院新聞などで尾ひれの付いたとんでもない話になっていたが、実際は微笑ましい高校生同士の幼いデートのようなものだった。瑞穂は元々友達という認識で拓美と付き合っていたし、拓美にしても瑞穂は男だと思っているから、不純異性交遊などという話はあり得ない。(不純同性交遊というのであれば大いにあり得る話だが)

「ねえ、瑞穂ちゃん。あんた男と付き合ってるってホント?一体どういう事なの?」

まりやが昼食を食べに移動しようとした時に、小さい声で瑞穂を問い詰めてきた。

「恋人なんかじゃないですよ。開正時代のクラスメートですから」
「それにしては、噂になるのが早いじゃない」
「私に言われても、それはわからないのだけれど…」
「おめかしして行ったの?」
「まさか。昔の友達に会うのにそんなことおめかしなんかしてないわ。タートルネックのセーターにパンツ、スニーカー。普通でしょ?」
「寮に帰ったらじっくりとお話をうかがいましょうかね。私がしりたいのは事実なの。真実じゃなくてね」

夕方、寮ではなんと瑞穂の親しい友人たちが十数人、食堂に詰めかけていた。

「で、本当の所は一体どうなってるのよ?」

みんなが聞きたがっている所をまりやが、単刀直入に切り出した。

「本当も何も、この間隣町の駅ビルに買い物に寮のみんなで行ったわよね? 用事があるので途中で抜けたのよ。用事の帰りに不良に絡まれてしまったんですけれど、たまたま居合わせた開正時代のクラスメートが助けてくれたの。これでいい?」

「ふっ…不良にからまれたですかっ!どうしておっしゃってくれなかったのですか!もう。あの時のような想いはしたくありませんのに」
「ごめんなさい。貴子さん」
「お姉さまっ。今回も無事だったから良いような物ですが、お怪我をなさったら困ります」
「もう、こんな事はしませんから」

瑞穂は平身低頭あやまって、この話はそこで終わった。結局、みんなからはそのクラスメートの事を根掘り葉掘りたずねられた。
名前は菅野拓美。身長183のハンサムな事。何よりも紳士でやさしい事。本当は男同士の話なのだが、男女間の話に聞こえるようなエピソードが並べられると、拓美のファンが10人ほど増えた。

「ふうー。みんなどうして拓美とわたしをくっつけたがるのかしら」ベッドの中で瑞穂はぼそりとつぶやく。
「お姉さま、お姉さま~、お姉さまも幸穂お姉さまと同様に男性の元に走ってしまわれるのですね。やっぱりこんなへっぽこ幽霊三等兵との薔薇色の百合生活よりも男の方のたくましい身体に抱かれる方が素敵なんだわ。わーん。ってこの場合男性の元で愛される方が薔薇なわけだから、こっちの方がやっぱり薔薇色なの?」
「一子ちゃん、ちょっと落ち着いて頂戴な、知っての通り拓美は、ただのお友達」
「開正時代はどうだったのですか?」
「んー、とても気がつく人だったわね。開正時代のわたしって、人付き合いが下手だったのだけれど彼はわたしにいろいろと話しかけてくれたりしたわね。『瑞穂、一緒にご飯食べようぜ』「瑞穂、映画見に行かないか』『瑞穂、元気出せよ』『瑞穂、がんばろうぜ』って」
「あはは、お姉さま。それ恋人同士の会話ですよ」
「え…そうかな。うーん。」
「あ、落ち込まないでくださいよ」
「彼、とってもいいヤツなのよね」

そう、一子に自慢している様子は、もはや彼氏自慢のおのろけにしか聞こえないのだが、良く気が利く一子は黙っていようと心に決めた。

「お姉さま?拓美さんの事お好きなのですか」
「うん、大好きな人だよ。もちろんまりやも紫苑さんも一子ちゃんも奏ちゃんもだけどね」

その晩、瑞穂は新婚夫婦になった夢をみた。もちろん瑞穂は新妻だった。
台所でエプロンを着け、かいがいしく朝食の準備をする。ベッドルームに行って旦那さまをゆっくりと起こす。

「あなた~。起きて頂戴~。朝ご飯よ~」
「ん、おはようのキスは?」
「もー、あまえんぼさんなんだから。ちゅっ」
「朝ご飯は瑞穂がいいなあ」
「朝からえっちねっ!もう、いそがないと遅刻しちゃうわよ」

瑞穂のおしりに旦那の手が伸びる。ゆっくりと誘うようになでまわすと、腰に手を回し自らの方に引き寄せる。
もう一度ディープキスをした…

…ところで目が覚めた。

「え?何?今の夢…お…く…さ…ん?えええええええええっなんじゃそりゃー!」
瑞穂は自分の夢を思い出して赤面した。それもそのはず、あまあまな新婚生活の相手は拓美で、自分はあろう事か奥さん役。

「僕って、男だったよね…?」

がっくりと落ち込みながら胸と股間を確認してみる瑞穂。だれかが見たらとてもえっちぃと思う状況だったりするわけだけど、それはさておき。

なにか悶々とする瑞穂であった。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (6)

 お気に入りになったにゃんこの着ぐるみパジャマに着替えて、ベッドに潜り込むと、思い出すのは今日の出来事。自分は男で、陵辱されることは無いはずだと判っていても恐怖体験が思い出された。
颯爽と現れた白馬の騎士。白馬には乗ってなかったし、騎士でもないけれど、拓美が助けに来てくれたという事を必ず思い出すことにして、恐怖を打ち消した。
そして最後には拓美が抱きしめて安心させてくれた事を思い起こして安心をした。

「拓美が居てくれて、よかった」

そう、ひとりごちるとようやく落ち着いて眠る事が出来た。

土曜日、瑞穂はタートルネックのセーターにジーンズ、パンツルックとスニーカーというユニセックス風のいでたちで出かけた。ハンドバッグを持って行ったのは、パンツのポケットにモノを入れる習慣を止めてしまっていたから。

「お待たせ…しちゃった?」

 待ち合わせの時間よりもうんと早い時間に来たのに、すでに拓美は待ち合わせ場所にいた。

「いや、今きたところ」

 こんな事を言っているけれども、本当は瑞穂よりもずっと早くきていたに違いない。拓美は瑞穂の事が心配でしようがないのだから。

「今日は遊園地で思いっきり遊ぼうな」

 拓美は駅の方に行こうとした。拓美の横に並んだ瑞穂は、すっと拓美と手を繋いだ。いつも紫苑と一緒に歩く時に手をつなぐので、本当に無意識に手が伸びたのだ。
 拓美は慣れていない為にドキリとしたが、瑞穂は気にせずニコニコと話しかけてきた。

「遊園地なんて、久しぶりだから楽しみだよ~」
「あ…ああ」
「うちは父様が忙しかったので、遊園地に家族みんなで行った記憶がないよ、母様も病弱だったから」
「そうか…」
「どうしたの?顔が赤いけど?」

 瑞穂は身長の差から、上目遣いで拓美をみつめつつ尋ねた。

「い、いや。なんでもないよ」
「ふーん、変な拓美」

 くすっと、瑞穂が笑った。その笑顔を見て、拓美の胸の奥で何かがコトリと動き始めた。

「電車の切符買ってくるね」

 そういうと、瑞穂は拓美から手を離し、切符売り場へ向かった。拓美は自分の手のひらを見つめ、瑞穂の温もりを反芻した。
 電車に乗るとシートはほぼ満席で、拓美は瑞穂に席を勧めて自分は立っていた。

「一緒に立っててもいいのに」

と瑞穂が抗議しても、いいからと言って座らせた。一緒に立っていては、瑞穂が自然と手をつないでしまうから、拓美はそれに対応しかねていたのである、
 次の駅でおばあさんが乗ってきたので、瑞穂は拓美に目配せしておばあさんを瑞穂の席へと導かせた。席を譲ると瑞穂は左手でつり革に掴まりながら、やはり、何の気なしに右手で拓美の空いている左手をつかんだ。

「あら、お嬢さんありがとう。あなたたち恋人同士なの?いいわね、初々しいカップルで」

 おばあさんはお礼をいいながら、瑞穂と拓美に声をかけてきた。

「い…いえ、単に学校の同級生なだけですよ」

そう、拓美が否定する。それを聞いた瑞穂の胸の奥で何かがちくりとした。

「あら?そう。それでも仲が良いのね」

「ええ、そうなんです」

 瑞穂はちょっとムキになって親密さをアピールしてみた。自分が一体何に焦っているのか瑞穂にはまったく判らなかったのだけれど。 
 一方の拓美は拓美で、否定した瞬間に、やはり心の奥で何かちくりとした。

「ふー、今日は楽しかったね」

 帰りの電車の中で瑞穂が満足そうに言った。隣同士で座っているので、顔が近い。拓美は瑞穂の顔を間近で見ていた。開正時代には気がつかなかったが、瑞穂のまつげは長く、目はぱっちり。ほっぺたから顎にかけて、髭などこれっぽちもなくつるつる。何よりもなまめかしく感じる唇は、やわらかそうに輝いていた。

「み…瑞穂って、意外にこわがりなんだな、キャーキャー言ってさ」
「こわがりというよりジェットコースターの類が苦手なだけです。」

 拓美は当たり障りの無い話題を振ってみてから、本題に入った。

「ご飯でも食べていこうか」
「ラーメン?」
「そういえば、瑞穂は開正の時も良くラーメン食ってたな」
「学院の食堂には汁物のメニューが一切ないし、寮も基本は英国式洋食だから、ラーメンが恋しくて」
「さすがは、お嬢様学校だな」
「生まれてこの方ラーメンを一度も食べた事ないって言うお嬢様も居るしね」
「へぇ。それはすごいな」
「じゃあ、おいしいラーメン屋さんに行こ」
「もしかして、行きつけとか」
「えへへ。バレた?」

「へい、いらっしゃーい」
「おじさん、こんにちわー」
「お、お嬢ちゃん。今日は彼氏とデートかい」
「うん、そんな感じだよ」
「よっしゃー、今日は記念におまけしちゃうよ」
「じゃあ、いつものラーメンね」
「ほい。そこの彼氏は?ニンニク入りチャーシュー麺で精でもつけるかい?」
「もう、おじさんったら」
「あはははー、お嬢様学校の娘さんには向かないネタだったね」

 店の店主とおしゃべりを弾ませる瑞穂を見て、拓美の心から平安が消えかかった。

「…えっと、ニンニク抜きのチャーシュー麺でお願いします」
「はいよっ」
「ここのラーメンはね。本当においしいから」
「たしかに、良いにおいが漂っててお腹が鳴るよね」
「ほいっ。ラーメンお待ちっ。チャーシューおまけしたからね。こっちの彼氏は大盛りな。がっつり喰わねーと女の子にサービスできねーぞ。ってデート中に言う台詞じゃないね。わりいねっ」

 二人は熱々のラーメンをちゅるちゅるとすする。

「やっぱりラーメンはいいよね。人類が生み出した文化の極みだよね」

 ラーメンを食べ終わると、満足そうに瑞穂は言った。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (5)

「おいっ。君、大丈夫かい?え… お前瑞穂… 鏑木瑞穂か?」

 瑞穂を助けた男の子は菅野 拓美。開正中等部からの瑞穂の親友だった男だ。お互い女っぽい名前だということで息投合したが、拓美は名前に似合わず漢らしい好青年であった。現に今でも、見知らぬ女の子(と思っていた)瑞穂を助けようとしたほどだ。
 今の瑞穂の胸には接着剤でしっかりとニセ胸が付いているので、ボタンが引きちぎられブラジャーがずり上げられた胸元には、かわいらしい乳首がついた双丘が露出していた。その状況に気が付くと、ニセ胸を付けているのをよりにもよって親友に見られたという恥ずかしさから顔を真っ赤にして胸を隠したのであるが、拓美は女性的な羞恥心から胸を隠したと勘違いした。ベットの上でぺたんと女の子座りしていたので、説得力も出ようというものだ。

「ええっ!お前、女だったのか!?」

 思わず叫んでしまったが、あわてて瑞穂を気遣った。

「ご…ごめん。見るつもりじゃ無かったんだ。ほらっ、これでも羽織りな」

 そういうと自分の着ていたジャケットを瑞穂に羽織らせた。

「すまん。もっと早く来てあげられたらよかったんだが」

 そう謝ると、瑞穂を安心させる為にぎゅっとジャケットの上から抱きしめると、安心感からか瑞穂は声高に泣き出した。

「拓美ぃ。うっうっうっ」
「大丈夫。警察は来ないから。安心しな」

 瑞穂が落ち着くまで拓美は瑞穂をしっかりと抱きしめていた。

 状態が状態なので、どこか休憩できる場所ということでビジネスホテルに入った。瑞穂の顔が真っ青だったので『気分が悪いらしいので休ませて貰いたい』と頼んでもすんなり受け入れられた。
「大丈夫ですか?」とホテルの支配人に心配されたが、何かあったら女性従業員を呼ばせて貰うということで部屋に入った。
 部屋にはいると、瑞穂は口に吐き出された汚物をゆすぎ落とした。いくら口をゆすいでも嫌な感覚は落ちなかった。

「そうか、爺さんの遺言で女の格好してるのか。ビックリしたよ。本当の女になっちまったのかと思ってさ」
「たぶん普通にみたら、女の子だと思うよね。メイクまでしてるから」
「昔から瑞穂は、女顔だとか言われてへこんでいたよな。まあ母親の遺言だっけ?髪を切るなっていうもんだから、ますます女っぽく見えてなー」
「おまけに名前が『みずほ』と来た日には…だったよね」
「まあ、女っぽい名前のやつは継巳(つぐみ)とか和己(かずみ)とか少なくはなかったけど、おまえは外見もなんだその、女っぽかったから大変だったよな」
「うん、そうだ。聞いてよ。恵泉女学院にはエルダーシスターっていう制度があるのよね」
「エルダーシスターって、たしか学園ナンバーワンの女性を学校中で選挙して決めるってやつだっけ」
「よく知ってるわね。理事長の孫の僕が知らなかったのに」

 久しぶりの親友との会話で瑞穂の一人称が「わたし」から「僕」に戻っていた。

「まあな。それより瑞穂。しゃべり方がえらく女っぽくなってねーか?」
「んー、そのエルダーシスターに僕が選ばれちゃったの」
「ひえー。女の中の女が男なのか。すげー世の中だな」
「最近じゃ、ロシアのミスコンの優勝者が男性だったとか平気であるから。もう驚くのは止めにしちゃった」
「ふーん、しっかし、見かけも女っぽいし声もしぐさも完全に女性っぽい。その上しゃべり方まで女性っぽくなって、お前の性別知っててもにわかに信じられないな」
「学院内で『お姉さま』と呼ばれて、一応憧憬の対象とされちゃってるので、ボロが出ないようにするの大変」

 瑞穂は、襲われたショックから立ち直って落ち着いたのかそれとも親友に自分の秘密を打ち明けられてほっとしたのか判らないが、いつもより饒舌であった。

「ボロ?」
「ええ、最初の頃はお手洗いに行くだけでも大変。つい便座をあげて用を足しそうになってしまうし、音姫使わずに用を足してしまったり」
「何だい?その音姫ってのは?」
「あ、知らない?女性は小用の音を聞かれるのが恥ずかしいから、用をたす時に水を流すのだけど、水がもったいないからって音だけ流す機械があって、女子便所には標準装備になってる」
「ふーん、大変なんだな」
「やっぱり、ほら。女性には幻想ってものを持ってたわけじゃない。それがどんどん打ち壊されて、カルチャーショックで大変だったのに女性の規範である『お姉さま』に担ぎ上げられちゃって…」
「なあ、瑞穂。俺でよかったらさ。お前の気分転換につきあうぜ。それに男連れに見える方が、危険な目にも遭わなくてすむしな」
「そうだよね。護身術習ってたはずなのに、全然役に立たなかったし…」
「そうそう、何時ならあいてる?」
「うーん、土曜日ならお昼ちょっと前から大丈夫」
「じゃあ土曜日に、場所は…こっちより恵泉女学院もよりの駅の方が安心だな」
「うん。うれしいよ」
「落ち着いたところで、送ろうか」

 そう言ったところで拓美は瑞穂の胸の部分を見た。暴漢にブラウスが引きちぎられたままで、このまま女子寮に帰ると悪目立ちすることになる。

「あ…これじゃ、まずいな。そのままジャケット貸すのも目立つな。よし、ちょっと汗臭いかもしれないけど、これ羽織ってくれ」

 そういうと拓美は、瑞穂に自分の体育ジャージの上着を羽織らせ、恵泉女学院まで送ってくれた。寮に入ると、各人夕食前の支度をしているようで玄関ロビーにも誰も居なかったので、そっと自分の部屋に戻ると急いでワンピースに着替えた。拓美にジャージを返すから待ってて欲しいと頼んだが、女子寮前に男が居て噂になるのもそれはそれでまずかろうと気を遣ってくれた。

 夕食をすませると、TVを見ている他の3人を食堂に残し、自室に戻って洗濯用のエプロンを着けランドリーに向かった。拓美のジャージを綺麗に洗濯して返すためだ。恵泉女子寮も基本は自分で洗濯をする。洗濯機の洗濯物を見つめながら、今日の出来事を思い出していた。もちろん暴行された嫌な部分ではなく、白馬の王子のように現れた親友との楽しい時間の方だ。
  温風乾燥機までかけると、ジャージを丁寧に折りたたんで部屋に持ち帰った。そのまま返すのも気まずいかと思い綺麗にラッピングして紙袋に入れた。ぼーっとベッドの上で座っていると「とぅるるるるる」と携帯電話がなった。

「はい、宮小路です。あ…瑞穂です」

 電話の相手は拓美だった。拓美には宮小路の名前は教えてなかったのであわてて「瑞穂」を名乗った。

「うん、もう落ち着いた。大丈夫。ほんと。心配かけてごめん」

 拓美は優しい声で瑞穂の容態を気遣った。開正時代の記憶では拓美という人間は他人に対して最大限に気配りが出来る人物だった。その優しさに触れながら、話をしているうちに何故か目から涙があふれだしてしまう。

『おい。瑞穂!どうした?大丈夫か?』
「ご、ごめん。どうしてかな、涙が止まらない」

 自分の感情を抑えられないのは初めてだ。携帯電話を握りしめながら瑞穂は体育座りの格好のまましばらく泣いた。拓美は瑞穂が泣くのをやめるまで、携帯電話の向こうでじっと待っていた。

「ごめん、拓美。もう平気」
『そうか。また土曜日にゆっくり話そうな』

 そういうと、電話を切った。電話越しであるが、他人と繋がっているという思いがこれほど力強く思えたことは瑞穂にはなかった。

(つづく)

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びゅりほでぃず(ブログ版) (4)

 こっそり離脱した瑞穂は、人混みをさけるように裏通りへの道を選んだ。護身術の心得もあり、なおかつ自分が女であるという認識に欠ける瑞穂は、危険に無頓着であるため人気の少ない方へ進む。
そんな瑞穂を狙うハイエナのような連中がいた。

「おっ。あの女すげぇ美人だな。やりて~」
「拉致っちゃおうぜ」

 男達はそうささやき合うとターゲットにされた瑞穂を遠くからねめ回した。

「彼女~。ひとりぃ?」

 3人組の男達が瑞穂を取り囲む。

「あ…あの。何でしょうか?」

 街に出るとこれまでもナンパは多々されてきたが、今回の3人組は少々チンピラがかった下衆な感じのする男達であった。
 下手に毅然な態度を取ると、逆上されかねないのでやんわりと返事をした。

「ねぇ、俺たちに付き合ってくれね?」

 にやにやとして先陣を切った優男が頭の足りなさそうな言い方をした。

「あの、わたし。用事がありますので…」

 そう言って逃げようとするが、取り囲まれてしまっているので身動きが出来ない。護身術で切り抜けるにしては間合いが狭すぎた。

「そんな事言わないでさあ」

 別のサーファーっぽい男が瑞穂の手首を握った。

「やめて下さい。人を…人を呼びますよ」

 そう切り返しているとバチッっとお腹のあたりで何かがはじけるような音がして、瑞穂の意識は飛んだ。

「お姉ちゃん、大丈夫かい。どこか休憩出来るところに行こうか」

 と、わざとらしい演技をする優男。手には小型のスタンガンが握られている。瑞穂の死角からスタンガンを出してきたのと、注意をサーファーに払いきっていたため、迂闊にも気がつかなかった。その為か、貴子の襲われた際に見せた暴漢撃退の手際の良さは影も形もなかった。
 体育会系っぽい男が瑞穂をひょいとお姫様だっこをして連れて行った。学生鞄はサーファーが持って後ろから歩いていった。とても手慣れた連係プレーだった。

 駅前からほど近い放置された廃業したパチンコ店に3人組は瑞穂を拉致していった。

「じゃあ、まずは両手を縛ってベッドに寝かせておけ」
「足はどうしますか?」
「逃げられないようにそれぞれの足をベッドの足にくくって大の字にしてくれ。」
「いきなりSMですか」
「いや、この女でけぇから用心の為だって」

 そういうと男達は手足を縛ってからベッドに横たわっている瑞穂の頬を叩いて、瑞穂の意識を取り戻させた。

「おっと、お姫様のお目覚めだ」

 そういうと優男は、瑞穂の上にしなだれかかると、瑞穂の胸を揉みしだきだした。

「ほほぉ、マシュマロみたいに柔らかいぜ。くせになりそうだな」

 男の手は瑞穂の乳房を、右胸は時計回りに左胸は反時計回りに弄ぶ。

「だぁっ!この制服脱がせにくいな」

 しばらくすると男はブラウスのボタンを引きちぎった。見知らぬ男に陵辱されたという衝撃で、瑞穂の目には涙があふれてしまった。
 一体わたしが何をしたというのだろう。しかも何故。見知らぬ「男」に弄ばれなくてはならないのか。
…その時であった。

「おいっ!お前らっ、女の子によってたかって何してるんだっ!」

 鋭い声だった。瑞穂の頭の上の方から男の子の声が聞こえた。
瑞穂からは一瞥できなかったが男の子の手には携帯が握られている。

「あんだぁ?てめぇは」
「その娘をはなせ」

 男の子は毅然とした態度で返す。

「ふざけんじゃねえぞ。一人でノコノコ来やがって、てめぇぶっ殺してやろうか!」
「そんな事言って大丈夫なつもりかい?」

 冷静に男達を制する。

「はぁ?何を言ってんだ?このうすらトンカチが」
「今どことつながってると思う?警察だよ。お前らの犯罪の証拠も顔写真もテレビ電話で全部警察にリアルタイムで通報されてるんだがな。いやホント便利な時代だよなビバ!テクノロジーってやつかな」

 軽口を叩きながら、携帯のカメラを男達一人一人にゆっくりと向けた。

「おい、マジかよ。ちょ。俺は抜けるぜ」
「うわぁっ。に、にげろぉ!」

 男たちは統制もへったくれもなく、這う這うの体で逃げ出した。残されたのはベッドに縛り付けられていた瑞穂だけになった。急いで手首と足首にまかれたロープをほどき、口輪をはずした。

「えぐっ。えぐっ」

 瑞穂はすすり泣きを続けていた。いくら護身の覚えがあろうとも一旦不覚を取ってしまえば、どうしようもなかった。

(つづく)

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びゅりほでぃず(ブログ版) (3)

「お姉さま。ガーターベルトとストッキングがありますなのですよ。これは大人の女性っぽいアイテムで奏あこがれちゃうのですよ~。お姉さまや紫苑お姉さまみたいな大人っぽい人じゃないと似合わないので、奏もいつかはこういうのが似合う女の人になりたいのですよ~」

「奏ちゃんだと少女っぽいフリフリなリングガーターとかになっちゃうものね」

 ファッションにこだわりを持つまりやはさっそく奏ちゃんに指南を始める。

 自分の好みのデザインを自分にあてたりしながらもしっかりと瑞穂に似合いそうな(もっとも各人の趣味は丸出しな)商品を持ってきては瑞穂の制服の上からあてがっては瑞穂を恥ずかしがらせる。   

 極めつけは紫苑がうきうきと持ってきた3点セット(ブラとショーツとガーターベルトの3つ)だった。紫苑は嫌がる瑞穂に向かって嬉々としてランジェリーセットをあてがった。

「あのー、紫苑さん? このブラジャーにはその…胸のカップが…ありませんけど」

「あら、そうですわね。そういうデザインなのでしょう。でも大丈夫みたいですわ。ほら、ココにちゃんとサポートワイヤーが入ってますから、バストのサポートは安心ですわ」

「あのー、紫苑さん? このショーツはヒモしかないのですが…それに大事な部分にはなんかお団子みたいにヒモが2つほど結んでありますが…」

「まあ、そういうデザインなのですね(にっこり)」

「あのー、紫苑さん? これをわたしに着けろとおっしゃるのですか?」

「まあ、やっと気がつきましたの?うふふ。お似合いですわよ」

「あのー、紫苑さん? わたしの事情をご存じの上であえておっしゃっているのでしょうか?」

「あら、そういえば。すっかり忘れておりましたわ」

 そういうと紫苑はコロコロと笑った。その笑顔は瑞穂をがっくりと落ち込ませた。

「で、由佳里ちゃんと奏ちゃんは、このフリルのかたまりのランジェリーですか?」

 瑞穂は、期待に満ちたわんこのような目で二人から見つめられる。こくこくと首を縦にふる二人。

「…わかりました。当ててみましょう」

 そういうと瑞穂はブラジャーとショーツを自分の前に当てて二人に見えるようにした。

「うっわー、お姉様お似合いです。」

「甘ロリもお似合いになるので、こういうのも大丈夫と思ってましたが、やっぱりお似合いなのですよ~」

 二人は興奮しきりだ。

瑞穂のげんなりしかかった表情を見て取って、紫苑が瑞穂にそっと耳打ちした。

「瑞穂さん、このフロアには男性の方はほとんどいらっしゃらないので、恥ずかしがることはありませんわ」

「そうは、言いましても…(言えない。男としては女性の目の方が気になってるなんて言えない!)」

「みーずほちゃん、あんまりもじもじしてる方が変に思われるわよー」

「わ…わたしは、これでいいからー」

 瑞穂はそういって、シンプルなデザイン、つまりフリルなどの過剰装飾がないオレンジ色の、チェック模様のブラパンセットを握りしめると逃げるようにレジに向かって走っていった。

「あーらら、紫苑さま~。ランジェリー選びの楽しみを覚えてもらうまでには、まだまだかかりそうですわねえ」

「そうですわね。女性ならではの嗜みを、覚えていただかなくてはいけませんわね。また、かわいらしい瑞穂さんも愛でてみたいですわね」

「瑞穂ちゃんったら、すごく遠いレジまで行っちゃったみたいですね。はぁ。今日はここまでですね。残念っ!」

 どこかの売れなくなった芸人の決めぜりふみたいな事を言って、まりやたちは瑞穂を追いかけた。

 ランジェリーフロアでの買い物をすますと、みんなでファンシーグッズ売り場で行った。

 この売り場で一番興奮していたのが、紫苑であった。

「あのー、紫苑さん? 大丈夫ですか?」

 今日何度目の「あのー、紫苑さん」だろうか。紫苑は子供のような目をして振り向いて叫んだ。

「だって~、みんなかわいいんですもの~」

 お金に余裕があれば、店ごと買い占めかねない勢いであった。幸い? なことに紫苑はお小遣いはそんなに貰っていないようだったので、買い占めはあきらめたようだったが、実にくやしそうな雰囲気であった。

 まりやの希望でその後セレクトショップを冷やかして歩いた。

セレクトショップというのは店主が、売る物を自分のセンスで選んで並べるのでセレクトショップと言う。店によって、オーナーのセンスが違いがはっきり出るので、ファッションに疎い男の瑞穂でも感心することしきりだ。

「うーん、どれもいまいちね」

「おー、ファッション評論家のまりや先生のお言葉は違うね~」

「なによ、瑞穂ちゃん。どの店もセンスがいまいちじゃない。そんなこともわからないの?」

「ひぃいいい。まりやってば怖いわよ。第一わたしは、ファッションにあんまり興味ないし」

「女に生まれて、きれいに着飾らなければ、それは世界に対する侮辱よ!」

「あ…の…?まーりやさん?それはわたしに言ってるの?」

「あったりま…あ…にゃははははは」

「えー、まりやお姉さま、何ですかー?」

「いや、なんでもないない、由佳里もセンス悪い店と思わなかった?」

「うーん、わたしはあんまり気にしなかったですが」

「由佳里くん、ちみも着飾る事を覚えたまい」

 まりやは怪しげな日本語をあやつりごまかしを図る。

「とりあえず、もうお夕飯の時間が近いから、帰りましょうか」

 瑞穂はこの場を納めるべく提案をした。

女性向けファッションフロアからマニアさん向けフロアを抜けた先に駅の改札がある。

 みんなとしゃべりながら歩いていた瑞穂は、遙か向こうに見覚えのある団体を見つけた。

 ドキン。半年ちょっと前まで自分も着ていた、開正の制服だ。しかも、2年間同じクラスだった神村、木村、榊原、草柳の4人。瑞穂がどんなに変装したって、こいつらには一目瞭然だろう。

そもそも、化粧してるからと言ってまったく別人には見えるわけじゃないので、一発でバレる。今はともかく遭遇はしたくない。そう思った。

 瑞穂の目は非常に良い。体育祭の日に、目の良い由佳里が見えなかった一子を一瞥しただけで認識できたほどだ。相手側からはまず認識できない状態だといえるだろう。いまなら、まだ相手に気づかれる前に離脱できる。

「まりや。ちょっと…」

 瑞穂はまりやを引き寄せると、耳打ちした。

「駅のコンコースの向こう側に開正のクラスメイトだった4人組がいるのよ。見つかって声をかけられたらいろいろと問題になるから先に帰るわね」

「ん!いいわよ。瑞穂ちゃん。いくらなんでも、由佳里や奏ちゃんにバレるとまずいし、トラブルは避けた方がいいものね」

「ありがとう。まりや」

 そういうと瑞穂は開正のクラスメイトに判らないようにこっそりと、他の4人から離れて別行動になった。

「あれ?お姉さまどうしちゃったんでしょうか?」

 由佳里が瑞穂が居ない事に気がついた。

「あ、ちょっと用事があるので、先に帰るって。」

「えー、ちょっとしょんぼりです」

「由佳里~、一子ちゃんみたいな事言わないの」

(つづく)

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びゅりほでぃず(ブログ版) (2)

 電車に乗り隣町まで1駅である。しかしホームにはいつもよりも多い人が居て、身動きがとりにくい程だった。

「この人ごみって、もしかして隣町の駅ビルに用がある人たちかな?」

 まりやがつぶやいた。

「そのようですわね。こんなに人が多いとは思いもよりませんでしたわね」

 紫苑が、ため息をついた。

 山手線並のラッシュをやり過ごすと、2階改札口の駅ビル出口を目指した。

 テナントショップフロアに直接出られる出口専用の改札口で、改札を抜けるとそこはショッピングモールだった。

「お姉さま。おいしそうなお菓子がいっぱい売っているのですよ~」

 奏ちゃんは興奮して鼻息が荒い。

「あはは。紫苑さん、まりや。どうでしょう。ここはまず腹ごしらえということで」

「まあ、瑞穂さん、腹ごしらえなんてはしたないですよ。でも何か食べるのは賛成ですわね。こう、あま~い臭いが鼻孔をくすぐって、がまんできませんわね」

 くすくす笑いながら紫苑も賛成した。

「ほーらいってこーい!」

 まりやが由佳里達の尻を叩く。

「あの、まりや…由佳里ちゃんと奏ちゃんは犬じゃないのだけれど?」

「にははは。でも、見てごらんよ。二人ともしっぽを振って大はしゃぎしているわんこみたいだよ」

 まりやはそう言うと二人の方をあごをしゃくって示した。

「はわわ~。このいちごさんのクレープはとてもおいしそうなのですよ」

「あ、ハンバーグのクレープもあるのね」

 クレープ屋さんでそれぞれのお気に入り食材を使ったモノを見つけるといそいそと注文をする。

「わたくしたちもクレープにいたしましょうか」

 紫苑の提案に、瑞穂もまりやも同意する。

「瑞穂ちゃん、場所取っておくからバナナクレープ1つね」

 まりやは要領よく座席を取りに行く。

 瑞穂はコーヒーゼリークレープ、紫苑はマンゴークレープを買ってクレープ屋のテーブルに着いた。

「はぁ、美味しかったわ~」

 まりやは、女の子とは思えないペースでバナナクレープを完食した。となりでまりや以外の4人はまだ、もきゅもきゅと食べている。

「ところで、今日はどこへ行くの?」

 肝心の行く先を聞いていなかった瑞穂は、おそるおそるまりやと紫苑に尋ねた。

「んふー。今日は瑞穂ちゃんのランジェリーを買いに来たのよ」

「ぶぐふっ!けほっ、けほっ」

 瑞穂は食べている具のコーヒーゼリーをのどに詰まらせむせ返った。

「あ~ら、お姉さまったらはしたなーい」

 まりやが瑞穂に皮肉っぽく言った。

「どうして、”わたしの”限定なの?まりやとかも買えばいいじゃない。それともまたわたしで遊ぶつもり?」

「だって、瑞穂ちゃんったらいっつもランジェリーショップからこそこそと逃げ出すんだもん」

「お姉さまは、過剰に恥ずかしがりすぎなんですよ」

「そうは言われてもねえ、わたしは、恥ずかしいんだからしょうがないでしょ?」

「女の子の楽しみを放棄するのは、損失ですわよ。瑞穂さんっ」

 クレープでお腹を軽く満たすと、少女達はランジェリーフロアに向かった。

「なに?この広さ」

「うん、うちの学校のグラウンド並かもね」

「まあ、瑞穂さん。この広さだと、ちょっと逃げ出すなどと言う事は出来ませんわよ。うふふ」

『瑞穂ちゃん、あんたここの駅ビルがカブラギグループのだって知ってた?』

『へ?そうなの?知らなかった。そういう話は父様とは全然しないから』

 他の3人には聞こえないようにまりやは瑞穂にこっそりとしゃべりかけた。

「さーてとっ、瑞穂ちゃんいこっ!」

 まりやが瑞穂の手をとると、セクシー系な海外ランジェリーコーナーへみんなを先導していった。

「うわっうわっ、まりやお姉さま。これはすごいですう」

「まあ、わたくしにちょうどよい大きさの商品もありますのね」

「はやや~」

「……」

 ぱんっ!まりやは絶句している瑞穂の背中をたたくと、はっぱをかけた。

「ほら、瑞穂ちゃん」

 そこに並んでいたのは超高級ランジェリーブランドで、基本がレース。飾り付けがレース。フリルもレース。レースレースレース!といったセクシーを通り越して、悩殺ばんじゃーい!という感じのエロティックなランジェリーが所狭しと飾られていた。

「うわ。これクロッチ部分もレース一枚のまんまですよ、まりやお姉さま。ちょっとえっちすぎませんか?」

 由佳里がそういうとシースルーショーツをびろーんと伸ばしてみんなに見せた。

「由佳里ちゃーん。変なことやめて~」

 瑞穂はすでに泣きが入っていた。

「ブラだって伸縮性のレースのみですから外から丸見えですわね」

「紫苑さま。これって肌触りはすごく良いんですよ。ふわふわなのにさらさらですからね、それに意外とホールド感がありますよ」

「あら、そうなの? では、わたくし試着をお願いしようかしら」

 そういうと紫苑は紫色のロングタイプのシースルーブラを胸に当てるとにっこりとした。

「し…紫苑さん、ちょっとそういうのは控えてください。想像しちゃうじゃありませんか」

「あら、瑞穂さん、わたくしの裸で興奮していただけるの?」

「ぶっ。し…紫苑さん、何言ってるんですか!」

 そう取り繕うも、すでに瑞穂はつかれかかっていた。

(つづく)

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びゅりほでぃず(ブログ版) (1)

「おはようございます。お姉さま」

「おはようございます」

「ごきげんよう。お姉さま」

「ごきげんよう」

 爽やかな朝の挨拶が飛び交うこの乙女の園は、恵泉女学院。明治19年に設立された華族のお嬢さまを預かる学習院と並ぶ由緒ある学校である。華族と言う制度が無くなって久しい現在でも、元華族や皇族に連なるやんごとなきお姫さま、もといお嬢さま方が通っている。

 頻繁に挨拶されている生徒は、宮小路瑞穂。全校生徒の憧憬を一身に集めた第72代エルダーである。

 憧憬を集めると言う事は、裏を返せば衆目を集めていると言う事でもあるわけで、瑞穂自身は己が性別が男性であると言う秘密を守るためにいやがおうにも、理想の女性として振る舞わねばならなかった。その慎重さゆえにさらに優雅な物腰ととられ憧憬の度合いが強まっていくと言う、憧憬のスパイラル状態になっている。

 だが、瑞穂が女ではない。という秘密を知るものは学院の中にはわずか5名しかいなかった。そう、瑞穂は学院内においては、完全に女性と認識されているのだった。

 お昼時の食堂の一角。瑞穂の入っている女子寮のフルメンバー4人と十条紫苑の計5人がかたまって昼食をとっていた。

「ね。瑞穂ちゃん。今日、買い物にいかない?」

 まりやが瑞穂に声をかける。

「ん?いいわよ。でも何買いに行くの?」

「んふー」

 まりやは紫苑と顔を見合わせて意味深な微笑みをした。

こう言う時は嫌な予感がするのですけれど。と瑞穂は思ったが、口にはしなかった。

「あんまり瑞穂さんを困らせるのも何ですわね。実は隣町の駅ビルが新しくなったので行ってみませんか?ということなのです。」

 隣町の駅ビルは一昨日改装が終わって、昨日からすごい行列が出来てたと朝のニュース番組でやっていた。

女性向けのファッションビルと男性向けのファッションビル、あとはマニア向けな専門店が入っていると言う事で原宿・新宿と池袋・秋葉原を足したような処らしい。

「ええ、わたしはかまいませんよ」

 そう瑞穂が答えると、紫苑はうれしそうにして瑞穂の手を握った。以前の瑞穂ならドキドキしていたのだが、さすがに女子特有の過剰ともいえるスキンシップ、と言うかボディタッチコミュニケーションにも慣れてきたので、むやみやたらとドギマギすることは無くなってきた。丁度そこで昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った。

「では、まりやさん。放課後にこちらに集まってからまいりましょう」

 紫苑がまりやに提案する。珍しい事にいつもよりもかなり積極的である。

「由佳里、奏ちゃんもいいわね。では、紫苑さま瑞穂ちゃん放課後にね」

 まりやはそう言うと、るんたったと口ずさみながら自分の教室に戻っていった。

 放課後、3年A組の教室に集まると一同は駅に向かった。駅までは徒歩で15分ほどの距離だ。

「ですからぁ、私には似合わないですってばぁ」

「まあまあ、まりや。そんなに由佳里ちゃんをからかっていてはダメじゃない」

 端から見ると女子高生5人組がはしゃいでいるようにしか見えない。

「おー。恵泉はお嬢様学校で美人ぞろいだよなぁ」

「うわっ、美人な上に背高けぇなあ。俺ら見劣りしちまうぜ」

「お、俺はあの亜麻色の髪の毛の背の高い娘がいいなあ。彼女になってくれないかな」

「もう一人の背の高い娘はどうだ?」

「乳がでけえんで魅力だけど、やっぱりもう一人の背の高い娘の方がいいかなー」

「俺はあのちっこい娘だな」

「お前、ロリコンか?やべえよ」

 近づく勇気のない連中は、遠巻きに見ながら瑞穂たちの品定めをしている。その一方で、当の話題の主たちはと言うと。

「お姉さまの好みの男性のタイプってどんな方なのです?」

 由佳里が瑞穂に問いかける。お年頃であれば男も女も人数寄らば異性の話に華が咲こうというものである。

「あら、由佳里ちゃんは?」

 瑞穂はうまく質問をかわした。

「そうですねえ。憧れるだけなら青年隊のガッシーですけど、お付き合いするなら、誠実な人です」

「紫苑お姉さまは、どんな方がお好みなのですか?」

 奏が、紫苑に話題を振った。

「わたくしは奏ちゃんみたいな可愛らしい方が…」

 ぎゅううううっ。紫苑は目の前を歩いている奏を抱きしめた。

「はやや~。紫苑お姉さま。奏は異性の方では無いのですよ?」

「紫苑さんの、かわいいもの好きはもはや筋金入りですよね」

「ところでさ、瑞穂ちゃんの好みのタイプは?」

 まりやがわかってて問いかける。

「わ…わたしぃ?そ…そうね。…父様みたいな人…かな」

 瑞穂は父親を敬愛しているので、ある意味これはうそではない。瑞穂自身は男であるため父親が好みの異性のタイプというわけではなくて、あくまで父親のような男性になりたい。と思っているわけなのだが。

「ふっふーん、そういえば小父様は小母様一途でメロメロだったのよねえ。そういう甘々な人が好みなんだぁ。にっひっひ」

「そういう、まりやこそ、どういう人が好みなの?」

「あたしはねぇ、べったりになったり束縛しない人!」

「うふふ、小父様や小母様が聞いたら泣いて悲しむわよ~」

「いいのいいの。あの人たちみたいに溺愛されても困るもの」

 古人曰く。月は遠くから愛でるもの。乙女たちの会話の内容を聞いたら百年の恋もいっぺんに醒めるかもしれない。

38万キロの彼方に優雅に輝く月も、実際は荒涼とした死の世界である。月のお姫様が嘆くわけだ。

(つづく)

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びゅりほでぃず(ブログ版)

来週のおボク様が見てる4向けの同人誌を作っていて結構間が空いてしまいました。

おボク様では「びゅりほでぃず(BL版)」(18禁)と「びゅりほでぃず(ハード調教版)」(18+禁)を出します。えっちげーの全年齢版と18禁版みたいな感じですが、どっちもえっちです。

ホモが嫌いな女子はいませんっ!(げんしけん 大野さん談)という勢いで書き上げました。ブログ(ココログ)版とはそれとはまた違った展開になります。

一段落付いたので、書きかけのお話の回収をがんばりますので見捨てないでくださいね。

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