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びゅりほでぃず(ブログ版) (16)

「結婚!?どうするつもりなの?」

まりやは驚いた。

「鏑木瑞穂ではなく、『宮小路瑞穂』が結婚するの。だから鏑木は安全という事。久石さんにも手を回して貰ってるから。鏑木瑞穂は海外留学することになってるわ」
「瑞穂さん、おめでとうございます。と言ってよろしいのかしら」
「小父様は納得してるの?」
「ええ、『娘の晴れ姿が見られるとは思わなかった。あと新郎を一発殴ってみたいんだがなー』と大喜び」
「あっちゃー。小父様はそういうバカ騒ぎ大好きだったわね」

「とりあえず、これで学院内の騒動は収まりますわね」

 紫苑はほっとした様に言う。恵泉女学院新聞部の連日のスクープ報道によって大騒ぎになっていたのが、結婚を前提におつきあいしているとなれば騒ぎも収束するだろう。

「で、結婚式はいつなの?」

まりやが尋ねた。

「卒業式の翌日を考えているのだけれど」
「それは、また急ですわね」
「ええ、でも恵泉の関係者。特に同級の人に来ていただくなら、卒業式の翌日くらいが良いかなって、拓美が言うの」
「おーおー、のろけですかい。いやー冬なのにあついわねー」

まりやが茶化す。

「ウェディングドレスなのですか?それとも白無垢文金高島田?」

 紫苑が目を燦めかせて瑞穂に尋ねる。女の子としては気になる所だろう。

「結婚式自体は、恵泉内のチャペルを使うことになってるのでウェディングドレスですよ。紫苑さん」
「まあ、それは素敵ですね」
「実はドレスは母様が使ったモノがあるのでそれを使うことにしているのです。サムシングオールド。サムシングブルー。サムシングニュー。サムシングボロウのうち古いもの、借り物はこれを使います」
「サムシングブルーはガーターベルトというのも相場みたいよね。瑞穂ちゃん、あんたこの間買ってたわね?」
「なんでまりやがわたしのクローゼットの中身に詳しいのよ!」
「ふっふーん。だって、この間タンスの中身チェックしたんだもの。そういえば彼氏とつきあい始めてからやたらに乙女ちっくな服が増えたわよねえ」
「もうっ、まりやのばか!」

 瑞穂は顔を真っ赤にしながらも、軽く怒っただけにとどめた。

そして、卒業式がやってきた。

『答辞、3年A組宮小路瑞穂』
 恵泉女学院の憧れの頂点にいるエルダーシスターたる役目はこの日に終わった。

「お姉さま、ご卒業おめでとうございます。ご結婚おめでとうございます」

 下級生達は悲しみの涙と感激の涙でもうくしゃくしゃになっている。全校生徒が結婚式には参加できないので、今ココで思いの丈をはき出す下級生が後を絶たない。

「わたしもお姉さまみたいに良い男性を見つけて結婚しますっ!」

勢いが付きすぎて、とんでもない宣言をし始める娘もいる始末。

「あは…うふふ。良い人を見つけてね」

 半ば唖然としていた瑞穂だが、優しく微笑み直すと下級生達に別れをつげた。

「今日は卒業式が終わったらカラオケよっ!瑞穂ちゃんの独身さよならパーティも兼ねて」
「カラオケ…ですか。緋紗子先生はマイク握ったら離さないタイプだって聞くけど大丈夫かしら?」
「今日の主役はわたしたちだけど、さらに主役は瑞穂さんですから大丈夫じゃないかしら?なれそめとかを根掘り葉掘り聞かせていただきますから」

 同級生達が瑞穂にプレッシャーを掛けまくる。

 カラオケボックスでは歌を歌う前に、瑞穂のなれそめの大質問大会になった。開正時代のおつきあいは男同士の部分が男女のおつきあいに聞こえるようにエピソードを選んだりして、話を進めた。
 一番盛り上がったのはキスシーン。そりゃもう拓美の言った甘々なセリフから、キスの角度や時間まで事細かく説明させられた。キスの話だけで盛り上がれるのは女子ならではの特権であろう。

「あ、そういえば瑞穂さん。婚約指輪見せて~」
 同級生がおねだりをする。卒業式は済んだので『お姉さま』は無しと頼んであったので、瑞穂さんに名称が改まっている。

「はい」

 瑞穂は左手の甲をみんなに見せるように手をあげると左手薬指にはきらりと輝くリングが見えた。

「拓美はまだ学生なので、安いプレーンのリングなの。でもわたしの大事な宝物なの」

 そう言うと、瑞穂はうっとりとした。

「うわー。あつい。あついですよ。だれかークーラー全開にしてー」

みんなが、祝福しながらもからかう。

「えーと、そろそろ歌良いかしら?」

 緋紗子がうずうずしながらマイクとリモコンを握りしめている。

「緋紗子センセーったらもうー」

 どっと笑いが起きる。

「まずは、てんとう虫のサンバと瀬戸の花嫁ね」

「センセー、おばちゃんな選曲ですよ~」

 そういいつつも、みんな瑞穂の為にお祝いの歌を歌った。卒業式打ち上げというよりは瑞穂の独身お別れパーティの様相を呈してきた。

「すいませーん。延長もう2時間おねがいしまーす!」

 みんなノリノリで瑞穂いじり。乙女の狂乱騒動は、とりあえずそれぞれの門限でお開きになった。

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