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びゅりほでぃず(ブログ版) (10)

「瑞穂は男。瑞穂は男」

 瑞穂と会う度に呪文のように瑞穂の性別を心の中で再確認をしてきた。だが、今日の瑞穂は拓美の心の防波堤をぶち破った。
かわいいセーターにかわいいスカート。しかも自分の腕によりかかってくれてる。
(これは行くと事まで行っちゃってもおっけーなのか?開正時代にはこんなんじゃなかったハズじゃないか。
俺は恋愛はノーマルだったハズだよな。でも見た目はノーマルカップルなんだよな。ごくっ。俺ヘンだ。瑞穂が欲しい。瑞穂を抱きしめたい。瑞穂にキスしたい。瑞穂に触れていたい。瑞穂を喜ばせたい。瑞穂の笑顔が見たい。うおおおおお、どうしちゃったんだ俺。ってどっかのコマーシャルみたいに手のうちのカードを見てみたら「告白」「告白」「告白」なんじゃこりゃー!ってかんじじゃあー。いかん、もう一度「瑞穂は男。瑞穂は男」)

ついに拓美の固い意志が決壊するときがやってきた。
ショッピングの後に映画を見に行った。こてこてのラブロマンス。拓美一人なら絶対見に行かないような作品だ。瑞穂は、最近女子寮で見る作品は恋愛物オンリーになってきているので、特に気にせずにチョイスした作品だった。

「なんか、映画館で恋愛映画なんか見るの初めてだよなー」
「いつも見に行くのはアクション映画かコメディばっかりだったよね」
「くううー、恋愛って良いなぁ」
「うん。いいよねえ」

 気分が盛り上がったままの帰り道、瑞穂がさりげなく言った一言に過剰反応してしまったのだ。

「わたしも、燃えるような恋愛したいな」

 その瞬間、拓美は瑞穂を抱きしめてキスをしていた。

「あ…」

 瑞穂は最初こそ驚いたが途中から目を閉じて拓美のキスを受け入れた。
やがて拓美は己の行動に気がついたのか、はっとして瑞穂の唇から自分の唇を離して、あわてて謝った。

「す…すまん。そんなつもりじゃ…」

 瑞穂は自分の唇に指を当て感触を再確認している。暫くして瑞穂は自分の心臓の鼓動が高鳴っている事に気がついた。

「ううん。拓美のは嫌じゃないよ」

 ちょっと赤面しながら、瑞穂は拓美に言った。

「あ…のさ。また来週…あえるかな?」
「あ…ああ。いいの?」
「うん。どうして聞き返すの?」
「いや、こんなことしちゃって嫌われたかと思った」
「なんで拓美のこと嫌うのよ」
「あ…ああ、また来週」

 どぎまぎしながらも拓美はOKした。OKを貰うと瑞穂は何故かダッシュで帰ってしまった。

(た…拓美とキスしちゃったよう~。きゃー、恥ずかしいけどなんか嬉しい。ってわたし、恋する乙女モードに入っちゃってるの~!? いや~ん。でへへへへ)
瑞穂の頭の中はピンク色に染まり上がっていた。

一方の拓美は。
(どうちしまったんだ俺。「瑞穂は男。瑞穂は男」そう思ってたじゃないか! 俺はホモじゃねーぞー!くそっ!)

「お、おかえり、瑞穂ちゃん。どうしたの嬉しそうだけど。なんか良いこと有ったんだ」

まりやが顔をにしゃにしゃして聞いてきた。

「えへへ。わかる?」
「おーおー、色恋沙汰?」
「え、なんでわかるの!?」
「瑞穂ちゃん、分かり易すぎだもん。で、何があったか白状なさい」
「ええとね、キスしちゃった♪」
「ほほう、誰と?」
「拓美にきまってるじゃない!」
「ふーん。おめでとう。にひひひひひ」

「おーい、由佳里~、奏ちゃ~ん。いいものを聞かせてあげるから食堂へおいで~」
こうして、瑞穂は今日のデートの顛末を根掘り葉掘り、洗いざらい聞き出された。とろけきった瑞穂を目の前にして、寮生は唖然とするばかりだった。

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