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びゅりほでぃず(ブログ版) (11)

 拓美とファーストキスしてから最初の金曜日。瑞穂は一人で、こっそりと駅ビルにあるランジェリーフロアへ足を運んでいた。まりや達と何度もランジェリーショップで自分用のランジェリーは買っているのであるが、それはあくまでカモフラージュの為。そう割り切っていた。だからいつも買うのは可愛いけれど、女子高生なら普段使いする程度のものばかりだった。
 だが今日のお目当てのランジェリーは、いわゆる「勝負下着」と呼ばれる類のレースとフリルがいっぱいのかなり透けているやつだ。
春に初めてみんなで買い物に行った時は、ランジェリーショップへ入ることなど思いもよらなかったし、拓美と再会した日もやはり恥ずかしさで逃げ出していたが、今は拓美の為にドレスアップするのだと考え、生まれて初めて真剣にランジェリーを選んだ。無意識に顔もほころんでしまっているのは愛のなせる技か。
 店員にデート用のものが欲しいと相談すると出てきたのは、ストレッチレースのカップにバラの刺繍がほどこされたうすいピンク(さくら色と言った方が雰囲気が出るかも)ブラとショーツのセット。ショーツはフロント部分にバラの刺繍が施されているが、残りはストレッチレースで肌触りもやさしいものだった。セットとおそろいのデザインのガーターベルトと、ストッキングもかわいらしいものであった。

「お客さま。ガーターベルトはお使いになったことはございますか?」

 店員が聞いてくる。

「あ、初めてなんですけれど何か?」
「ガーターベルトは、ショーツの下につけていただくのと、ガーターベルトをしてからストッキングを着けてくださいね。ストッキングを着けたままにすると、スナップ部分で伸びてしまったりほつれたりいたしますので。あとこちらのガーターベルトはブラジャーと同じ金属のフックになってますので、引っかけないように気をつけてくださいね」
「へえ。そうなのですか」
「デート。うまくいくといいわね」

 そういうと店員さんは瑞穂にウィンクした。お茶目なお姉さんであった。

 次に向かったのはアクセサリーショップ。リップやファンデはまりやが用意してくれたものがあるので基本的にコスメは困らないのだが、アクセサリーは持っていなかった。
学内では不必要なものであるし、女の子同士で出かけるときも着飾ることはあまりなかったから。かわいい花のデザインのイヤリングとチョーカー、乙女チックなりぼんのついたバレッタを買った。

 最後に向かったのが靴屋さん。学院の制靴はローファーシューズ。外出用にローヒールのパンプスを持っているが、やはり、ハイヒールな女性らしい靴が欲しい。拓美が183センチ、瑞穂が173センチだから8センチヒールくらいでちょうど良いかなと思った。
 瑞穂が選んだのは淡い赤色のアンクルでストラップがついているお嬢様っぽいエナメルのハイヒールだった。ヒールの高い靴は履いたことがなかったので、慣れるまで部屋の中で歩く練習をする事になったのはご愛敬。

「はあ。女の子って大変なのね」

 そう実感する瑞穂だった。

 朝、起きると気分はバラ色。嗚呼、薔薇色の人生という感じに輝いていた。歯を磨き、シャワーで上から下まで綺麗にしてから、胸パッドを装着した後に、ブラから着けた。桜色のブラはとてもかわいい雰囲気を醸し出している。
そしてガーターベルトを締める。瑞穂の買ったガーターベルトはブラジャーと同じ作りの留め金が付いているので付け方はすぐにわかった。椅子に片足をかけ、ストッキングをはいていく。ストッキングはガーターベルトのつり下がっているヒモの先にあるスライド式の留め金にはさむ。ぱちんぱちんと前後左右の留め金を留めたら、ヒモの長さを調整する。
ぴったりのサイズに調整するとガーターベルトはウェストからヒップにかけてのなだらかなラインの場所に止まる。最後にショーツをはいて、綺麗に納めるとエロティックだがかわいいランジェリーに身を包んだ少女が現れた。

「パンストと違って、ちょっと心許ないかな」

 そう独りごちる。フリルの付いた白いコットンブラウスにピンクのボレロ。装飾過多ではなく、ささやかなリボンの付いピンク色の膝上丈のスカート。あまり短いとガーターベルトとストッキングが見えてしまうのでやや長めのものを選んだ。
 ドレッサーに座るとメイクを始めた。まずは髪をとかして、メイクの時に髪がじゃまにならないようにバレッタで軽く髪をまとめる。あとはヘアピンとカチューシャで髪をあげてメイクを始めた。
 瑞穂は恵泉に入ってからメイクをするようになった。それはもちろん本来男性であるので、より女性らしく見えるようにするカモフラージュの為。
 だが、今日は違う。いつもより気合いが入る。大好きな人のために装い、綺麗にするのである。女性も普段はこぎれいにする為にメイクするが、そでれもやっぱりデートの前には気合いが入る。(たまに気合いが入りすぎてど派手になる娘も。)
 幸いな事に瑞穂にはむだ毛がほとんど無く肌理細かい肌の持ち主であったために、ほとんど普通の女性と変わらないメイクで済んでいる。高校生という年齢もあるのでアイシャドーとか派手派手しいモノは使わないが、明るいオークルのファンデを塗り、パウダーを載せ、ちょっぴりピンク色のチークをさすとよりかわいらしい顔つきになった。まりやの指導の賜物である。この時ばかりはまりやに感謝した。
 リップを唇に乗せ、にりにりと唇をこすりあわせてなじませる。最後にティッシュを軽く咥え、余分なリップを落とした。ヘアピンとカチューシャを外して、髪を整える。

 花をモチーフとしたイヤリングとチョーカーを着け、左手には華奢なデザインのブレスレット型の腕時計をした。ショルダータイプのエナメルのハンドバッグを取ると、姿見の前でくるっと回ってみる。ふわっとスカートが軽く広がった。

「ん~。完璧♪」

 軽い朝食を取るために食堂に降りる。

「おはようございます。おね… うわー。すごく素敵です」

 由佳里ちゃんに感激された。奏ちゃんも大喜びだったが、まりやだけは、にしゃにしゃと悪巧みでもしているように笑っていた。
 軽くサラダを食べる終わると、瑞穂はメイク直しを始めた。

「いやー、随分、乙女になってきたねー、瑞穂ちゃん」
「ほんとっ(ぽっ)!?」
「いや。そこは反応違うから」

 まりやがからかうも、今日のデートで浮かれきっている瑞穂には何を言っても無駄だった。

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