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びゅりほでぃず(ブログ版) (7)

次の週、瑞穂たちは隣町の駅ビルに一緒に出かけた。二人で行けば安心だと言う考えも有ってのことだ。

「へぇ。こういうお店には、入ったこと無いな」

拓美が感心しているのは、以前来たときにまりやが散々くさしていたセレクトショップだった。

「同じような商品が並んでいるのにお店によって雰囲気が違うから面白いよ」
「ホントだね。これなんか瑞穂に似合いそうだよ」
「うー、本当は似合っても困るんだけどなあ」

ぷっくりとほっぺたをふくらまして瑞穂は抗議した。

「あ…ああ、そうだったな。いや、すまん」

毎週拓美と遊びに行くのが学院内で噂になり、学院新聞などで尾ひれの付いたとんでもない話になっていたが、実際は微笑ましい高校生同士の幼いデートのようなものだった。瑞穂は元々友達という認識で拓美と付き合っていたし、拓美にしても瑞穂は男だと思っているから、不純異性交遊などという話はあり得ない。(不純同性交遊というのであれば大いにあり得る話だが)

「ねえ、瑞穂ちゃん。あんた男と付き合ってるってホント?一体どういう事なの?」

まりやが昼食を食べに移動しようとした時に、小さい声で瑞穂を問い詰めてきた。

「恋人なんかじゃないですよ。開正時代のクラスメートですから」
「それにしては、噂になるのが早いじゃない」
「私に言われても、それはわからないのだけれど…」
「おめかしして行ったの?」
「まさか。昔の友達に会うのにそんなことおめかしなんかしてないわ。タートルネックのセーターにパンツ、スニーカー。普通でしょ?」
「寮に帰ったらじっくりとお話をうかがいましょうかね。私がしりたいのは事実なの。真実じゃなくてね」

夕方、寮ではなんと瑞穂の親しい友人たちが十数人、食堂に詰めかけていた。

「で、本当の所は一体どうなってるのよ?」

みんなが聞きたがっている所をまりやが、単刀直入に切り出した。

「本当も何も、この間隣町の駅ビルに買い物に寮のみんなで行ったわよね? 用事があるので途中で抜けたのよ。用事の帰りに不良に絡まれてしまったんですけれど、たまたま居合わせた開正時代のクラスメートが助けてくれたの。これでいい?」

「ふっ…不良にからまれたですかっ!どうしておっしゃってくれなかったのですか!もう。あの時のような想いはしたくありませんのに」
「ごめんなさい。貴子さん」
「お姉さまっ。今回も無事だったから良いような物ですが、お怪我をなさったら困ります」
「もう、こんな事はしませんから」

瑞穂は平身低頭あやまって、この話はそこで終わった。結局、みんなからはそのクラスメートの事を根掘り葉掘りたずねられた。
名前は菅野拓美。身長183のハンサムな事。何よりも紳士でやさしい事。本当は男同士の話なのだが、男女間の話に聞こえるようなエピソードが並べられると、拓美のファンが10人ほど増えた。

「ふうー。みんなどうして拓美とわたしをくっつけたがるのかしら」ベッドの中で瑞穂はぼそりとつぶやく。
「お姉さま、お姉さま~、お姉さまも幸穂お姉さまと同様に男性の元に走ってしまわれるのですね。やっぱりこんなへっぽこ幽霊三等兵との薔薇色の百合生活よりも男の方のたくましい身体に抱かれる方が素敵なんだわ。わーん。ってこの場合男性の元で愛される方が薔薇なわけだから、こっちの方がやっぱり薔薇色なの?」
「一子ちゃん、ちょっと落ち着いて頂戴な、知っての通り拓美は、ただのお友達」
「開正時代はどうだったのですか?」
「んー、とても気がつく人だったわね。開正時代のわたしって、人付き合いが下手だったのだけれど彼はわたしにいろいろと話しかけてくれたりしたわね。『瑞穂、一緒にご飯食べようぜ』「瑞穂、映画見に行かないか』『瑞穂、元気出せよ』『瑞穂、がんばろうぜ』って」
「あはは、お姉さま。それ恋人同士の会話ですよ」
「え…そうかな。うーん。」
「あ、落ち込まないでくださいよ」
「彼、とってもいいヤツなのよね」

そう、一子に自慢している様子は、もはや彼氏自慢のおのろけにしか聞こえないのだが、良く気が利く一子は黙っていようと心に決めた。

「お姉さま?拓美さんの事お好きなのですか」
「うん、大好きな人だよ。もちろんまりやも紫苑さんも一子ちゃんも奏ちゃんもだけどね」

その晩、瑞穂は新婚夫婦になった夢をみた。もちろん瑞穂は新妻だった。
台所でエプロンを着け、かいがいしく朝食の準備をする。ベッドルームに行って旦那さまをゆっくりと起こす。

「あなた~。起きて頂戴~。朝ご飯よ~」
「ん、おはようのキスは?」
「もー、あまえんぼさんなんだから。ちゅっ」
「朝ご飯は瑞穂がいいなあ」
「朝からえっちねっ!もう、いそがないと遅刻しちゃうわよ」

瑞穂のおしりに旦那の手が伸びる。ゆっくりと誘うようになでまわすと、腰に手を回し自らの方に引き寄せる。
もう一度ディープキスをした…

…ところで目が覚めた。

「え?何?今の夢…お…く…さ…ん?えええええええええっなんじゃそりゃー!」
瑞穂は自分の夢を思い出して赤面した。それもそのはず、あまあまな新婚生活の相手は拓美で、自分はあろう事か奥さん役。

「僕って、男だったよね…?」

がっくりと落ち込みながら胸と股間を確認してみる瑞穂。だれかが見たらとてもえっちぃと思う状況だったりするわけだけど、それはさておき。

なにか悶々とする瑞穂であった。

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