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お姉さまの初めて争奪戦 乙女地獄変(3)

「まりやさんからの言いつけでちゃんと、瑞穂っちの料理を試食する栄誉を与えられる人を選ぶ事をするように言われているので安心なさい……」
「ええ、そうですわ。野放図にしておくと秩序が保てません。ということで瑞穂さんは正規の班の人数分と試食の栄光を勝ち取った一人用のあわせて五人分を調理していただくこととしましょう。瑞穂さんの手料理をいただきたい方は勝ち抜き戦に挑戦していただくということになります」
紫苑が恐ろしいほどてきぱきと段取りを決めていく。すでにこうなることは予想済み。なのであらかじめ段取りを決めていたようだ。

「『輝け! 第十万飛んで一回、チキチキ愛のエプロン~瑞穂さん手料理争奪戦』を開始します、競技内容は作り方レシピを見ずに記憶だけで料理を作るという、チキチキ愛のエプロンサバイバルデスマッチ方式とします」紫苑は司会を務める羽目になっていた。日頃トンチキなセリフを言わないだけに、その違和感たるや筆舌に尽くしがたい。

そして、調理実習室は即席キッチンスタジアムに変身していた。恐ろしい事に調味料はボウルや小瓶、計量カップに入れられているが、名前は書かれていない。また、いざと言う時の為に消火器が用意された。以前蒸篭を直接火に掛けてしまった少女が居たため、予防策として用意されたものである。貴子は消火器を使わないことを願った。

まずは、海老の天ぷらを使った天丼が競技対象になった。
大きい物は伊勢エビや全長二メートルはありそうな超巨大オマール海老やロブスター、小さい物は桜海老まで揃っている。
大半の者はお嬢様とは言え庶民の出なので正しく車エビやブラックタイガーなどの一般的な天ぷら素材を選んでいく。たまに桜エビや甘エビなどでかき揚げをねらう者も居る。
「会長!これなんか大きくて食べ応えがありますわ」君枝がそう言って差し出したのは身の丈二メートルの超巨大メインロブスター。アメリカはメイン州の空港で、大男がロブスターのはさみをバンザイしてるように広げてにっこりとしたポスターを見かけるがそれに出てきているような大物だ。
「ええ、コレにしましょう。君枝さん」

小麦粉、卵、重曹、水、これが衣の原料。貴子と君枝、葉子、可奈子の四人はロブスターの殻を力任せに剥くと、衣を作り始めた。
お菓子作りで鍛えているだけあって、粉の混ぜ方は絶品だった。しかし、具が大きいというどこかの宣伝並、いな大盛りの美学とか言う番組で紹介しても良いような具の大きさの天ぷらになっていった。
「会長、ちょっと天ぷらが大きい気がしますけど、どうしましょう? 」
可奈子は、君枝の疑問に答えて、とんでもないものを皆の前に出してきた。
「バケツ? 」
「ええ、『バケツでごはん』ということわざもありますし~、インパクトでぇ、勝負しましょぅ」
こうして、貴子チームは誰が完食できるのかというような代物を作り上げた。
一方、そこかしこで重曹と小麦粉を間違える者が続出した。そもそも、無表示の粉袋、さらにほとんど同じ目方にして置いているのが、危険を誘発しているのであるが、まさにお約束と言うくらい重曹に卵をまぜるという調理をしていく少女達。
「瑞穂さん、保健室へ行って胃薬をいただいてきた方がよろしいかもしれませんわね」
「紫苑さぁん、またそんな他人事みたいなぁ」
「ふふ、これもエルダーの努め。あきらめましょうね」
「紫苑さんのいけずぅううう」
一子ちゃんみたいな事を言って拗ねる瑞穂であった。

「では、完成したところで、エルダーの瑞穂さんにご試食をしていただきましょう。評価の高かった方が、瑞穂さんの愛の手料理をゲットできるのです」
紫苑は、ノリノリだ。

「お姉さま~、わたくしたちの愛のメニューを~」
「いいえ~わたしたちの方が愛がこもってますわ~♪」
「「わたしの方こそ愛が~♪」」
「ちょ、ちょっと待ってください。どうしてみなさんミュージカルみたいに歌っているんですかっ!」
「「それは~、あ~い~ゆ~え~に~♪」」
「ううぅ、何がなんだか、わかわかんないよう」
「では、僭越ながら私が口移しで最初の一口を」
パコーンッ!
どこからとも無くハリセンが、うかつなことを口走った少女をぶちのめした。

結局、試食の順番はくじ引きとなった。

「あ、貴子さん」
一番くじは、生徒会組。
「わ、私はお、お姉さまに不埒な物を食べさせようとする不逞の方々からお姉さまを守……」
「ストップ。貴子さん。貴子さんのお心遣い判っていますよ」
そう言うと瑞穂は貴子達の作った料理をアントレーから……はみ出していたそれを見て絶句した。
「あの、貴子さん? これは何でしょう……」
「おねぇさまぁ、これはぁ。『バケツでごはん』といってぇ、由緒正しい料理ですぅ」
可奈子が舌っ足らずなしゃべり方で解説する。
「あの…私の記憶が確かなら、それは動物園のお話ではなかったかしらぁ? 」
動揺でアクセントがおかしくなっている。
「中身はぁ、まともですぅ。どうぞぉめしあがれぇ」

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コメント

海老天丼 息の良い海老を使って天丼美味しそうですね

トラバさせていただきました。

投稿: ryuji_s1 | 2007年7月31日 (火) 08時22分

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