みにくいアヒルの子(2)
ぐるっと町内を回って、折り返し地点の公園で、ちょっとだけ一休み。
「お……お義姉ちゃん、速いねっ」
私は毎日はぁはぁしながらお義姉ちゃんについていくのがやっと。お兄ちゃんたちと駆け回っていたから足にはちょっと自信があったのに、やっぱり大人の人には敵わないのかなあ。
「うふふ、由佳里ちゃん知らなかったっけ?お義姉ちゃんは、陸上部の選手だったの。今も陸上部の先生やってるのよ?」
「えー、ずるいー」
「由佳里ちゃん、何がずるいの?」
お義姉ちゃんはにこにこ笑いながら、質問してきました、
「だってさー、お義姉ちゃんみたいにとっても女らしくて美人なのに、運動も男の子顔負けなんだもん。わたしみたいなオトコオンナが勝てるのはかけっこくらいだったのに」
「あら、由佳里ちゃんだって女の子らしいわよ?どうして自信が持てないかなあ?」
「だって……」
「ストーップ!。だっては禁止」
「う……うぐぅ。……えっと、わたし女らしい事全然できないんだもん」
「たとえば?」
「お料理とかお菓子作りとか、かわいいものあつめなんかも」
「じゃあ、お義姉さんが教えてあげるから、一緒に覚えましょう」
「ホント!うれしい!でも、わたし女らしくなるのかなあ?」
「良いこと教えてあげるわ。高校は、私が通っていた恵泉女学院に行きなさいな。あそこはお嬢様学校で女らしい人がいっぱい居て、勉強になるわよ」
「えー、そんな所にいったら、恥ずかしいよう」
「大丈夫、あなた以上に元気な女の子も居たのよ。いたずらが大好きで、お菓子に目が無くて。どこか憎めなかったなあ。くすくす」
「へえ、そうなんだー。そんな人とお友達になれたら楽しいかも」
「うん、由佳里ちゃん。恵泉を受験しよっ!お義姉さんの後輩になりなさい」
「わかったー。勉強もがんばらないと……ダメかな。お兄ちゃん勉強教えるの頼りないから」
「あっはっは。一応先生なのにかわいそう。いいわ勉強は私も見てあげるから。ね。後で卒業アルバムも見せてあげるわ。じゃあ帰ろうか」
タッタッタ……帰り道は何となく軽やかに走り抜ける事が出来ました。
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