コミックマーケット74に出品します

コミケ前日に発表するなと言われそうですが、ええまだ製本終わってません。

一応お品書きは出しておきます。

Aster2_2某社フォーマットを完全にパクっております。本歌取りの本歌取りってやつです。ということで、多分私は三次創作ですか。コバ禁でw

○腐女子の皆様向け かずみず(順崇×瑞穂)本  リーマンがっちゅんが苦手な方はご遠慮下さい的女性専用18禁。 限定5冊です。女装(≠アニメキャラ等のコスプレ)の方は御購入頂けます。りあるがちむちぷにょにょんはダメ。絶対。

表紙はれんぢ電子さんの碧津れんぢさん。いいぞうー。はあはあ。

○何か。えへへ。

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永遠の園(3)

今日は紫苑がお泊まりで女子寮に遊びに来た。
寮母さんにお客さんが来ると言うと夕食を用意してくれた。
みんなで夕食を食べながら紫苑がにこにこと話を始めた、
「瑞穂さん、今日はパジャマパーティーと言う事で、いろいろとナイトウェアをもってきましたわ」
「へえ。紫苑さんは衣装持ちなんですね」
「母の花嫁学校で使っている余りなんですけどね」
「花嫁学校かあ、何教えてくれるのかなあ」
まりやは花嫁学校にちょっと興味があるようだ。
「ええと、料理、裁縫、礼儀作法だけではなく殿方を喜ばせる夜伽の作法なんかもあるのですよ」
「おおー、夜伽ですかー、うふふ。紫苑さまもお勉強されているんですよねえ」
「ええ、では後ほど講義をしましょうか」
「はややー、奏どきどきなのですよー」
「奏ちゃんには私が直々に……ね?」
「はい、紫苑おねえさま」
食事が終わると、食堂で紫苑さんが持ってきたナイトウェアの品評会が始まった。
「あら、可愛らしい下着ばっかりねー」
と寮母さんが覗きに来たが、紫苑がお礼にと差し出した高級下着をもらうと
「あら~、あなた気が利くわねぇ。いい奥さんになるわよぉ」
とにっこにこになって帰って行った。
「瑞穂ちゃんはこんなの似合うかな?」
ファッションにはちょっとうるさいまりやが瑞穂にあてがったのは、レースの黒いランジェリーだった。
シースルーのブラジャーとショーツ、そしてガーターベルトがセットになっている。
「あら、ガウンを羽織るのも素敵ですわ」
紫苑が提案をした。
「でもねー、瑞穂ちゃんはこういう股割れの即物的なのがいいんじゃない?」
「うわー、悩殺パンティーですね」
由佳里ちゃんが顔を赤くしながら瑞穂ちゃんの方を向いた。
「奏ちゃんには、こういうシンプルなランジェリーが似合うわね」
コットンの薄地のキャミソールとショーツ。コットンの平織りは伸縮性に欠けるのでくしゅくしゅとした感じになって萌え萌えな感じになっている。
「由佳里はおばさんぱんつでおっけー」
「え~、まりやお姉さまこそ、おへそが出ない深履きぱんつですよねっ!」
「お、由佳里も言うようになったね?」
「ええ、毎晩まりやお姉さまに鍛えられましたからね」
「ふふふ、今夜もひいひい言わせちゃうからね」
「えええ、もう怪談話は勘弁してくださいっ」
そういいつつ、二人ともチェック柄のおそろいのランジェリーを選んでいた。
ペアルックですか。はいはい。あついあつい。そう思って瑞穂は二人を眺めていた。
「そういえば紫苑さんはどんなランジェリーですか?」
瑞穂はいろいろとランジェリーを出してはみんなにあてがっていた紫苑に尋ねた。
「私は補整下着みたいになっちゃうので、コルセットかしら」
「あ、ゴスロリの娘がきているような感じですか」
「ええ、瑞穂さん用にも用意しましたから着こなしてみますか」
「うれしいですね、よろしくお願いしますね」
「ところで、こちらの袋はなんですか?」
「これは、夜伽の練習用の道具が入っているの、女の子同士で練習する為のものよ」

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永遠の園(2)

「みーずほちゃんっ! 早く着替えないと楽しい時間がへっちゃうわよー」
もみっ。もみっ。もみもみもみもみもみもみ…………
そう声を掛けてきた親戚であり幼なじみでもある御門まりやは瑞穂の後ろから、瑞穂のDカップはあろうかという双丘を揉みし抱き始めた。
最初はブラの上から。そして興の乗った途中からはブラの横から手を突っ込んで。
「きゃっ! まりやったら。あんっ、やめてっ。ちょっと、変なことしないで!」
さらに勢いづいたまりやの指は瑞穂の生の乳頭を弄んでいた。
「うふふ、こーんなにかたくしちゃってあたしのテクニックで感じちゃった?」
「感じませんっ! 単なる刺激への単純反応ですっ!」
「ホント~? 実は濡れちゃってるとか」
「そんなことありません! 触って確認してもいいんですよ?」
「ホントにいいのぉ?」
にやにやするまりや。以前女の子同士なのにもかかわらず、じっとりと弄ばれた事を思い出してふるふると断った。
「いえ、やっぱり遠慮します……」
するするっと近づいてきた紫苑も指をにぎにぎとしている。
「みーずーほーさんー、私にもさせてくださいな」
「まりやっ!紫苑さんっ!着替え着替え!」
瑞穂は泣きそうになりながら訴えた。
「ちぇー、また後で堪能させてもらうかー」
「うふふ」
二人は、残念そうに瑞穂の胸から手を引いた。
「だいたい、まりやもCカップで紫苑さんに至ってはFカップでしょう?私の胸で遊ばなくても自分の胸で堪能してくださいっ!」
どうして、この二人は(実は二人には限らないのだが)人の胸を揉みしだこうとするのか瑞穂は感覚的にも理性的にもさっぱり理解できなかった。
「サイズだけじゃなくって、瑞穂ちゃんの形のいいこの胸がいいんじゃない。乳首の色も綺麗で形もかわいらしいしね」
どくん。
またしても違和感だ。
「瑞穂……さん?」
「え?」
「体調悪いの?大丈夫かしら?見学にする?」
「あ、いえちょっと考え事で」
「生理は2週間くらい前だったもんね、それに瑞穂ちゃんは軽い方だからタンポン使えば平気だしねえ」
まりやが茶化す。
「どうしてまりやが私の生理日を知ってるのよ!」
「瑞穂ちゃん、自分の部屋のカレンダーに赤丸つけてるでしょ?判らないとでも思った?」
「あっ……」
瑞穂は真っ赤になって黙ってしまった。
「女同士ではありませんか、そう恥ずかしがらなくてもよろしいのでは?」
「なんなら、私たちの生理日教えようか?」
「いえ、謹んでお断りいたします……」
女子校に在籍するもの特有の無神経さが共学校から転校してきた瑞穂には気になった。
だが、これは瑞穂の数日前から感じていた違和感ではない。

瑞穂はバスタオル地のスカートをはくとショーツを脱いでスクール水着をはいた、そしてそのまま器用にスカートを首の所まで持ち上げてポンチョスタイルにするとブラをとり、水着の紐を肩に掛けて着替えを終えた。
「いつ見ても、そのテクニックには感心しちゃうわねえ」
ショーツを脱いで下半身すっぽんぽんになって着替えているまりやと紫苑は、瑞穂の技を堪能した。
「まりやも紫苑さんも羞恥心を持って下さいね」
「うちは女子校なんだよ?誰が気にするの?温泉に行ったらみんな裸じゃん」
まりやはにしゃにしゃわらいながら下半身に水着を着けた状態でブラをばらっと取っ払った。陸上部で鍛えた上半身には瑞穂より小振りであるが形のいい乳房がぷるんとふるえていた。
「だからと言って、お風呂でも他の人に背を向けて四つんばいみたいな格好になって具を見せる事はやめてよね」
ワンピース水着なので肩紐に両腕をとおして、ワインのコルク抜きのように両手をよっとあげて胸のところまで水着を引き上げた。
紫苑も同じようなやり方で着替えると、シャワーと消毒槽を通ってプールサイドに出た。
「はい、遅れてきた人早く並びなさい」
競泳用水着を着た女性体育教師は瑞穂たち三人に声をかけると準備運動の号令を始めた。
恵泉女学院の水着はクラス毎に色が違う。A組は白、B組は黄色という明るい色だ。一年生の臨海学校の時にクラス毎の人数把握が簡単にできるようにという事で考案されたシステムだが、薄手の色の水着は透けやすいので女子校育ちでない瑞穂にとって、この白色は結構きつい色でもあった。
チガウ。ナニカガチガウ。
瑞穂の心の奥でチクチクと引っかかるモノがあった。

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永遠の園(1)

 夏休みまであと少しという七月も半ば。
お嬢様学校にもかかわらず、質実剛健な淑女を育てるという名目でクーラーの導入が行われていない恵泉女学院の教室では、連日の記録的な猛暑でうだるような暑さから、大半の学院生はぐったりしていた。
さらに一部の学院生にとっては苦行の時間である数学の授業だ。居眠りをしないようにがんばっている娘がそこかしこにいた。そしてやっと三時間目の数学の授業が終わろうとしていた。
「どうかなさいまして?瑞穂さん。授業中ずっと怪訝そうな顔をなさってらっしゃるようですが」
 一日中しかめっ面をしたりもそもそとしていた瑞穂を見て紫苑が声を掛けてきた。
「あ、紫苑さん。心配かけてごめんなさい。ここ数日ずっと違和感を感じているの」
「違和感?まあ、何ですの?」
「何かが違う気がするのですが、でもそれが何かが判らないのです」
 その違和感は、ずっと瑞穂の頭の中から離れる事はなかった。
「それにしても、暑いですわね。長袖しかない恵泉の制服が少し恨めしくなりますわ」
 そういいながら、紫苑はばさばさとスカートをあおった。
「そうですね。今年の暑さは尋常ではありませんものね」
「殿方がいらっしゃらないと、こんな風にはしたなくなってしまいますわね」
「まあっ、昨年のエルダーともあろうお方が。うふふっ」
「まあ、そうおっしゃる本年のエルダーたる瑞穂さんも」
 瑞穂もそう言いながらばさばさとスカートの膝の部分をつまんでばたばたとさせてスカート内に籠もった熱気を追い払おうと努力した。
「お姉さま、紫苑様?ミニスカートという選択もありますでしょうに」
瑞穂の前の席の学院生が声を掛けてきた。
「私たちのような大柄な女にはかわいらしいミニは似合わないのですよ」
そういって紫苑は少しだけ沈んだ顔をした。日頃から大柄であると言う事を気にしているので級友は紫苑にそれ以上声を掛ける事をあきらめた。
「で、お姉さまの方は?」
瑞穂は自分の身体についてコンプレックスを抱いているという話はしていなかったので、級友の標的になった。
「理由は忘れてしまったのですけれど、ミニやミディ丈は避けるべき。と決めたんです。ええ、理由は今となっては思い出せないんですけどね」
「お姉さま? それはずるいですよぉ~」
文句が並べ立てられ瑞穂は苦笑した。
「あ。次は水泳の授業ですわね。紫苑さん、みなさんも更衣室へ参りましょう」
「ええ、ほんに朝から暑いので今日の水泳の授業は楽しみですの」
 二人は淑女にあるまじきはしたない行動をちょっぴりだけ恥じらいながら水着バッグをロッカーから取り出し、プールサイドの更衣室へ急いだ。
体育の授業は瑞穂・紫苑の居る三年A組とまりやの居るB組の合同授業である。教室の位置がプールから少しだけ遠いB組はまだ全員が更衣室に入りきっておらず、まりやの姿も見えなかった。
瑞穂が制服のジャンパースカート(といっていいのか微妙なのであるが)とブラウスを脱ぐと、アクアブルーの涼しげなブラジャーとショーツが姿を現した。
「今日はストッキングははいてらっしゃらないのですね」
 紫苑が笑って尋ねた。
「着替えの中にガーターとストッキングがありますから」
「まあ、ガーターストッキングとは淫靡ですわね。うふふ」
紫苑はにぱーっと笑いながら瑞穂に言った。
「どちらかというと蒸れない為ですわ」
ちょっと、紫苑に反論してみた。

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みにくいアヒルの子(1)

お義姉さま。お義姉ちゃん、お義姉さん。なんて呼べばいいのかな。うふふ。

私、上岡由佳里には長らくお兄ちゃんと弟しか兄弟がいませんでしたが、お兄ちゃんがお嫁さんを貰うことになりました。
なので、私に生まれて初めて女の姉妹が出来るのです。「義理」と頭に付くんだけど、それでもうれしいんだもん。

お義姉さんは私のお兄ちゃんと同じ学校の先生のなのです。

ハンサムでもてもてなお兄ちゃんは「生徒に手を出すなよっ!」とお友達から釘を刺されていた為なのかはわかりませんが、同僚の先生をお嫁に貰いました。

お義姉さんは、女子校で陸上部の顧問をしているというスポーツウーマンだそうです。
おてんばで男の子と一緒に走り回っている由佳里には合ってるよとお兄ちゃんは言うのですが、どきどきです。

「はじめまして、由佳里ちゃん」
「はじめまして。お義姉さん」
わたしはぎこちなく挨拶したのに、お義姉さんはさらっと挨拶してすごいなと思いました。

お義姉さんはとてもきれいな人でした。ボーイッシュな私とは正反対。お人形さんみたいな素敵な人であこがれちゃいます。

わたしも、あんな風になりたいな。そう思いました。
でも、わたしには無理。オトコオンナなんだから。女の子っぽい事してたらオカマになっちゃうよ~。

お義姉さんは、お兄ちゃんが家に居ない時は、わたしに気を遣ってくれます。

「ねえ、由佳里ちゃん?かわいいな髪飾りとかつけてみない?」
「ええ~、いいですぅ。似合わないから~」
「だめよ~。女の子なんだから、一生女の子を楽しまなくちゃ損よ!?」
「だってぇ。自信ないんだもん~」
「大丈夫。パチンととめて、ハイできあがり。うん、かわいいかわいい」

お義姉ちゃんはわたしを女の子としてあつかってくれる初めての人でした。お父さん、お母さんは娘だと扱ってくれてはいますが、男兄弟の中で結構おおざっぱかつぞんざいにあつかわれているみたいで、女の子然とした扱いはあんまりされませんでした。とはいえ、日に焼けてがりがりで男の子っぽい事ばっかりしている私には似合わないんだと、なかなかおしゃれをするまでには行きませんでした。

「由佳里ちゃん、お義姉ちゃんと走らない?」
「うんっ!走る」
お義姉ちゃんは、毎朝私をさそって、ぐるっと町内を町内を回るランニングを日課にしました。

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お姉さまの初めて争奪戦 乙女地獄変(2)

家庭科実習室。そこは、通常三十名ほどの生徒しかいない場所である。
今、そこにいるのは数十名どころではなく、百数十名といったところか。
「これは、一体……? 」
瑞穂だけではなく事情をよく判っていない家庭科の先生や、話に乗り遅れた一部の生徒は絶句していた。
「私たちにもお姉さまの初めてをいただきたいのですっ! 」
「へ? それは……何の事ですか……」
瑞穂は、何が何だか判らない状態に混乱しかかっていた。
「お姉さまっ! 」
「何ですの? お姉さまの初めて。と言うのは」
紫苑が助け船を出す。しかし、今のままでは泥の船状態ですよ。瑞穂は思っていた。。
「お姉さまが初めて調理実習をなさると言うことで、その試食をさせていただきたいのです」
「ここにいる全員に食べさせるとなると、一体どれだけの量を作らなくてはならないのかわかりませんわね」
「紫苑さぁん。そんな他人事みたいな……」
「あら、瑞穂さん。私ではなくて瑞穂さんの事ですから当然ですわ」
そう言うと紫苑は、にこやかに微笑んだ。華麗に助け船は轟沈した。

「お、お姉さまっ! 」
生徒会長が騒ぎを聞きつけて登場した。
「貴子……さん」
「こ、これは一体何事ですかっ! 各人ホームルームへ戻りなさい」
そう、威厳を持って警告を発した。
「生徒会長。会長はお姉さまの手料理を食べてみたいとは思われないのですか!?」
「え。お……お姉さまの手料理……。ぴゅ。ぴゅるる。ぴゅるるるるー。ばたっ」
何か愉快な効果音を出しながら、貴子は大量の鼻血を出しながら倒れた。
「か、かいちょおおおおおおお」
貴子の金魚のフン1号の君枝が、倒れている貴子を揺さぶった。
「私としたことが……」
貴子は薄れ行く意識の中。心の中で地団駄を踏んだ。

それをよそ目にクラスメイトは瑞穂誘致合戦を繰り広げている。
オリンピックの誘致合戦並に、いやそれ以上の勢いで瑞穂の気を引こうとしている。

「お姉さま。こちらの班にいらしてください♪」
「いえいえ、私たちの方へ♪」
「あらあら。こちらは、料理の達人が揃っていましてよ♪」
「こちらへ♪」
「こちらへ♪」
だんだん、収拾がつかなくなっていった。

「ふっ。あなたがた……瑞穂っちは私たちが引き受けます……」
ぬうううっと瑞穂の前に下から沸いて出たのは、一目どころか二目も三目も置かれている小鳥遊圭であった。どこから出てきたんだろうと瑞穂がいぶかるよりも前に、すっと脇から出てきたのは、高根美智子と十条紫苑。この三枚ブロックは鉄壁すぎるわっ!くうぅ。と歯ぎしりをした少女が何人いたことか。

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お姉さまの初めて争奪戦 乙女地獄変(1)

『お姉さまの初めてがいただけるのですって!? 』
 この噂で恵泉女学院内は完全に浮き足立っていた。
事の起こりは三年A組におけるたわいのない会話だった。

「瑞穂さんはお料理をしたことが無いというのですか? 」
「ええ、父様の命で厨房には入ってはならぬ。と言われてまして、ずっと料理をする機会がありませんでした」
「まあ。箱入り娘極まれりといった感じなのですね」
「あは…あはは、紫苑さん? それは判って言ってらっしゃるのですか? 」
「うふふ。あら、そう言えば以前の学校でも家庭科の授業はありませんでしたの? 」
「ええ、開正は進学校だったので家庭科の授業などは、他の科目に振り替えられてしまっていたのです。テレビでも取り上げてられていましたよ」
「そうしますと、これが瑞穂さんの初体験というわけですね」
「ええ、だからどうしようかと考えあぐねているところなんですよ」

それを聞いていたクラスメイト達は、『お姉さまと同じ班になれば、初めての手料理が食べられる! 』と舞い上がってしまった。教室移動の合間やお昼の食堂やクラブ活動でどうしたら同じ班に、いや同じ班が無理ならどうしたら手料理が入手できるか相談を始めた。さらにその相談を聞きつけた他のクラスの生徒や下級生達の間にも爆発的に話は広がっていったのだ。

 ***

ここは恵泉のとある部屋。そう、裸電球が素敵な謎の部屋。

「同志諸君! 早速お集まりいただきありがとう。さて、現在我が校では宮小路瑞穂嬢の初めて作った料理をどうやったら食べる事ができるか喧しい状況であーる。そこでだ、我々が楽しむためにどうしたらいいかを考えていこうと思っている」
ぱちぱちぱち。

こうして陰謀は放たれたのである。

***

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処女はお姉さまに恋してる THE MOVIE 第3回

「厳島貴子さん達の事ですね。一番高い場所にいるから天上人なのかしら」
「まあ、それもありますけど近寄りがたいエリートという意味もあるみたいですよ。もともとは宮殿にいる殿上人が変化した言葉らしいわ」

緋紗子はクスリと笑いながら言った。クラスメイトはそんな事おかまいなしに、質問を次々と投げかけてくる。
「えっと、宮小路さま~。3サイズ教えてください~」
「彼氏居るんですか~?」
「好きなタイプはどんな男性ですか~」
「ひ…緋紗子先生?コレ、芸能人への質問コーナーかなにかですか?」
「まあ、基本的に女の子は噂好きだし、特に有閑階級な人は暇だからゴシップが大好きなのよね。あきらめて質問に答えてあげて」
緋紗子はくすくす笑いながら、先ほどまですっかり忘れていた有閑階級の特性を思い出して瑞穂に語った。

「ひぃ。…えっと、3サイズですがあ…87-57-89です。身長は173センチです。って恥ずかしいのですが…」
「カップサイズは何でしょう?」
「えっと…び…Bです。すみません」
何故か謝ってしまう瑞穂。
「体重は~?」
「ええと49キロです」
「好みのタイプは?」
「誠実で、王子様みたいに気高い志がある人です」
「きゃ~!」
王子様という単語に反応する女生徒達。
「宮小路さま自身が王子様よね~」
そうささやきあう。
「すみません。もう恥ずかしさでいっぱいなので、勘弁してくださいませんか?」
「彼氏はいるんですかぁ」
「い…いませんっ!」
瑞穂は顔が真っ赤になっている。
「きゃ~。かわいい~」
黄色い声が上がる。
「はいはい、そんなに騒いでいると宮小路さんが困ってるじゃない。はいっ。そろそろおしまい。じゃあ宮小路さん、そこの空いている席に座ってね」
「はい。先生」
教室の後ろの席に座ると、隣の瑞穂と同じくらいの背丈に見える女の子が声をかけてきた。
「わたくし、十条紫苑と申します。同じくらいの背格好の女のコでとっても嬉しいですわ。仲良くして下さいね」
そういうと、紫苑はにっこりと笑った。
瑞穂が一瞥すると、身長は瑞穂とほぼ同じ173センチくらいはあるだろう。濡れ羽色といった漆黒のロングヘアが目を引く。古風なイメージの女の子であった。

当然と言えば当然なのだが緋紗子の授業は徹頭徹尾浮ついた雰囲気で散々であった。

「ホントにもう、この学院の生徒ときたら世界最高峰の学府であるという自覚が足りないわね」
生徒会長は3-Aの狂乱状態の声が自分のクラスにまで届いてきたことに憂慮した。
しかし、そんな憂慮はほんの序の口であった事を後々思い知るはめになるとは、この時の貴子には思いもよらなかったのである。
宮小路瑞穂の噂は瞬く間に広まっていった。その伝搬には御門まりやと厳島貴子との一戦が大いに関係していたからである。だが現在の院内の主な話題は、御門まりやと厳島貴子の一騎打ちの話ではなく、宮小路瑞穂が、生徒会に入り天上人になるかどうかであった。

「はぁ~。まりや、この学校どうなってんのよ?みんなおかしいよ。」昼休みになり昼食を取るためと言って休憩時間毎の質問攻めからほうほうの体で、やっと食堂に逃げ出してくると、瑞穂はぐったりとしてサンドウィッチを見つめながらため息をついた。
「まあ、瑞穂ちゃんは世間一般の普通の共学に通ってたもんね。ここはお嬢様学校。普通の学校とは違うわさ」
「でも、朝の生徒会長といい、担任教師といい、クラスメイトといいもうめちゃくちゃだわ」
「まあまあ、ぼやきなさんなって、瑞穂ちゃんあんた目的があってここに来たんでしょ。そのくらい我慢しようよ」
「ま、まりや!目的の事は誰にも言ってないでしょうね。どこから漏れるか判らないんだからね」
瑞穂は辺りを見回してまりやにささやく。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (17)

翌日。つまり結婚式当日。空は青く晴れ上がり結婚日よりだった。ジューンブライドも良いが、やっぱり晴れてこそ。
 結婚式は恵泉女学院のチャペルで行われるので、控え室は恵泉女学院女子寮に割り当てられた。花嫁の控え室は、面倒臭がられたのか瑞穂の部屋であった。

「お姉さま、素敵なのですよ~。奏、うっとりしちゃいますなのですよ~」

 ブライドメイド役を仰せつかった奏は舞い上がっている。奏自身もブライドメイドのレース仕立てのドレスがかわいらしい。

「デコルテラインもきれいに決まってるし、なによりもドレスが古くさくないのがすごいわね。小母様の趣味ってわたしよりも良かったのかしらね」

「モデルさんみたいで綺麗なのですよ」

 ふにっふにっ。紫苑が胸を揉みしだく。

『瑞穂さん?これはホンモノですか?』

『ええ、紫苑さんがお休みしていた期末試験の後に豊胸手術してきました』

『すこし揉み心地が違ったので。以前の揉みごたえも捨てがたかったのですが、今の揉みごたえも良いですわね』

『あの~紫苑さん。今はホンモノの胸なので、すごく…感じちゃうので、すみませんが…』

 紫苑は残念そうに手を離した。

「じゃあ、奏ちゃんは小父様の準備室へ行って声をかけてきてね。最後の仕上げしちゃうから」

「わかりましたなのですよ~お姉さま方」

 そういうと奏ちゃんは瑞穂の部屋から出て行った。

「瑞穂さん。わたくしたちはあなたの決断を尊敬しますわ。勇気がないと出来ないのですよね」
「うんうん、瑞穂ちゃん。最初はびっくりしたけど。あたしたちは瑞穂ちゃんの味方よ」
「ありがとう。紫苑さん。まりや」
「でも、男の方同士で子供はできるのですか?」
「ええと、なんとかなるみたいですよ。拓美にいわせるとビバ!テクノロジー!なんだそうですけど」
「まあ、よくわからないですけど、瑞穂さんの子供なら、きっとかわいいですわね」
「ええ、紫苑さんもまりやも遊びに来て下さいね。あ、ごめん。まりやの事は怖い人って先入観があるかも」
「なにーっ!このバカ瑞穂!何をふきこんだっ!言えッ!言え~っ!」
「やめふぃえー」
口をむにむにと横にひっぱるまりや。
「お化粧が崩れちゃったじゃない」
文句を言ってみる。
「しょうがないわね」
そう言いつつ、まりやはメイクを直した。
メイクが直ったら、タイミング良く奏ちゃんがドアをノックした。

「瑞穂お姉さま。新婦はチャペルに向かってくださいなのですよ」

 ベールをおろして、部屋を出る。奏は瑞穂のドレスのスカートとベールをしずしずと持ち上げると、瑞穂にチャペルに向かうように促した。この後、チャペルの入場口のところで父親の慶行にエスコートされながら祭壇に向かうのである。

「瑞穂。母さんにそっくりだ」

 父は目を細める。瑞穂は父親に向かってにっこりと笑う。

「父様。わたしのわがままを聞いてくれてありがとう」
「なーに、子供の幸せを願わない親はいないさ」

顔を赤らめる瑞穂を見て、慶行は緊張していると思ったようだ。

「緊張しなくてもいいぞ。そんなところまで母さんとそっくりだな」

 ヴァージンロードをしずしずと歩むと祭壇にはシスターの格好をした緋紗子と新郎がすでに待っていた。

「…あなたは、健やかなるときも病めるときも宮小路瑞穂を妻とし、生涯添い遂げることを誓いますか?」
「誓います」

拓美はさわやかなバリトンで答える。

「宮小路瑞穂、あなたは健やかなるときも、病めるときも何があろうとも、菅野拓美を夫とし、生涯添い遂げることを誓いますか?」
「はいっ。誓います」

瑞穂は鈴の音のような美しいアルトで答える。

「では指輪の交換を」

 そういうと緋紗子は結婚指輪の乗った盆を差し出す。拓美と瑞穂はそれぞれ相手の指輪を取るとお互いの指にはめた。

 緋紗子が促す。拓美は瑞穂のベールを上げ、瑞穂の肩を両手でしっかりと支え、キスをしようとする。瑞穂は目を閉じてそれに応えようとする。
 拓美の唇が瑞穂に触れた瞬間、教会の中は嬌声に包まれた。

『きゃーーーーーーーーーっ』

。誓いのキスが終わると瑞穂はお姫様だっこをされて、参列者の間を通り抜ける。最後の山場のブーケトスは君枝が受け取った。

「え?え?え?私が次のお…お…お嫁さんですか?か…会長のおよめさん…?」

 興奮のあまり、何を言っているのか判らない状態になっている君枝であった。
 隣に居る貴子は、それを聞いてまんざらでは無い気がした。うふふ。瑞穂さんのせいですね。と貴子は晴々とした気持ちで思った。

 宮小路瑞穂として結婚はしたが、そのうち鏑木瑞穂として社会に復帰せざるを得ない部分も出てくるだろう。なにせ鏑木慶行の一粒種なのだから。
 瑞穂自身はかわいい奥さんとして、拓美と仲良く暮らせればと思っている。今日も拓美の大好きなご飯をつくって一緒に食べて、そして思いっきり愛して貰うんだ。

「あー、こんな毎日がずっと続けばいいのに…」
                            おしまい。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (16)

「結婚!?どうするつもりなの?」

まりやは驚いた。

「鏑木瑞穂ではなく、『宮小路瑞穂』が結婚するの。だから鏑木は安全という事。久石さんにも手を回して貰ってるから。鏑木瑞穂は海外留学することになってるわ」
「瑞穂さん、おめでとうございます。と言ってよろしいのかしら」
「小父様は納得してるの?」
「ええ、『娘の晴れ姿が見られるとは思わなかった。あと新郎を一発殴ってみたいんだがなー』と大喜び」
「あっちゃー。小父様はそういうバカ騒ぎ大好きだったわね」

「とりあえず、これで学院内の騒動は収まりますわね」

 紫苑はほっとした様に言う。恵泉女学院新聞部の連日のスクープ報道によって大騒ぎになっていたのが、結婚を前提におつきあいしているとなれば騒ぎも収束するだろう。

「で、結婚式はいつなの?」

まりやが尋ねた。

「卒業式の翌日を考えているのだけれど」
「それは、また急ですわね」
「ええ、でも恵泉の関係者。特に同級の人に来ていただくなら、卒業式の翌日くらいが良いかなって、拓美が言うの」
「おーおー、のろけですかい。いやー冬なのにあついわねー」

まりやが茶化す。

「ウェディングドレスなのですか?それとも白無垢文金高島田?」

 紫苑が目を燦めかせて瑞穂に尋ねる。女の子としては気になる所だろう。

「結婚式自体は、恵泉内のチャペルを使うことになってるのでウェディングドレスですよ。紫苑さん」
「まあ、それは素敵ですね」
「実はドレスは母様が使ったモノがあるのでそれを使うことにしているのです。サムシングオールド。サムシングブルー。サムシングニュー。サムシングボロウのうち古いもの、借り物はこれを使います」
「サムシングブルーはガーターベルトというのも相場みたいよね。瑞穂ちゃん、あんたこの間買ってたわね?」
「なんでまりやがわたしのクローゼットの中身に詳しいのよ!」
「ふっふーん。だって、この間タンスの中身チェックしたんだもの。そういえば彼氏とつきあい始めてからやたらに乙女ちっくな服が増えたわよねえ」
「もうっ、まりやのばか!」

 瑞穂は顔を真っ赤にしながらも、軽く怒っただけにとどめた。

そして、卒業式がやってきた。

『答辞、3年A組宮小路瑞穂』
 恵泉女学院の憧れの頂点にいるエルダーシスターたる役目はこの日に終わった。

「お姉さま、ご卒業おめでとうございます。ご結婚おめでとうございます」

 下級生達は悲しみの涙と感激の涙でもうくしゃくしゃになっている。全校生徒が結婚式には参加できないので、今ココで思いの丈をはき出す下級生が後を絶たない。

「わたしもお姉さまみたいに良い男性を見つけて結婚しますっ!」

勢いが付きすぎて、とんでもない宣言をし始める娘もいる始末。

「あは…うふふ。良い人を見つけてね」

 半ば唖然としていた瑞穂だが、優しく微笑み直すと下級生達に別れをつげた。

「今日は卒業式が終わったらカラオケよっ!瑞穂ちゃんの独身さよならパーティも兼ねて」
「カラオケ…ですか。緋紗子先生はマイク握ったら離さないタイプだって聞くけど大丈夫かしら?」
「今日の主役はわたしたちだけど、さらに主役は瑞穂さんですから大丈夫じゃないかしら?なれそめとかを根掘り葉掘り聞かせていただきますから」

 同級生達が瑞穂にプレッシャーを掛けまくる。

 カラオケボックスでは歌を歌う前に、瑞穂のなれそめの大質問大会になった。開正時代のおつきあいは男同士の部分が男女のおつきあいに聞こえるようにエピソードを選んだりして、話を進めた。
 一番盛り上がったのはキスシーン。そりゃもう拓美の言った甘々なセリフから、キスの角度や時間まで事細かく説明させられた。キスの話だけで盛り上がれるのは女子ならではの特権であろう。

「あ、そういえば瑞穂さん。婚約指輪見せて~」
 同級生がおねだりをする。卒業式は済んだので『お姉さま』は無しと頼んであったので、瑞穂さんに名称が改まっている。

「はい」

 瑞穂は左手の甲をみんなに見せるように手をあげると左手薬指にはきらりと輝くリングが見えた。

「拓美はまだ学生なので、安いプレーンのリングなの。でもわたしの大事な宝物なの」

 そう言うと、瑞穂はうっとりとした。

「うわー。あつい。あついですよ。だれかークーラー全開にしてー」

みんなが、祝福しながらもからかう。

「えーと、そろそろ歌良いかしら?」

 緋紗子がうずうずしながらマイクとリモコンを握りしめている。

「緋紗子センセーったらもうー」

 どっと笑いが起きる。

「まずは、てんとう虫のサンバと瀬戸の花嫁ね」

「センセー、おばちゃんな選曲ですよ~」

 そういいつつも、みんな瑞穂の為にお祝いの歌を歌った。卒業式打ち上げというよりは瑞穂の独身お別れパーティの様相を呈してきた。

「すいませーん。延長もう2時間おねがいしまーす!」

 みんなノリノリで瑞穂いじり。乙女の狂乱騒動は、とりあえずそれぞれの門限でお開きになった。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (15)

「ひゅ~。これはまた可愛い下着だな」
「下着って、なんだかおじさんくさいね。かわいらしくランジェリーって言ってよ」

 ぷくっとふくれる瑞穂。

「わかったよ。女の下着の呼び方はめんどくせーな」
「では、まず瑞穂の本当のおっぱいちゃんとご対面だな」

 そういうと拓美は瑞穂のフリルのいっぱいついた5/8カップブラをずりあげてパッドをあらわにした。

「すげえな。これ本物みたいだ」
「他の女の子の見てるんだ」

ちょっと瑞穂がすねてみる。

「違うよ。えっちな本で見てるだけだって」

 そういうとパッドをうまくとりはずすと、最近はこぶりではあるが育ってきた胸がぽろっと出てきた。
やさしく手のひらで包み込むようにして軽く揉んでみる。
ちゅっ。っと乳首にキスをした。
びくんっ!っと瑞穂が反応する。

「すごい性感帯になってるんだね」

 もう一方の乳首を指でくにゃくにゃと弄ばれる。

「あん♪ああ…ん♪」

 激しく感じているようで。乳首がぷくっと硬くなってきている。
カリッっと乳首を咬むと瑞穂は足の先をこわばらせる。

「よく揉むと、おっぱいは大きくなるんだっけな」

 そうつぶやきながら拓美は瑞穂の乳房(?)を弄んだ。
最近は紫苑やまりやに揉みしだかれているためか、AAカップくらいの大きさになっている。

「さてと、では、ご対面と行くか」

 拓美は瑞穂のショーツを膝までずりさげるた。

「これはこれは(笑)」

 そういうと、瑞穂を手のひらでなで回した。

「はぁああああん」

 瑞穂は快楽に身を任せた声しか出なくなっていた。

「さてと、今度はこっちが瑞穂を愛してあげなくちゃな」

くにくに。

「ひゃん!」

 瑞穂が反応した。

「瑞穂はかわいいなあ、ココがぴくぴくしてるよ」

「恥ずかしいこといわないでよ…」

 瑞穂は赤面しながら女の子の様に恥じらった。

「さぁてと。よくほぐれたからいただきましょうかね」

 そういうと、拓美は瑞穂の両足を持ち上げ、ショーツの掛かっている部分に頭を通し、膝を両肩にかけると、がっつりと進んだ。

「ひゃん」

 瑞穂の体がビクッと反応した。

「痛いか?」
「ううん、そんなこと無い。拓美は優しいもん」

 ぐっと押し込まれると瑞穂は少し苦悶の表情をした。

「痛くないところまで少しだけ戻してみるよ」

 にゅるーっと排出される快感に瑞穂がぴくんと動いた。

「なるほど。感じてるんだね。いやらしい娘だな。瑞穂は」
「そ…そんなことないよう」
「慣れるまで動かずに待っていようか」

 そういうと、挿入した状態でしばらく動くことをやめた。

「まだ痛い?」
「ううん、もう大丈夫」
「じゃあ、もう少し送り込んであげるから、息をはいて、力を抜くんだよ」
「うん」

 素直に返事をして、拓美に言われたとおりに実行する。
拓美のブレードは瑞穂の中に少しづつ送り込んまれていった。やがて拓美が根本まで挿入しきった。

「すげえ、柔らかくて、だけどキュンキュンしめつけられるよ」
「た…拓美…気持ちいい?」
「ああ、また行きそうだよ。瑞穂は…見ればわかるか。気持ちいいんだろ?」

「こんなになったのは生まれて初めて」

 瑞穂は折りたたまれるような窮屈な体勢になっているが、正常位では感じられないような拘束感と密着感に包まれた。

「じゃあ、ゆっくりと動かすからね」

にゅるっ。少し抜ける。

「あん♪」
じゅぽっ。少し入る。

「うんん」

にゅるっ。

「あん♪」

じゅぽっ。

「ふんん」

にゅるじゅぽにゅるじゅぽのサイクルがだんだん早くなっていった。

「あん…あんあんあん」

 喘ぐ瑞穂の唇を拓美の唇がふさぐ。上半身のゆったりさと異なり下半身における拓美の煽動はどんどん早くなってきている。浅く浅く深く。浅く浅く深く。という変速リズムが瑞穂を上り詰めさせる。
頭の上にまっすぐ伸びる瑞穂の足の指先がきゅっと丸まりながら、まっすぐに伸びて、絶頂を迎えた。それに合わせ、拓美もほとばしらせた。
 瑞穂の頭の中は真っ白になり、意識が完全に飛んた。拓美は瑞穂が絶頂を迎えた後も、優しく愛撫しつづけたので、だんだんと薄れていく絶頂感の代わりに幸福感で満たされた。
その日は、夕方に帰るまで7回戦にまで及んだ。まさに猿カップルである。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (14)

「あっ、わたしばっかり気持ちよくなって、拓美がまだ気持ちよくなってないよね。今度はわたしがしてあげる番だよ」

 瑞穂はそう言うと拓美のズボンのベルトを外し、トランクスごとずり下げた。

「うわっ!」

 瑞穂はそそり立つ拓美自身をまじまじと見つめた。

「何びっくりしてるんだよ、見たこと無いモノじゃないだろ?」

 拓美は笑って瑞穂を見つめた。

「だって、こんなにかちんかちんになってるのは無いよ」
「自分のは?」
「こんなに、ならないもん…」

 もちろん、大嘘。周りの女の子達の過剰なスキンシップで悶々とした夜を迎えたことが何度あった事か。でも他人のモノは当然無いし、ましてや自分を見てこんなになってるなんて言うのは皆無だった。瑞穂は、拓美のモノに頬を寄せた。

「熱いよ…」
「そりゃあ、瑞穂の乱れ姿見てこうなっちゃったんだ」

 それを聞いて、瑞穂は拓美のモノがとても愛おしく感じてきた。顔の前に掛かっている髪を手でぱらっと払うと、拓美に近づいた。
ちゅっ。
瑞穂は拓美の先端にキスをした。

「そんな、汚いよ」
「ううん、拓美のだもん。汚くなんかないよ」

 ぱくっ。瑞穂は口でくわえると、舌を転がすようにして先端の刺激をつづける。

「ふむぅ」

 拓美はあまりの刺激に少し腰が引けた。
瑞穂はちゅばちゅばと鈴口を吸い続ける。
爪を軽く立てるようにして、拓美のモノを、ハープをかき鳴らすように軽く刺激をする。
ピクっ。敏感な部分を掻き鳴らされる度に、拓美のソレは拓美の意志と無関係に蠢いた。

「自分のを触るのと全然ちがうね。気持ちいい?」
「うっ、人に触られるのは、予想外の動きをするから、き…気持ちがいいよ」

 硬直した怒張がさらに堅さを増す。

「むぐっ」

 瑞穂は亀頭のカリの部分から、竿の裏側の筋目に舌を這わせつつ、手は付け根の袋を触るか触らないかの軽いタッチで刺激する。

「ん。むう」

 拓美は快感を我慢しつつ声を出す。親友が自分のものを咥えてくれている。その背徳さは何とも言えないものであった。
一方瑞穂の方も、愛する人のおちんちんをしゃぶっているという感動からか、どんどんとテンションがあがっていく。
亀頭部分をしゃぶりながらも、右手で拓美の竿の根本をしっかりと往復運動をする。さらに左手では陰嚢を軽く刺激する。

そして少しづつ頭を前後に動かし全体に刺激を加える。
口を陰部に見立てた性戯である。拓美の息づかいはだんだん荒くなっていく。

「み…瑞穂。激しくやっていいか?」
「むん」

 口いっぱいにほおばりながら瑞穂が返事をした。
拓美は瑞穂の後頭部をがっちりと両手でホールドすると、思いっきり瑞穂の口内に突き立てる。
屹立が瑞穂の喉の奥にまで達する。瑞穂はえづきそうになるのを我慢して、喉の奥に屹立を受け入れる。
拓美は瑞穂の頭を自分に引き寄せるように動かす。
瑞穂の口が拓美の屹立を全て飲み込んでいた。のどの奥で屹立の先端を慰め、舌先で敏感な裏筋を慰め
唇で根本を慰める。愛する人の全てを慰めたいと思った。
やがて、拓美の根本の方で軽いけいれんのような挙動が起こった。
ぴゅる。ぴゅくっ!
瑞穂の咽喉に拓美のほとばしりが満たされていく。

「んぐっ!」

 瑞穂はそのほとばしりを喉の奥で受け止める。
ごくっ。ごくっ。白濁を飲み込む。
 堅さが抜けた拓美自身が瑞穂の口から引き抜かれようとするのを、瑞穂は追いかけた。

「あん♪全部綺麗にしてあげる」

 ちゅる。ちゅるちゅる。瑞穂はストローでシェイクアイスを吸い取るように、拓美のイチモツを吸い取る。

「ああ、気持ちよかったよ。瑞穂」

 拓美は感激をしている。

「うぇ、セーエキってしょっぱいね。うにゃ。喉の奥もいがいがするよ」
「うがいしてきなよ」
「ダメだよ。拓美の味なんだもん。じっくり味わうの」

 瑞穂は微笑んで言った。

「お前さ、こんなキャラだっけ?」
「開正時代と変わった?」
「うん、すげー女っぽくなってるのはさておいても、積極的になってる」
「あは、あはは。それはきっと学校での生活のせいかもね」

「ところでさ、俺のココ。また元気になっちゃってるんですけど…」
「くすくす。君は盛りのついたお猿さんですか?」
「そうだよ。むきーっ!それより、今度は瑞穂に入れたいな」

そういうと、拓美は瑞穂の服を脱がせ始めた。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (13)

 拓美は、瑞穂を再び抱き寄せると、胸を揉みしだき始めた。

「あんっ…」

 ぴくんっ。と瑞穂の体が軽くはねると同時に、甘い声を出した。

「へぇ、うれしいなあ。感じるんだ」

 拓美がうれしそうに笑った。

「もう、拓美のばか…」

 いつも紫苑に揉みしだかれている為、パッドの上から揉まれても感じてしまう身体に開発されてしまったとは、口がさけても言えない瑞穂であった。

「これ、本物じゃないんだろ?感じるの?」
「うん。でも本当の乳首とか触られるよりは、刺激は強くないのだけれどね」
「そうなんだ。かぷっ」

 返事を耳元でささやいた勢いで、拓美は瑞穂の右耳たぶを甘噛みした。

「!」

 瑞穂はさらにぴくっと反応した。

「初めての経験かな?今日は瑞穂のえっちな所、いっぱい触ってやるからな」
「や…ん。拓美にどんどん開発されちゃったら、わたしえっちな娘になっちゃうよう」
「いいじゃないか、俺だけの瑞穂なんだから。それとも、他の誰かにえっちされたいのかなぁ?」
「拓美のいじわるっ。そんなわけないじゃない!」

 そう言う軽口を叩きながら、拓美の右手は瑞穂のスカートの中に進入していた。膝上の部分をさわさわっと、優しく触れるか触れないか位の軽いタッチで往復する。

「う…ん。あ…ん」

 タッチセラピーという治療があるくらい、やさしいタッチは気持ちをリラックスさせてくれる。つまり拓美の愛撫によって、瑞穂はどんどん気持ちよくなっていったのである。
 さわさわという、ピアニッシモを弾くピアニストの様な繊細な指捌きが、瑞穂の太ももからだんだんと、秘密の花園へと進んでいく。瑞穂は握り締めた手の上側から自分の人差し指をくわえて、声を出さないように我慢した。

「我慢しなくてもいいんだよ。思いっきり甘えてごらん」

 拓美が瑞穂に囁く。拓美の息が耳にかかるたびに、瑞穂の快感はいや増していく。

「く…くぅん…はぁ」

 拓美の指がついに瑞穂の秘所に到達すると、瑞穂の声が変わった。

「瑞穂かわいいよ。こんなに硬くなって、もうとろとろじゃないか…」
「そんなことないよう…」

 息も絶え絶えになりながら瑞穂は答える。しかし、容赦なく拓美はくりっくりっと瑞穂の秘所を円を描くように刺激する。くちゅっくちゅっ。瑞穂のおつゆはショーツの秘所をしとどに濡らしていた、
すぅうううっと、寄せては返し、すぅうううっと返しては寄せる手の動きは、瑞穂の快感を満ち潮状態にしていく。

「は…はあああ」

 瑞穂の背が弓なりに曲がり始めた。

「本当に感じやすいんだね。遠慮しないでいっちゃっていいんだよ」

 拓美の指がだんだんと律動を速める。

「くううううん!」

 瑞穂が絶頂を迎えて、くたんとなり全身の力が抜けてしまった。

「瑞穂のイッた姿。すげえ可愛かったよ」

 そういうと瑞穂にちゅっと軽くキスをしつつ、手は秘所から離れ、再び体中を軽く撫でることに専念している。

「ねえ、拓美。どこでこんなテクニックを覚えたのよ」
「ふふっうれしいね。やきもち?」
「そんなんじゃないってば!」
「気持ちよかった?」

 意地悪そうに拓美が尋ねた。

「すごく、感じちゃった。もう、まりやなんかと段違い!好きな人にされるのって快感が倍増するってホントだよね」
「お、聞き捨てならないな。まりやってお前の親戚の子だったよな」
「あ…。あは。あははは。恵泉に転入したばっかりの頃に、『ココは女の子ばっかりで、抜かないと大変な事になっちゃうから、抜いてあげるわね』って無理矢理されたんだってば。後輩の娘も毒牙にかけてるような傍若無人でアクマみたいな人だから、犬に咬まれたと思ってあきらめてます」
「うわーひっでーなー、親戚なんだろ?って、そんなにすごいのか?」
「だってね、恵泉行く羽目になった張本人の一人なんだもん」
「なるほどねえ。でも、俺はそのまりやって娘に感謝だな」
「なんで?」
「だって、俺が瑞穂と愛し合えるようになったのって、間接的かもしれないけどその娘のおかげでもあるんだろ?」
「まあ…そうかも」
「俺は感謝するよ。あと瑞穂のじいさんにも」
「そうね。最初遺言を聞いた時には、何考えてるの?って驚いたのだけれどね」
「瑞穂のじいさんってさ、瑞穂のこと孫娘と思いこんでたんじゃないのか?」
「うーん、小さい頃は確かに女の子の格好をさせられていたけど、小学校までだから」
「うはっ、そのころの瑞穂に出会いたかったな」
「何言ってるの。中学の入学式のちょっと前だよ」
「あっ、そう言われてみればそうだよな」

 拓美と瑞穂は昔話に花を咲かせかけた。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (12)

 いそいそとデートに出かける瑞穂を寮生3人は玄関で見送った。
「お待たせ」

 瑞穂が待ち合わせ場所に行くと、拓美はやはり先に来ていた。

「い…や、来たば…っかり」

 そう言いながら、拓美は瑞穂を見てドキドキし始めた。やっぱりかわいい。色っぽい。女らしい…女…それいいのか?瑞穂は男… そうお逡巡するが、瑞穂の一挙手一投足に目が奪われる。

「な…なあ、公園に行ってみないか?」
「…うん」

 駅の南口にある大きい恩賜公園に歩いていく。ここは人気が少ないと言っても隣町のような危険さは少ないし、なにより恩賜公園であるため、それなりに警備もされているので暴行事件はおこりにくい安全な場所だった。

 やがて、公園の池のほとりに出ると二人はベンチに座る。拓美は瑞穂がすわる場所にハンカチをさっとひくという技も覚えた。

「ありがとう、ごめんなさい。こんなスカートじゃなくてもっとデニムみたいな気を遣わない素材のにすればよかった?」

「い…いや、すごい似合ってる」

「ね。ねえ。先週の事なんだけど」

瑞穂がもじもじしながら、拓美に聞いた。聞かれた方ももじもじしている。

「えっ…な…何かな?」
「た。拓美にキ…キスされたけど、わたしの事…す…好き?」

 瑞穂は真っ赤になりながら、拓美に尋ねた。

「お、おう。好きだ」
「友達として?」
「友達として…いや…違う…それ以上かも」

ドキンドキン、瑞穂の胸は高鳴った。

「ねえ、今日はわたしに付き合ってっ」

 さらに真っ赤になると、すっくと立ち上がり、ハンカチをたたんで拓美に渡しながら、そのままハンカチを間に挟んだまま拓美の手を引っ張った。

「お、おい」

 拓美が問いかけても瑞穂は無口だった。しょうがないので拓美も押し黙った。
 瑞穂はそのまま、拓美の手を取ると公園の外れにあるブティックホテルにやってきた。ボタンで部屋を決めるシステムのホテルなのでフロントには人が居ない。
 少女趣味っぽい部屋のボタンを押すと鍵が払い出し口から出てきた。それをつかむと、電光掲示板の指示に従って二人は部屋に入る。
入り口で靴を脱ぐ為に手を離した。拓美の手の中に残されたハンカチはどちらの汗のせいかは判らなかったがじっとりとしていた。
 靴を脱ぎ、バッグを置くと、瑞穂はいきなり拓美に抱きついた。

「わたしも、あなたの事が好き。大好きになっちゃったの。自分でもおかしいと思うのだけれどあなたのことが大好きなの!」

 瑞穂はそう言いきると、拓美にしなだれかかった。拓美は瑞穂を思いっきり抱きしめてそれに応えた。
 興奮のあまりした抱擁が済むと、二人はベッドサイドに腰掛けて話し出した。

「なあ、瑞穂。俺…お前の事が男だって判っているのに、いつもお前のことばっかり考えちまってるんだよ。くそっ!こんなんじゃ、俺おかしくなっちまうよ!」
「それはわたしだって、同じ…。毎日毎日女の子の格好して、女の子として振る舞って、女の子として生活してたから、女の子として拓美を好きになっちゃったんじゃないのかな?そう考えるとおかしくなっちゃって、自己嫌悪に陥ってた。なのに、身体は別のことを考えてる。拓美にギュッと抱きしめられた時のあの力強い腕のこと。拓美にキスをされた時のあの唇の熱い感覚。夜、布団に入ると身体が拓美の感触を思い出すのよ」
「それは、俺も同じだよ。瑞穂の甘い声。瑞穂の甘い唇。瑞穂のかわいい目。自分の部屋でお前のことを思い出すだけで、身体が熱くなるんだ。…瑞穂」

 そう言うと拓美は瑞穂を抱きしめた。ドキンドキン!瑞穂の心拍数が跳ね上がった。顔がかぁあああっと火照りだし、胸がキュンとして、なにか萌え出づるものが出てきたような気がした。

 瑞穂は拓美を見上げるように顔を上げ、そして何かを期待するかのように目を閉じた。拓美は瑞穂を抱き寄せると、最初は遠慮がちに、しかしだんだんと力強く口をむさぼるように吸い続けた。

『んちゅ。ん…ちゅぱ…ちゅぱ』
『むぐ…あ…んはぁ…くちゅ…ちゅば』

 拓美は瑞穂と舌を絡めてキスを続けた。拓美の舌が瑞穂の口の中で暴れまくる。歯の裏の付け根の敏感な部分を優しく舌先で愛撫されると、急に瑞穂は腰に力が入らなくなってへなへなと崩れ落ちそうになった。
拓美はそんな瑞穂の変化を見逃さずに瑞穂を抱きかかえた。

『はぁはぁはぁ』

 瑞穂は息が上がってきている。キスだけで気をやってしまいそうだった。拓美はやさしく瑞穂の髪に手をかけた。

「なあ、本当に俺なんかでいいのか?」
「俺なんかじゃない!拓美だからっ!ねえ、自分に自信を持ってよ。それともわたしが信用できない?」
「い…いや、うちの学校じゃ俺は女にはモテない君だったからなあ」
「あのね、わたしの…恵泉の先生がこう言ってたの。『男だから。女だから。で好きになるのじゃないのよ』って。『たまたま好きになった人が同性だった。』ただそれだけ」
「それって…」
「うん。その先生の体験談」
「ふはぁ。女子校の先生って、すげえな。そうか。俺が好きになった瑞穂は、男も女も関係ねえ、ただの瑞穂だもんな。その先生に感謝しなくちゃな」
「うん、拓美に抱きしめられて、思い出したのね。わたし何迷っていたんだろうね。開正にいたままだったら、きっと単なる良い友達で一生終わってたかもしれない」
「人が人を好きになるって、そんなに複雑なことじゃ無いんだな…」
「でも、その好きになる想いは、とてもとても大事なこと…」
「瑞穂…、俺はお前が欲しい。お前のすべてを」
「うれしい。わたしもあなたに…」

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びゅりほでぃず(ブログ版) (11)

 拓美とファーストキスしてから最初の金曜日。瑞穂は一人で、こっそりと駅ビルにあるランジェリーフロアへ足を運んでいた。まりや達と何度もランジェリーショップで自分用のランジェリーは買っているのであるが、それはあくまでカモフラージュの為。そう割り切っていた。だからいつも買うのは可愛いけれど、女子高生なら普段使いする程度のものばかりだった。
 だが今日のお目当てのランジェリーは、いわゆる「勝負下着」と呼ばれる類のレースとフリルがいっぱいのかなり透けているやつだ。
春に初めてみんなで買い物に行った時は、ランジェリーショップへ入ることなど思いもよらなかったし、拓美と再会した日もやはり恥ずかしさで逃げ出していたが、今は拓美の為にドレスアップするのだと考え、生まれて初めて真剣にランジェリーを選んだ。無意識に顔もほころんでしまっているのは愛のなせる技か。
 店員にデート用のものが欲しいと相談すると出てきたのは、ストレッチレースのカップにバラの刺繍がほどこされたうすいピンク(さくら色と言った方が雰囲気が出るかも)ブラとショーツのセット。ショーツはフロント部分にバラの刺繍が施されているが、残りはストレッチレースで肌触りもやさしいものだった。セットとおそろいのデザインのガーターベルトと、ストッキングもかわいらしいものであった。

「お客さま。ガーターベルトはお使いになったことはございますか?」

 店員が聞いてくる。

「あ、初めてなんですけれど何か?」
「ガーターベルトは、ショーツの下につけていただくのと、ガーターベルトをしてからストッキングを着けてくださいね。ストッキングを着けたままにすると、スナップ部分で伸びてしまったりほつれたりいたしますので。あとこちらのガーターベルトはブラジャーと同じ金属のフックになってますので、引っかけないように気をつけてくださいね」
「へえ。そうなのですか」
「デート。うまくいくといいわね」

 そういうと店員さんは瑞穂にウィンクした。お茶目なお姉さんであった。

 次に向かったのはアクセサリーショップ。リップやファンデはまりやが用意してくれたものがあるので基本的にコスメは困らないのだが、アクセサリーは持っていなかった。
学内では不必要なものであるし、女の子同士で出かけるときも着飾ることはあまりなかったから。かわいい花のデザインのイヤリングとチョーカー、乙女チックなりぼんのついたバレッタを買った。

 最後に向かったのが靴屋さん。学院の制靴はローファーシューズ。外出用にローヒールのパンプスを持っているが、やはり、ハイヒールな女性らしい靴が欲しい。拓美が183センチ、瑞穂が173センチだから8センチヒールくらいでちょうど良いかなと思った。
 瑞穂が選んだのは淡い赤色のアンクルでストラップがついているお嬢様っぽいエナメルのハイヒールだった。ヒールの高い靴は履いたことがなかったので、慣れるまで部屋の中で歩く練習をする事になったのはご愛敬。

「はあ。女の子って大変なのね」

 そう実感する瑞穂だった。

 朝、起きると気分はバラ色。嗚呼、薔薇色の人生という感じに輝いていた。歯を磨き、シャワーで上から下まで綺麗にしてから、胸パッドを装着した後に、ブラから着けた。桜色のブラはとてもかわいい雰囲気を醸し出している。
そしてガーターベルトを締める。瑞穂の買ったガーターベルトはブラジャーと同じ作りの留め金が付いているので付け方はすぐにわかった。椅子に片足をかけ、ストッキングをはいていく。ストッキングはガーターベルトのつり下がっているヒモの先にあるスライド式の留め金にはさむ。ぱちんぱちんと前後左右の留め金を留めたら、ヒモの長さを調整する。
ぴったりのサイズに調整するとガーターベルトはウェストからヒップにかけてのなだらかなラインの場所に止まる。最後にショーツをはいて、綺麗に納めるとエロティックだがかわいいランジェリーに身を包んだ少女が現れた。

「パンストと違って、ちょっと心許ないかな」

 そう独りごちる。フリルの付いた白いコットンブラウスにピンクのボレロ。装飾過多ではなく、ささやかなリボンの付いピンク色の膝上丈のスカート。あまり短いとガーターベルトとストッキングが見えてしまうのでやや長めのものを選んだ。
 ドレッサーに座るとメイクを始めた。まずは髪をとかして、メイクの時に髪がじゃまにならないようにバレッタで軽く髪をまとめる。あとはヘアピンとカチューシャで髪をあげてメイクを始めた。
 瑞穂は恵泉に入ってからメイクをするようになった。それはもちろん本来男性であるので、より女性らしく見えるようにするカモフラージュの為。
 だが、今日は違う。いつもより気合いが入る。大好きな人のために装い、綺麗にするのである。女性も普段はこぎれいにする為にメイクするが、そでれもやっぱりデートの前には気合いが入る。(たまに気合いが入りすぎてど派手になる娘も。)
 幸いな事に瑞穂にはむだ毛がほとんど無く肌理細かい肌の持ち主であったために、ほとんど普通の女性と変わらないメイクで済んでいる。高校生という年齢もあるのでアイシャドーとか派手派手しいモノは使わないが、明るいオークルのファンデを塗り、パウダーを載せ、ちょっぴりピンク色のチークをさすとよりかわいらしい顔つきになった。まりやの指導の賜物である。この時ばかりはまりやに感謝した。
 リップを唇に乗せ、にりにりと唇をこすりあわせてなじませる。最後にティッシュを軽く咥え、余分なリップを落とした。ヘアピンとカチューシャを外して、髪を整える。

 花をモチーフとしたイヤリングとチョーカーを着け、左手には華奢なデザインのブレスレット型の腕時計をした。ショルダータイプのエナメルのハンドバッグを取ると、姿見の前でくるっと回ってみる。ふわっとスカートが軽く広がった。

「ん~。完璧♪」

 軽い朝食を取るために食堂に降りる。

「おはようございます。おね… うわー。すごく素敵です」

 由佳里ちゃんに感激された。奏ちゃんも大喜びだったが、まりやだけは、にしゃにしゃと悪巧みでもしているように笑っていた。
 軽くサラダを食べる終わると、瑞穂はメイク直しを始めた。

「いやー、随分、乙女になってきたねー、瑞穂ちゃん」
「ほんとっ(ぽっ)!?」
「いや。そこは反応違うから」

 まりやがからかうも、今日のデートで浮かれきっている瑞穂には何を言っても無駄だった。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (10)

「瑞穂は男。瑞穂は男」

 瑞穂と会う度に呪文のように瑞穂の性別を心の中で再確認をしてきた。だが、今日の瑞穂は拓美の心の防波堤をぶち破った。
かわいいセーターにかわいいスカート。しかも自分の腕によりかかってくれてる。
(これは行くと事まで行っちゃってもおっけーなのか?開正時代にはこんなんじゃなかったハズじゃないか。
俺は恋愛はノーマルだったハズだよな。でも見た目はノーマルカップルなんだよな。ごくっ。俺ヘンだ。瑞穂が欲しい。瑞穂を抱きしめたい。瑞穂にキスしたい。瑞穂に触れていたい。瑞穂を喜ばせたい。瑞穂の笑顔が見たい。うおおおおお、どうしちゃったんだ俺。ってどっかのコマーシャルみたいに手のうちのカードを見てみたら「告白」「告白」「告白」なんじゃこりゃー!ってかんじじゃあー。いかん、もう一度「瑞穂は男。瑞穂は男」)

ついに拓美の固い意志が決壊するときがやってきた。
ショッピングの後に映画を見に行った。こてこてのラブロマンス。拓美一人なら絶対見に行かないような作品だ。瑞穂は、最近女子寮で見る作品は恋愛物オンリーになってきているので、特に気にせずにチョイスした作品だった。

「なんか、映画館で恋愛映画なんか見るの初めてだよなー」
「いつも見に行くのはアクション映画かコメディばっかりだったよね」
「くううー、恋愛って良いなぁ」
「うん。いいよねえ」

 気分が盛り上がったままの帰り道、瑞穂がさりげなく言った一言に過剰反応してしまったのだ。

「わたしも、燃えるような恋愛したいな」

 その瞬間、拓美は瑞穂を抱きしめてキスをしていた。

「あ…」

 瑞穂は最初こそ驚いたが途中から目を閉じて拓美のキスを受け入れた。
やがて拓美は己の行動に気がついたのか、はっとして瑞穂の唇から自分の唇を離して、あわてて謝った。

「す…すまん。そんなつもりじゃ…」

 瑞穂は自分の唇に指を当て感触を再確認している。暫くして瑞穂は自分の心臓の鼓動が高鳴っている事に気がついた。

「ううん。拓美のは嫌じゃないよ」

 ちょっと赤面しながら、瑞穂は拓美に言った。

「あ…のさ。また来週…あえるかな?」
「あ…ああ。いいの?」
「うん。どうして聞き返すの?」
「いや、こんなことしちゃって嫌われたかと思った」
「なんで拓美のこと嫌うのよ」
「あ…ああ、また来週」

 どぎまぎしながらも拓美はOKした。OKを貰うと瑞穂は何故かダッシュで帰ってしまった。

(た…拓美とキスしちゃったよう~。きゃー、恥ずかしいけどなんか嬉しい。ってわたし、恋する乙女モードに入っちゃってるの~!? いや~ん。でへへへへ)
瑞穂の頭の中はピンク色に染まり上がっていた。

一方の拓美は。
(どうちしまったんだ俺。「瑞穂は男。瑞穂は男」そう思ってたじゃないか! 俺はホモじゃねーぞー!くそっ!)

「お、おかえり、瑞穂ちゃん。どうしたの嬉しそうだけど。なんか良いこと有ったんだ」

まりやが顔をにしゃにしゃして聞いてきた。

「えへへ。わかる?」
「おーおー、色恋沙汰?」
「え、なんでわかるの!?」
「瑞穂ちゃん、分かり易すぎだもん。で、何があったか白状なさい」
「ええとね、キスしちゃった♪」
「ほほう、誰と?」
「拓美にきまってるじゃない!」
「ふーん。おめでとう。にひひひひひ」

「おーい、由佳里~、奏ちゃ~ん。いいものを聞かせてあげるから食堂へおいで~」
こうして、瑞穂は今日のデートの顛末を根掘り葉掘り、洗いざらい聞き出された。とろけきった瑞穂を目の前にして、寮生は唖然とするばかりだった。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (9)

拓美と約束した土曜日、瑞穂はうきうきする半面心落ち着かなかった。
(わたしは男の子。拓美を意識しちゃってどうするの?異性としてって…拓美は男だからわたしが女じゃなくってええと、やっぱり同性愛?いやだわたしは普通に女の子に悶々とさせられてたから男の子だよね。最近まりやにどーじんそくばいかいっていうのに連れていかれて『渡良瀬さん』という女装の主人公が男女問わずやりまくるという本を一緒に買わされて、帰りのファミレスで『ホモの嫌いな女子はいませんっ!』って
力説されたし…ええとこう言う場合は拓美×瑞穂? ぶはっ自分でなんか想像しちゃった。
なんかキスシーンでバックに花びら散ってるし。瑞穂愛してるよ… ええ、拓美。わたしもよって。
ああああ、これじゃあタダのヘンタイさんだよう。)
一人妄想の暴走列車、シベリア超特急な瑞穂であった。
傍からみると一人で顔を赤くしたりもじもじししたり『いやーん』なんて言いながら体をくねくねさせたり。どこかぶっこわれていた。

「ま…まりやお姉さま? お姉さまどうされちゃったのでしょうか?」
「にははは、面白いからほおっておこう」

待ち合わせ場所に来ると拓美はすでに待っていた。瑞穂を見つけると嬉しそうに手を振ったがすぐに気恥ずかしそうに手を下した。

「お待たせ」
「い…いやぁいまきた所」
「今日ど…どこいくの?」
「軽くショッピングでもどうかなー、なーんて あはは…」
「いいよ、何買うの」
「ええと、なんにしようかなあ」

拓美は自爆した。

「変な拓美」
「えええとー、おれが瑞穂の服をみたててってのは、どうだあ?」

「へ?」
「いや、えっと。なんだその。もっとかわいらしい瑞穂が見てみたいんだ」

顔を真っ赤にしながら告白ターイムっなってしまってるのに気がつかない二人。

「えと。い…いいよ」
「ほんとかっ。じゃあ行こう、今いこう。すぐ行こう、瞬く間に行こう、たちどころに行こう、あっという間に行こうっ!」

瑞穂はあっけにとられながらも、拓美に連れられて洋服屋を目指した。

「やっぱり、婦人服…だよね…」
「かわいい瑞穂が見たいんだってば」
「あの~拓美さん?」

頼まれると嫌とは言えない性格が災いしてか、小悪魔きゅーと系とお嬢様系のお店であれこれ試着した。瑞穂に黄色いルーズネックのセーターにリボンのかわいいシフォン生地のスカートを買うとそのまま着替えさせた。

まりやたちと来る買い物も決して嫌ではなかったが、拓美とすると何故か浮き浮きする。

あなたが隣に居るだけで。

今日の瑞穂は、拓美の手ではなく腕に手を絡めてもじもじしながら買い物をこなした。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (8)

一方、拓美の方も女性にはモテない君と自称したくらいで女の子とのお付き合いは全くない。
男同士で遊びに行くだけと思っていた瑞穂との交友だったが、隣にいる瑞穂からはどんどん女の子っぽい仕草や女の子っぽいしゃべり方を繰り出され、免疫がない女の子らしい雰囲気にノックアウト寸前であった。

拓美も健全な高校生男子であるわけで、瑞穂の事を思い出しては下半身がもやもやしてきていた。

「瑞穂は男。瑞穂は男」

そう念仏を唱えるようになってきた拓美の表情は修行僧のよう。

「最近、何悩んでるんだよ。女関係か?それとも進学関係か?」

同級生にひやかされる。

「お…女関係なのかな」

しどろもどろに答える。

同級生には言えない秘密だよな。と思った。瑞穂が女だったら、こんなに悩まなくても済むのに…。

「拓美ちゃ~ん、元気だしなよぉ。振られたら骨だけは拾ってあげるからさ~」

同級生達は気楽に言った。

「そういえば、お前らさ鏑木の事覚えてるか」
「ああ、おねーちゃんか」
「やだ~、なにそれー」
「いや、女顔だったし、髪の毛は校則違反めいっぱいだけど、成績優秀で学校側黙らせちゃったって武勇? 伝は有名だったからなー」
「今頃さ、なにしてるんだろうな。なんかばたばたと転校してったけど」
「でもさー、今頃シンガポールあたりに行って、ニューハーフになってたりしてなー。『うふふ。あたし、きれい?』ってやってたりなー」
「ちょっとそれは言い過ぎだぞ」
「す…すまん菅野。お前鏑木と仲良かったからな。一時期出来てるとか噂されて、噂ばらまいたヤツをタコ殴りにしてたの忘れてた」
「でも、何してるんだろうねえ。金持ちの考えはわからんなー」
「あー、でもあいつ自身はえれー、びんぼくさかったけどな。昼飯は焼きそばパン1個と缶コーヒーだけとかさ」
「あんまり食べないから、あのウェストなのかしらねえ。うらやましいわねぇ」
「スカート似合うヒップだったわね。男で残念。というか女だったら嫉妬しちゃうかもね」
「あんまりしゃべらない地味なやつだったなあ」
「うん、それは120%認めるけどね」

まあ、鏑木瑞穂という存在は、派手ではないがそれなりに覚えられてはいたようだった。

毎夜毎夜、拓美は邪な夢を見るようになってきた。

「拓美…」

そういう瑞穂はシースルーのナイティ(寝間着)を着ている。胸もばよーんとあり(モデルは拓美が良く見ていたAVのおねえさん)ベッドに寝ている拓美に馬乗りになるように近づいてきては甘いキスをしてきた。

「ねぇ。えっちしよ…」

そういうと瑞穂はするすると拓美のかぶっていた布団の中に潜り込んできては胸を拓美の身体にすりつけた。

「おっぱい、大好きでしょ?知ってるんだゾ。えっちなビデオみて喜んでいるの」

マシュマロのような柔らかい胸がむにょむにょと拓美に押しつけられる。

「ねぇ、わたしのおっぱいじゃ興奮してくれないのかなぁ?」

そういうと瑞穂はさらに身体を密着してきた。拓美はシャツとトランクスで寝るので瑞穂の肌の感触がダイレクトに伝わる。

瑞穂が拓美の足に両足を絡めてきた。じっとりとした湿り気が瑞穂の足の付け根から拓美のふとももに伝わる。

プレスキスからフレンチキスへ。

「わたしとしたい?」
「ああ、瑞穂としたい」

そして、ごちそうさま♪

そこで目が覚める。トランクスの中が青臭い匂いが充満し、布地には白くにゅるっとしたほとばしりがついていた。

「やっちまった。俺って最低だ。…瑞穂、ごめんっ!」

こんなところまで、妙に律儀な拓美であった。

「瑞穂は男。瑞穂は男っ!」

朝のさわやかな景色の中で、煩悩の叫びがこだました。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (7)

次の週、瑞穂たちは隣町の駅ビルに一緒に出かけた。二人で行けば安心だと言う考えも有ってのことだ。

「へぇ。こういうお店には、入ったこと無いな」

拓美が感心しているのは、以前来たときにまりやが散々くさしていたセレクトショップだった。

「同じような商品が並んでいるのにお店によって雰囲気が違うから面白いよ」
「ホントだね。これなんか瑞穂に似合いそうだよ」
「うー、本当は似合っても困るんだけどなあ」

ぷっくりとほっぺたをふくらまして瑞穂は抗議した。

「あ…ああ、そうだったな。いや、すまん」

毎週拓美と遊びに行くのが学院内で噂になり、学院新聞などで尾ひれの付いたとんでもない話になっていたが、実際は微笑ましい高校生同士の幼いデートのようなものだった。瑞穂は元々友達という認識で拓美と付き合っていたし、拓美にしても瑞穂は男だと思っているから、不純異性交遊などという話はあり得ない。(不純同性交遊というのであれば大いにあり得る話だが)

「ねえ、瑞穂ちゃん。あんた男と付き合ってるってホント?一体どういう事なの?」

まりやが昼食を食べに移動しようとした時に、小さい声で瑞穂を問い詰めてきた。

「恋人なんかじゃないですよ。開正時代のクラスメートですから」
「それにしては、噂になるのが早いじゃない」
「私に言われても、それはわからないのだけれど…」
「おめかしして行ったの?」
「まさか。昔の友達に会うのにそんなことおめかしなんかしてないわ。タートルネックのセーターにパンツ、スニーカー。普通でしょ?」
「寮に帰ったらじっくりとお話をうかがいましょうかね。私がしりたいのは事実なの。真実じゃなくてね」

夕方、寮ではなんと瑞穂の親しい友人たちが十数人、食堂に詰めかけていた。

「で、本当の所は一体どうなってるのよ?」

みんなが聞きたがっている所をまりやが、単刀直入に切り出した。

「本当も何も、この間隣町の駅ビルに買い物に寮のみんなで行ったわよね? 用事があるので途中で抜けたのよ。用事の帰りに不良に絡まれてしまったんですけれど、たまたま居合わせた開正時代のクラスメートが助けてくれたの。これでいい?」

「ふっ…不良にからまれたですかっ!どうしておっしゃってくれなかったのですか!もう。あの時のような想いはしたくありませんのに」
「ごめんなさい。貴子さん」
「お姉さまっ。今回も無事だったから良いような物ですが、お怪我をなさったら困ります」
「もう、こんな事はしませんから」

瑞穂は平身低頭あやまって、この話はそこで終わった。結局、みんなからはそのクラスメートの事を根掘り葉掘りたずねられた。
名前は菅野拓美。身長183のハンサムな事。何よりも紳士でやさしい事。本当は男同士の話なのだが、男女間の話に聞こえるようなエピソードが並べられると、拓美のファンが10人ほど増えた。

「ふうー。みんなどうして拓美とわたしをくっつけたがるのかしら」ベッドの中で瑞穂はぼそりとつぶやく。
「お姉さま、お姉さま~、お姉さまも幸穂お姉さまと同様に男性の元に走ってしまわれるのですね。やっぱりこんなへっぽこ幽霊三等兵との薔薇色の百合生活よりも男の方のたくましい身体に抱かれる方が素敵なんだわ。わーん。ってこの場合男性の元で愛される方が薔薇なわけだから、こっちの方がやっぱり薔薇色なの?」
「一子ちゃん、ちょっと落ち着いて頂戴な、知っての通り拓美は、ただのお友達」
「開正時代はどうだったのですか?」
「んー、とても気がつく人だったわね。開正時代のわたしって、人付き合いが下手だったのだけれど彼はわたしにいろいろと話しかけてくれたりしたわね。『瑞穂、一緒にご飯食べようぜ』「瑞穂、映画見に行かないか』『瑞穂、元気出せよ』『瑞穂、がんばろうぜ』って」
「あはは、お姉さま。それ恋人同士の会話ですよ」
「え…そうかな。うーん。」
「あ、落ち込まないでくださいよ」
「彼、とってもいいヤツなのよね」

そう、一子に自慢している様子は、もはや彼氏自慢のおのろけにしか聞こえないのだが、良く気が利く一子は黙っていようと心に決めた。

「お姉さま?拓美さんの事お好きなのですか」
「うん、大好きな人だよ。もちろんまりやも紫苑さんも一子ちゃんも奏ちゃんもだけどね」

その晩、瑞穂は新婚夫婦になった夢をみた。もちろん瑞穂は新妻だった。
台所でエプロンを着け、かいがいしく朝食の準備をする。ベッドルームに行って旦那さまをゆっくりと起こす。

「あなた~。起きて頂戴~。朝ご飯よ~」
「ん、おはようのキスは?」
「もー、あまえんぼさんなんだから。ちゅっ」
「朝ご飯は瑞穂がいいなあ」
「朝からえっちねっ!もう、いそがないと遅刻しちゃうわよ」

瑞穂のおしりに旦那の手が伸びる。ゆっくりと誘うようになでまわすと、腰に手を回し自らの方に引き寄せる。
もう一度ディープキスをした…

…ところで目が覚めた。

「え?何?今の夢…お…く…さ…ん?えええええええええっなんじゃそりゃー!」
瑞穂は自分の夢を思い出して赤面した。それもそのはず、あまあまな新婚生活の相手は拓美で、自分はあろう事か奥さん役。

「僕って、男だったよね…?」

がっくりと落ち込みながら胸と股間を確認してみる瑞穂。だれかが見たらとてもえっちぃと思う状況だったりするわけだけど、それはさておき。

なにか悶々とする瑞穂であった。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (6)

 お気に入りになったにゃんこの着ぐるみパジャマに着替えて、ベッドに潜り込むと、思い出すのは今日の出来事。自分は男で、陵辱されることは無いはずだと判っていても恐怖体験が思い出された。
颯爽と現れた白馬の騎士。白馬には乗ってなかったし、騎士でもないけれど、拓美が助けに来てくれたという事を必ず思い出すことにして、恐怖を打ち消した。
そして最後には拓美が抱きしめて安心させてくれた事を思い起こして安心をした。

「拓美が居てくれて、よかった」

そう、ひとりごちるとようやく落ち着いて眠る事が出来た。

土曜日、瑞穂はタートルネックのセーターにジーンズ、パンツルックとスニーカーというユニセックス風のいでたちで出かけた。ハンドバッグを持って行ったのは、パンツのポケットにモノを入れる習慣を止めてしまっていたから。

「お待たせ…しちゃった?」

 待ち合わせの時間よりもうんと早い時間に来たのに、すでに拓美は待ち合わせ場所にいた。

「いや、今きたところ」

 こんな事を言っているけれども、本当は瑞穂よりもずっと早くきていたに違いない。拓美は瑞穂の事が心配でしようがないのだから。

「今日は遊園地で思いっきり遊ぼうな」

 拓美は駅の方に行こうとした。拓美の横に並んだ瑞穂は、すっと拓美と手を繋いだ。いつも紫苑と一緒に歩く時に手をつなぐので、本当に無意識に手が伸びたのだ。
 拓美は慣れていない為にドキリとしたが、瑞穂は気にせずニコニコと話しかけてきた。

「遊園地なんて、久しぶりだから楽しみだよ~」
「あ…ああ」
「うちは父様が忙しかったので、遊園地に家族みんなで行った記憶がないよ、母様も病弱だったから」
「そうか…」
「どうしたの?顔が赤いけど?」

 瑞穂は身長の差から、上目遣いで拓美をみつめつつ尋ねた。

「い、いや。なんでもないよ」
「ふーん、変な拓美」

 くすっと、瑞穂が笑った。その笑顔を見て、拓美の胸の奥で何かがコトリと動き始めた。

「電車の切符買ってくるね」

 そういうと、瑞穂は拓美から手を離し、切符売り場へ向かった。拓美は自分の手のひらを見つめ、瑞穂の温もりを反芻した。
 電車に乗るとシートはほぼ満席で、拓美は瑞穂に席を勧めて自分は立っていた。

「一緒に立っててもいいのに」

と瑞穂が抗議しても、いいからと言って座らせた。一緒に立っていては、瑞穂が自然と手をつないでしまうから、拓美はそれに対応しかねていたのである、
 次の駅でおばあさんが乗ってきたので、瑞穂は拓美に目配せしておばあさんを瑞穂の席へと導かせた。席を譲ると瑞穂は左手でつり革に掴まりながら、やはり、何の気なしに右手で拓美の空いている左手をつかんだ。

「あら、お嬢さんありがとう。あなたたち恋人同士なの?いいわね、初々しいカップルで」

 おばあさんはお礼をいいながら、瑞穂と拓美に声をかけてきた。

「い…いえ、単に学校の同級生なだけですよ」

そう、拓美が否定する。それを聞いた瑞穂の胸の奥で何かがちくりとした。

「あら?そう。それでも仲が良いのね」

「ええ、そうなんです」

 瑞穂はちょっとムキになって親密さをアピールしてみた。自分が一体何に焦っているのか瑞穂にはまったく判らなかったのだけれど。 
 一方の拓美は拓美で、否定した瞬間に、やはり心の奥で何かちくりとした。

「ふー、今日は楽しかったね」

 帰りの電車の中で瑞穂が満足そうに言った。隣同士で座っているので、顔が近い。拓美は瑞穂の顔を間近で見ていた。開正時代には気がつかなかったが、瑞穂のまつげは長く、目はぱっちり。ほっぺたから顎にかけて、髭などこれっぽちもなくつるつる。何よりもなまめかしく感じる唇は、やわらかそうに輝いていた。

「み…瑞穂って、意外にこわがりなんだな、キャーキャー言ってさ」
「こわがりというよりジェットコースターの類が苦手なだけです。」

 拓美は当たり障りの無い話題を振ってみてから、本題に入った。

「ご飯でも食べていこうか」
「ラーメン?」
「そういえば、瑞穂は開正の時も良くラーメン食ってたな」
「学院の食堂には汁物のメニューが一切ないし、寮も基本は英国式洋食だから、ラーメンが恋しくて」
「さすがは、お嬢様学校だな」
「生まれてこの方ラーメンを一度も食べた事ないって言うお嬢様も居るしね」
「へぇ。それはすごいな」
「じゃあ、おいしいラーメン屋さんに行こ」
「もしかして、行きつけとか」
「えへへ。バレた?」

「へい、いらっしゃーい」
「おじさん、こんにちわー」
「お、お嬢ちゃん。今日は彼氏とデートかい」
「うん、そんな感じだよ」
「よっしゃー、今日は記念におまけしちゃうよ」
「じゃあ、いつものラーメンね」
「ほい。そこの彼氏は?ニンニク入りチャーシュー麺で精でもつけるかい?」
「もう、おじさんったら」
「あはははー、お嬢様学校の娘さんには向かないネタだったね」

 店の店主とおしゃべりを弾ませる瑞穂を見て、拓美の心から平安が消えかかった。

「…えっと、ニンニク抜きのチャーシュー麺でお願いします」
「はいよっ」
「ここのラーメンはね。本当においしいから」
「たしかに、良いにおいが漂っててお腹が鳴るよね」
「ほいっ。ラーメンお待ちっ。チャーシューおまけしたからね。こっちの彼氏は大盛りな。がっつり喰わねーと女の子にサービスできねーぞ。ってデート中に言う台詞じゃないね。わりいねっ」

 二人は熱々のラーメンをちゅるちゅるとすする。

「やっぱりラーメンはいいよね。人類が生み出した文化の極みだよね」

 ラーメンを食べ終わると、満足そうに瑞穂は言った。

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びゅりほでぃず(ブログ版) (5)

「おいっ。君、大丈夫かい?え… お前瑞穂… 鏑木瑞穂か?」

 瑞穂を助けた男の子は菅野 拓美。開正中等部からの瑞穂の親友だった男だ。お互い女っぽい名前だということで息投合したが、拓美は名前に似合わず漢らしい好青年であった。現に今でも、見知らぬ女の子(と思っていた)瑞穂を助けようとしたほどだ。
 今の瑞穂の胸には接着剤でしっかりとニセ胸が付いているので、ボタンが引きちぎられブラジャーがずり上げられた胸元には、かわいらしい乳首がついた双丘が露出していた。その状況に気が付くと、ニセ胸を付けているのをよりにもよって親友に見られたという恥ずかしさから顔を真っ赤にして胸を隠したのであるが、拓美は女性的な羞恥心から胸を隠したと勘違いした。ベットの上でぺたんと女の子座りしていたので、説得力も出ようというものだ。

「ええっ!お前、女だったのか!?」

 思わず叫んでしまったが、あわてて瑞穂を気遣った。

「ご…ごめん。見るつもりじゃ無かったんだ。ほらっ、これでも羽織りな」

 そういうと自分の着ていたジャケットを瑞穂に羽織らせた。

「すまん。もっと早く来てあげられたらよかったんだが」

 そう謝ると、瑞穂を安心させる為にぎゅっとジャケットの上から抱きしめると、安心感からか瑞穂は声高に泣き出した。

「拓美ぃ。うっうっうっ」
「大丈夫。警察は来ないから。安心しな」

 瑞穂が落ち着くまで拓美は瑞穂をしっかりと抱きしめていた。

 状態が状態なので、どこか休憩できる場所ということでビジネスホテルに入った。瑞穂の顔が真っ青だったので『気分が悪いらしいので休ませて貰いたい』と頼んでもすんなり受け入れられた。
「大丈夫ですか?」とホテルの支配人に心配されたが、何かあったら女性従業員を呼ばせて貰うということで部屋に入った。
 部屋にはいると、瑞穂は口に吐き出された汚物をゆすぎ落とした。いくら口をゆすいでも嫌な感覚は落ちなかった。

「そうか、爺さんの遺言で女の格好してるのか。ビックリしたよ。本当の女になっちまったのかと思ってさ」
「たぶん普通にみたら、女の子だと思うよね。メイクまでしてるから」
「昔から瑞穂は、女顔だとか言われてへこんでいたよな。まあ母親の遺言だっけ?髪を切るなっていうもんだから、ますます女っぽく見えてなー」
「おまけに名前が『みずほ』と来た日には…だったよね」
「まあ、女っぽい名前のやつは継巳(つぐみ)とか和己(かずみ)とか少なくはなかったけど、おまえは外見もなんだその、女っぽかったから大変だったよな」
「うん、そうだ。聞いてよ。恵泉女学院にはエルダーシスターっていう制度があるのよね」
「エルダーシスターって、たしか学園ナンバーワンの女性を学校中で選挙して決めるってやつだっけ」
「よく知ってるわね。理事長の孫の僕が知らなかったのに」

 久しぶりの親友との会話で瑞穂の一人称が「わたし」から「僕」に戻っていた。

「まあな。それより瑞穂。しゃべり方がえらく女っぽくなってねーか?」
「んー、そのエルダーシスターに僕が選ばれちゃったの」
「ひえー。女の中の女が男なのか。すげー世の中だな」
「最近じゃ、ロシアのミスコンの優勝者が男性だったとか平気であるから。もう驚くのは止めにしちゃった」
「ふーん、しっかし、見かけも女っぽいし声もしぐさも完全に女性っぽい。その上しゃべり方まで女性っぽくなって、お前の性別知っててもにわかに信じられないな」
「学院内で『お姉さま』と呼ばれて、一応憧憬の対象とされちゃってるので、ボロが出ないようにするの大変」

 瑞穂は、襲われたショックから立ち直って落ち着いたのかそれとも親友に自分の秘密を打ち明けられてほっとしたのか判らないが、いつもより饒舌であった。

「ボロ?」
「ええ、最初の頃はお手洗いに行くだけでも大変。つい便座をあげて用を足しそうになってしまうし、音姫使わずに用を足してしまったり」
「何だい?その音姫ってのは?」
「あ、知らない?女性は小用の音を聞かれるのが恥ずかしいから、用をたす時に水を流すのだけど、水がもったいないからって音だけ流す機械があって、女子便所には標準装備になってる」
「ふーん、大変なんだな」
「やっぱり、ほら。女性には幻想ってものを持ってたわけじゃない。それがどんどん打ち壊されて、カルチャーショックで大変だったのに女性の規範である『お姉さま』に担ぎ上げられちゃって…」
「なあ、瑞穂。俺でよかったらさ。お前の気分転換につきあうぜ。それに男連れに見える方が、危険な目にも遭わなくてすむしな」
「そうだよね。護身術習ってたはずなのに、全然役に立たなかったし…」
「そうそう、何時ならあいてる?」
「うーん、土曜日ならお昼ちょっと前から大丈夫」
「じゃあ土曜日に、場所は…こっちより恵泉女学院もよりの駅の方が安心だな」
「うん。うれしいよ」
「落ち着いたところで、送ろうか」

 そう言ったところで拓美は瑞穂の胸の部分を見た。暴漢にブラウスが引きちぎられたままで、このまま女子寮に帰ると悪目立ちすることになる。

「あ…これじゃ、まずいな。そのままジャケット貸すのも目立つな。よし、ちょっと汗臭いかもしれないけど、これ羽織ってくれ」

 そういうと拓美は、瑞穂に自分の体育ジャージの上着を羽織らせ、恵泉女学院まで送ってくれた。寮に入ると、各人夕食前の支度をしているようで玄関ロビーにも誰も居なかったので、そっと自分の部屋に戻ると急いでワンピースに着替えた。拓美にジャージを返すから待ってて欲しいと頼んだが、女子寮前に男が居て噂になるのもそれはそれでまずかろうと気を遣ってくれた。

 夕食をすませると、TVを見ている他の3人を食堂に残し、自室に戻って洗濯用のエプロンを着けランドリーに向かった。拓美のジャージを綺麗に洗濯して返すためだ。恵泉女子寮も基本は自分で洗濯をする。洗濯機の洗濯物を見つめながら、今日の出来事を思い出していた。もちろん暴行された嫌な部分ではなく、白馬の王子のように現れた親友との楽しい時間の方だ。
  温風乾燥機までかけると、ジャージを丁寧に折りたたんで部屋に持ち帰った。そのまま返すのも気まずいかと思い綺麗にラッピングして紙袋に入れた。ぼーっとベッドの上で座っていると「とぅるるるるる」と携帯電話がなった。

「はい、宮小路です。あ…瑞穂です」

 電話の相手は拓美だった。拓美には宮小路の名前は教えてなかったのであわてて「瑞穂」を名乗った。

「うん、もう落ち着いた。大丈夫。ほんと。心配かけてごめん」

 拓美は優しい声で瑞穂の容態を気遣った。開正時代の記憶では拓美という人間は他人に対して最大限に気配りが出来る人物だった。その優しさに触れながら、話をしているうちに何故か目から涙があふれだしてしまう。

『おい。瑞穂!どうした?大丈夫か?』
「ご、ごめん。どうしてかな、涙が止まらない」

 自分の感情を抑えられないのは初めてだ。携帯電話を握りしめながら瑞穂は体育座りの格好のまましばらく泣いた。拓美は瑞穂が泣くのをやめるまで、携帯電話の向こうでじっと待っていた。

「ごめん、拓美。もう平気」
『そうか。また土曜日にゆっくり話そうな』

 そういうと、電話を切った。電話越しであるが、他人と繋がっているという思いがこれほど力強く思えたことは瑞穂にはなかった。

(つづく)

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びゅりほでぃず(ブログ版) (4)

 こっそり離脱した瑞穂は、人混みをさけるように裏通りへの道を選んだ。護身術の心得もあり、なおかつ自分が女であるという認識に欠ける瑞穂は、危険に無頓着であるため人気の少ない方へ進む。
そんな瑞穂を狙うハイエナのような連中がいた。

「おっ。あの女すげぇ美人だな。やりて~」
「拉致っちゃおうぜ」

 男達はそうささやき合うとターゲットにされた瑞穂を遠くからねめ回した。

「彼女~。ひとりぃ?」

 3人組の男達が瑞穂を取り囲む。

「あ…あの。何でしょうか?」

 街に出るとこれまでもナンパは多々されてきたが、今回の3人組は少々チンピラがかった下衆な感じのする男達であった。
 下手に毅然な態度を取ると、逆上されかねないのでやんわりと返事をした。

「ねぇ、俺たちに付き合ってくれね?」

 にやにやとして先陣を切った優男が頭の足りなさそうな言い方をした。

「あの、わたし。用事がありますので…」

 そう言って逃げようとするが、取り囲まれてしまっているので身動きが出来ない。護身術で切り抜けるにしては間合いが狭すぎた。

「そんな事言わないでさあ」

 別のサーファーっぽい男が瑞穂の手首を握った。

「やめて下さい。人を…人を呼びますよ」

 そう切り返しているとバチッっとお腹のあたりで何かがはじけるような音がして、瑞穂の意識は飛んだ。

「お姉ちゃん、大丈夫かい。どこか休憩出来るところに行こうか」

 と、わざとらしい演技をする優男。手には小型のスタンガンが握られている。瑞穂の死角からスタンガンを出してきたのと、注意をサーファーに払いきっていたため、迂闊にも気がつかなかった。その為か、貴子の襲われた際に見せた暴漢撃退の手際の良さは影も形もなかった。
 体育会系っぽい男が瑞穂をひょいとお姫様だっこをして連れて行った。学生鞄はサーファーが持って後ろから歩いていった。とても手慣れた連係プレーだった。

 駅前からほど近い放置された廃業したパチンコ店に3人組は瑞穂を拉致していった。

「じゃあ、まずは両手を縛ってベッドに寝かせておけ」
「足はどうしますか?」
「逃げられないようにそれぞれの足をベッドの足にくくって大の字にしてくれ。」
「いきなりSMですか」
「いや、この女でけぇから用心の為だって」

 そういうと男達は手足を縛ってからベッドに横たわっている瑞穂の頬を叩いて、瑞穂の意識を取り戻させた。

「おっと、お姫様のお目覚めだ」

 そういうと優男は、瑞穂の上にしなだれかかると、瑞穂の胸を揉みしだきだした。

「ほほぉ、マシュマロみたいに柔らかいぜ。くせになりそうだな」

 男の手は瑞穂の乳房を、右胸は時計回りに左胸は反時計回りに弄ぶ。

「だぁっ!この制服脱がせにくいな」

 しばらくすると男はブラウスのボタンを引きちぎった。見知らぬ男に陵辱されたという衝撃で、瑞穂の目には涙があふれてしまった。
 一体わたしが何をしたというのだろう。しかも何故。見知らぬ「男」に弄ばれなくてはならないのか。
…その時であった。

「おいっ!お前らっ、女の子によってたかって何してるんだっ!」

 鋭い声だった。瑞穂の頭の上の方から男の子の声が聞こえた。
瑞穂からは一瞥できなかったが男の子の手には携帯が握られている。

「あんだぁ?てめぇは」
「その娘をはなせ」

 男の子は毅然とした態度で返す。

「ふざけんじゃねえぞ。一人でノコノコ来やがって、てめぇぶっ殺してやろうか!」
「そんな事言って大丈夫なつもりかい?」

 冷静に男達を制する。

「はぁ?何を言ってんだ?このうすらトンカチが」
「今どことつながってると思う?警察だよ。お前らの犯罪の証拠も顔写真もテレビ電話で全部警察にリアルタイムで通報されてるんだがな。いやホント便利な時代だよなビバ!テクノロジーってやつかな」

 軽口を叩きながら、携帯のカメラを男達一人一人にゆっくりと向けた。

「おい、マジかよ。ちょ。俺は抜けるぜ」
「うわぁっ。に、にげろぉ!」

 男たちは統制もへったくれもなく、這う這うの体で逃げ出した。残されたのはベッドに縛り付けられていた瑞穂だけになった。急いで手首と足首にまかれたロープをほどき、口輪をはずした。

「えぐっ。えぐっ」

 瑞穂はすすり泣きを続けていた。いくら護身の覚えがあろうとも一旦不覚を取ってしまえば、どうしようもなかった。

(つづく)

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びゅりほでぃず(ブログ版) (3)

「お姉さま。ガーターベルトとストッキングがありますなのですよ。これは大人の女性っぽいアイテムで奏あこがれちゃうのですよ~。お姉さまや紫苑お姉さまみたいな大人っぽい人じゃないと似合わないので、奏もいつかはこういうのが似合う女の人になりたいのですよ~」

「奏ちゃんだと少女っぽいフリフリなリングガーターとかになっちゃうものね」

 ファッションにこだわりを持つまりやはさっそく奏ちゃんに指南を始める。

 自分の好みのデザインを自分にあてたりしながらもしっかりと瑞穂に似合いそうな(もっとも各人の趣味は丸出しな)商品を持ってきては瑞穂の制服の上からあてがっては瑞穂を恥ずかしがらせる。   

 極めつけは紫苑がうきうきと持ってきた3点セット(ブラとショーツとガーターベルトの3つ)だった。紫苑は嫌がる瑞穂に向かって嬉々としてランジェリーセットをあてがった。

「あのー、紫苑さん? このブラジャーにはその…胸のカップが…ありませんけど」

「あら、そうですわね。そういうデザインなのでしょう。でも大丈夫みたいですわ。ほら、ココにちゃんとサポートワイヤーが入ってますから、バストのサポートは安心ですわ」

「あのー、紫苑さん? このショーツはヒモしかないのですが…それに大事な部分にはなんかお団子みたいにヒモが2つほど結んでありますが…」

「まあ、そういうデザインなのですね(にっこり)」

「あのー、紫苑さん? これをわたしに着けろとおっしゃるのですか?」

「まあ、やっと気がつきましたの?うふふ。お似合いですわよ」

「あのー、紫苑さん? わたしの事情をご存じの上であえておっしゃっているのでしょうか?」

「あら、そういえば。すっかり忘れておりましたわ」

 そういうと紫苑はコロコロと笑った。その笑顔は瑞穂をがっくりと落ち込ませた。

「で、由佳里ちゃんと奏ちゃんは、このフリルのかたまりのランジェリーですか?」

 瑞穂は、期待に満ちたわんこのような目で二人から見つめられる。こくこくと首を縦にふる二人。

「…わかりました。当ててみましょう」

 そういうと瑞穂はブラジャーとショーツを自分の前に当てて二人に見えるようにした。

「うっわー、お姉様お似合いです。」

「甘ロリもお似合いになるので、こういうのも大丈夫と思ってましたが、やっぱりお似合いなのですよ~」

 二人は興奮しきりだ。

瑞穂のげんなりしかかった表情を見て取って、紫苑が瑞穂にそっと耳打ちした。

「瑞穂さん、このフロアには男性の方はほとんどいらっしゃらないので、恥ずかしがることはありませんわ」

「そうは、言いましても…(言えない。男としては女性の目の方が気になってるなんて言えない!)」

「みーずほちゃん、あんまりもじもじしてる方が変に思われるわよー」

「わ…わたしは、これでいいからー」

 瑞穂はそういって、シンプルなデザイン、つまりフリルなどの過剰装飾がないオレンジ色の、チェック模様のブラパンセットを握りしめると逃げるようにレジに向かって走っていった。

「あーらら、紫苑さま~。ランジェリー選びの楽しみを覚えてもらうまでには、まだまだかかりそうですわねえ」

「そうですわね。女性ならではの嗜みを、覚えていただかなくてはいけませんわね。また、かわいらしい瑞穂さんも愛でてみたいですわね」

「瑞穂ちゃんったら、すごく遠いレジまで行っちゃったみたいですね。はぁ。今日はここまでですね。残念っ!」

 どこかの売れなくなった芸人の決めぜりふみたいな事を言って、まりやたちは瑞穂を追いかけた。

 ランジェリーフロアでの買い物をすますと、みんなでファンシーグッズ売り場で行った。

 この売り場で一番興奮していたのが、紫苑であった。

「あのー、紫苑さん? 大丈夫ですか?」

 今日何度目の「あのー、紫苑さん」だろうか。紫苑は子供のような目をして振り向いて叫んだ。

「だって~、みんなかわいいんですもの~」

 お金に余裕があれば、店ごと買い占めかねない勢いであった。幸い? なことに紫苑はお小遣いはそんなに貰っていないようだったので、買い占めはあきらめたようだったが、実にくやしそうな雰囲気であった。

 まりやの希望でその後セレクトショップを冷やかして歩いた。

セレクトショップというのは店主が、売る物を自分のセンスで選んで並べるのでセレクトショップと言う。店によって、オーナーのセンスが違いがはっきり出るので、ファッションに疎い男の瑞穂でも感心することしきりだ。

「うーん、どれもいまいちね」

「おー、ファッション評論家のまりや先生のお言葉は違うね~」

「なによ、瑞穂ちゃん。どの店もセンスがいまいちじゃない。そんなこともわからないの?」

「ひぃいいい。まりやってば怖いわよ。第一わたしは、ファッションにあんまり興味ないし」

「女に生まれて、きれいに着飾らなければ、それは世界に対する侮辱よ!」

「あ…の…?まーりやさん?それはわたしに言ってるの?」

「あったりま…あ…にゃははははは」

「えー、まりやお姉さま、何ですかー?」

「いや、なんでもないない、由佳里もセンス悪い店と思わなかった?」

「うーん、わたしはあんまり気にしなかったですが」

「由佳里くん、ちみも着飾る事を覚えたまい」

 まりやは怪しげな日本語をあやつりごまかしを図る。

「とりあえず、もうお夕飯の時間が近いから、帰りましょうか」

 瑞穂はこの場を納めるべく提案をした。

女性向けファッションフロアからマニアさん向けフロアを抜けた先に駅の改札がある。

 みんなとしゃべりながら歩いていた瑞穂は、遙か向こうに見覚えのある団体を見つけた。

 ドキン。半年ちょっと前まで自分も着ていた、開正の制服だ。しかも、2年間同じクラスだった神村、木村、榊原、草柳の4人。瑞穂がどんなに変装したって、こいつらには一目瞭然だろう。

そもそも、化粧してるからと言ってまったく別人には見えるわけじゃないので、一発でバレる。今はともかく遭遇はしたくない。そう思った。

 瑞穂の目は非常に良い。体育祭の日に、目の良い由佳里が見えなかった一子を一瞥しただけで認識できたほどだ。相手側からはまず認識できない状態だといえるだろう。いまなら、まだ相手に気づかれる前に離脱できる。

「まりや。ちょっと…」

 瑞穂はまりやを引き寄せると、耳打ちした。

「駅のコンコースの向こう側に開正のクラスメイトだった4人組がいるのよ。見つかって声をかけられたらいろいろと問題になるから先に帰るわね」

「ん!いいわよ。瑞穂ちゃん。いくらなんでも、由佳里や奏ちゃんにバレるとまずいし、トラブルは避けた方がいいものね」

「ありがとう。まりや」

 そういうと瑞穂は開正のクラスメイトに判らないようにこっそりと、他の4人から離れて別行動になった。

「あれ?お姉さまどうしちゃったんでしょうか?」

 由佳里が瑞穂が居ない事に気がついた。

「あ、ちょっと用事があるので、先に帰るって。」

「えー、ちょっとしょんぼりです」

「由佳里~、一子ちゃんみたいな事言わないの」

(つづく)

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びゅりほでぃず(ブログ版) (2)

 電車に乗り隣町まで1駅である。しかしホームにはいつもよりも多い人が居て、身動きがとりにくい程だった。

「この人ごみって、もしかして隣町の駅ビルに用がある人たちかな?」

 まりやがつぶやいた。

「そのようですわね。こんなに人が多いとは思いもよりませんでしたわね」

 紫苑が、ため息をついた。

 山手線並のラッシュをやり過ごすと、2階改札口の駅ビル出口を目指した。

 テナントショップフロアに直接出られる出口専用の改札口で、改札を抜けるとそこはショッピングモールだった。

「お姉さま。おいしそうなお菓子がいっぱい売っているのですよ~」

 奏ちゃんは興奮して鼻息が荒い。

「あはは。紫苑さん、まりや。どうでしょう。ここはまず腹ごしらえということで」

「まあ、瑞穂さん、腹ごしらえなんてはしたないですよ。でも何か食べるのは賛成ですわね。こう、あま~い臭いが鼻孔をくすぐって、がまんできませんわね」

 くすくす笑いながら紫苑も賛成した。

「ほーらいってこーい!」

 まりやが由佳里達の尻を叩く。

「あの、まりや…由佳里ちゃんと奏ちゃんは犬じゃないのだけれど?」

「にははは。でも、見てごらんよ。二人ともしっぽを振って大はしゃぎしているわんこみたいだよ」

 まりやはそう言うと二人の方をあごをしゃくって示した。

「はわわ~。このいちごさんのクレープはとてもおいしそうなのですよ」

「あ、ハンバーグのクレープもあるのね」

 クレープ屋さんでそれぞれのお気に入り食材を使ったモノを見つけるといそいそと注文をする。

「わたくしたちもクレープにいたしましょうか」

 紫苑の提案に、瑞穂もまりやも同意する。

「瑞穂ちゃん、場所取っておくからバナナクレープ1つね」

 まりやは要領よく座席を取りに行く。

 瑞穂はコーヒーゼリークレープ、紫苑はマンゴークレープを買ってクレープ屋のテーブルに着いた。

「はぁ、美味しかったわ~」

 まりやは、女の子とは思えないペースでバナナクレープを完食した。となりでまりや以外の4人はまだ、もきゅもきゅと食べている。

「ところで、今日はどこへ行くの?」

 肝心の行く先を聞いていなかった瑞穂は、おそるおそるまりやと紫苑に尋ねた。

「んふー。今日は瑞穂ちゃんのランジェリーを買いに来たのよ」

「ぶぐふっ!けほっ、けほっ」

 瑞穂は食べている具のコーヒーゼリーをのどに詰まらせむせ返った。

「あ~ら、お姉さまったらはしたなーい」

 まりやが瑞穂に皮肉っぽく言った。

「どうして、”わたしの”限定なの?まりやとかも買えばいいじゃない。それともまたわたしで遊ぶつもり?」

「だって、瑞穂ちゃんったらいっつもランジェリーショップからこそこそと逃げ出すんだもん」

「お姉さまは、過剰に恥ずかしがりすぎなんですよ」

「そうは言われてもねえ、わたしは、恥ずかしいんだからしょうがないでしょ?」

「女の子の楽しみを放棄するのは、損失ですわよ。瑞穂さんっ」

 クレープでお腹を軽く満たすと、少女達はランジェリーフロアに向かった。

「なに?この広さ」

「うん、うちの学校のグラウンド並かもね」

「まあ、瑞穂さん。この広さだと、ちょっと逃げ出すなどと言う事は出来ませんわよ。うふふ」

『瑞穂ちゃん、あんたここの駅ビルがカブラギグループのだって知ってた?』

『へ?そうなの?知らなかった。そういう話は父様とは全然しないから』

 他の3人には聞こえないようにまりやは瑞穂にこっそりとしゃべりかけた。

「さーてとっ、瑞穂ちゃんいこっ!」

 まりやが瑞穂の手をとると、セクシー系な海外ランジェリーコーナーへみんなを先導していった。

「うわっうわっ、まりやお姉さま。これはすごいですう」

「まあ、わたくしにちょうどよい大きさの商品もありますのね」

「はやや~」

「……」

 ぱんっ!まりやは絶句している瑞穂の背中をたたくと、はっぱをかけた。

「ほら、瑞穂ちゃん」

 そこに並んでいたのは超高級ランジェリーブランドで、基本がレース。飾り付けがレース。フリルもレース。レースレースレース!といったセクシーを通り越して、悩殺ばんじゃーい!という感じのエロティックなランジェリーが所狭しと飾られていた。

「うわ。これクロッチ部分もレース一枚のまんまですよ、まりやお姉さま。ちょっとえっちすぎませんか?」

 由佳里がそういうとシースルーショーツをびろーんと伸ばしてみんなに見せた。

「由佳里ちゃーん。変なことやめて~」

 瑞穂はすでに泣きが入っていた。

「ブラだって伸縮性のレースのみですから外から丸見えですわね」

「紫苑さま。これって肌触りはすごく良いんですよ。ふわふわなのにさらさらですからね、それに意外とホールド感がありますよ」

「あら、そうなの? では、わたくし試着をお願いしようかしら」

 そういうと紫苑は紫色のロングタイプのシースルーブラを胸に当てるとにっこりとした。

「し…紫苑さん、ちょっとそういうのは控えてください。想像しちゃうじゃありませんか」

「あら、瑞穂さん、わたくしの裸で興奮していただけるの?」

「ぶっ。し…紫苑さん、何言ってるんですか!」

 そう取り繕うも、すでに瑞穂はつかれかかっていた。

(つづく)

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びゅりほでぃず(ブログ版) (1)

「おはようございます。お姉さま」

「おはようございます」

「ごきげんよう。お姉さま」

「ごきげんよう」

 爽やかな朝の挨拶が飛び交うこの乙女の園は、恵泉女学院。明治19年に設立された華族のお嬢さまを預かる学習院と並ぶ由緒ある学校である。華族と言う制度が無くなって久しい現在でも、元華族や皇族に連なるやんごとなきお姫さま、もといお嬢さま方が通っている。

 頻繁に挨拶されている生徒は、宮小路瑞穂。全校生徒の憧憬を一身に集めた第72代エルダーである。

 憧憬を集めると言う事は、裏を返せば衆目を集めていると言う事でもあるわけで、瑞穂自身は己が性別が男性であると言う秘密を守るためにいやがおうにも、理想の女性として振る舞わねばならなかった。その慎重さゆえにさらに優雅な物腰ととられ憧憬の度合いが強まっていくと言う、憧憬のスパイラル状態になっている。

 だが、瑞穂が女ではない。という秘密を知るものは学院の中にはわずか5名しかいなかった。そう、瑞穂は学院内においては、完全に女性と認識されているのだった。

 お昼時の食堂の一角。瑞穂の入っている女子寮のフルメンバー4人と十条紫苑の計5人がかたまって昼食をとっていた。

「ね。瑞穂ちゃん。今日、買い物にいかない?」

 まりやが瑞穂に声をかける。

「ん?いいわよ。でも何買いに行くの?」

「んふー」

 まりやは紫苑と顔を見合わせて意味深な微笑みをした。

こう言う時は嫌な予感がするのですけれど。と瑞穂は思ったが、口にはしなかった。

「あんまり瑞穂さんを困らせるのも何ですわね。実は隣町の駅ビルが新しくなったので行ってみませんか?ということなのです。」

 隣町の駅ビルは一昨日改装が終わって、昨日からすごい行列が出来てたと朝のニュース番組でやっていた。

女性向けのファッションビルと男性向けのファッションビル、あとはマニア向けな専門店が入っていると言う事で原宿・新宿と池袋・秋葉原を足したような処らしい。

「ええ、わたしはかまいませんよ」

 そう瑞穂が答えると、紫苑はうれしそうにして瑞穂の手を握った。以前の瑞穂ならドキドキしていたのだが、さすがに女子特有の過剰ともいえるスキンシップ、と言うかボディタッチコミュニケーションにも慣れてきたので、むやみやたらとドギマギすることは無くなってきた。丁度そこで昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った。

「では、まりやさん。放課後にこちらに集まってからまいりましょう」

 紫苑がまりやに提案する。珍しい事にいつもよりもかなり積極的である。

「由佳里、奏ちゃんもいいわね。では、紫苑さま瑞穂ちゃん放課後にね」

 まりやはそう言うと、るんたったと口ずさみながら自分の教室に戻っていった。

 放課後、3年A組の教室に集まると一同は駅に向かった。駅までは徒歩で15分ほどの距離だ。

「ですからぁ、私には似合わないですってばぁ」

「まあまあ、まりや。そんなに由佳里ちゃんをからかっていてはダメじゃない」

 端から見ると女子高生5人組がはしゃいでいるようにしか見えない。

「おー。恵泉はお嬢様学校で美人ぞろいだよなぁ」

「うわっ、美人な上に背高けぇなあ。俺ら見劣りしちまうぜ」

「お、俺はあの亜麻色の髪の毛の背の高い娘がいいなあ。彼女になってくれないかな」

「もう一人の背の高い娘はどうだ?」

「乳がでけえんで魅力だけど、やっぱりもう一人の背の高い娘の方がいいかなー」

「俺はあのちっこい娘だな」

「お前、ロリコンか?やべえよ」

 近づく勇気のない連中は、遠巻きに見ながら瑞穂たちの品定めをしている。その一方で、当の話題の主たちはと言うと。

「お姉さまの好みの男性のタイプってどんな方なのです?」

 由佳里が瑞穂に問いかける。お年頃であれば男も女も人数寄らば異性の話に華が咲こうというものである。

「あら、由佳里ちゃんは?」

 瑞穂はうまく質問をかわした。

「そうですねえ。憧れるだけなら青年隊のガッシーですけど、お付き合いするなら、誠実な人です」

「紫苑お姉さまは、どんな方がお好みなのですか?」

 奏が、紫苑に話題を振った。

「わたくしは奏ちゃんみたいな可愛らしい方が…」

 ぎゅううううっ。紫苑は目の前を歩いている奏を抱きしめた。

「はやや~。紫苑お姉さま。奏は異性の方では無いのですよ?」

「紫苑さんの、かわいいもの好きはもはや筋金入りですよね」

「ところでさ、瑞穂ちゃんの好みのタイプは?」

 まりやがわかってて問いかける。

「わ…わたしぃ?そ…そうね。…父様みたいな人…かな」

 瑞穂は父親を敬愛しているので、ある意味これはうそではない。瑞穂自身は男であるため父親が好みの異性のタイプというわけではなくて、あくまで父親のような男性になりたい。と思っているわけなのだが。

「ふっふーん、そういえば小父様は小母様一途でメロメロだったのよねえ。そういう甘々な人が好みなんだぁ。にっひっひ」

「そういう、まりやこそ、どういう人が好みなの?」

「あたしはねぇ、べったりになったり束縛しない人!」

「うふふ、小父様や小母様が聞いたら泣いて悲しむわよ~」

「いいのいいの。あの人たちみたいに溺愛されても困るもの」

 古人曰く。月は遠くから愛でるもの。乙女たちの会話の内容を聞いたら百年の恋もいっぺんに醒めるかもしれない。

38万キロの彼方に優雅に輝く月も、実際は荒涼とした死の世界である。月のお姫様が嘆くわけだ。

(つづく)

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びゅりほでぃず(ブログ版)

来週のおボク様が見てる4向けの同人誌を作っていて結構間が空いてしまいました。

おボク様では「びゅりほでぃず(BL版)」(18禁)と「びゅりほでぃず(ハード調教版)」(18+禁)を出します。えっちげーの全年齢版と18禁版みたいな感じですが、どっちもえっちです。

ホモが嫌いな女子はいませんっ!(げんしけん 大野さん談)という勢いで書き上げました。ブログ(ココログ)版とはそれとはまた違った展開になります。

一段落付いたので、書きかけのお話の回収をがんばりますので見捨てないでくださいね。

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「わんだーがーる みーつ みすてりあすがーる」(1)

「圭、お父さんな引っ越ししなくても良い仕事に転職しようと思うんだ。それでだなー。お前、引っ越しばかりして友達作れなかったろう?寂しい思いをさせたから、今度は大学まで一貫教育してくれる学校に転校するのはどうだろうと思うんだ。難易度がちょっと高いかもしれないが、恵泉女学院の編入試験受けてみないか?」
父が遺跡荒らし・・・じゃなく、大手建設会社おかかえの土地調査会社をやめると言い出したのは私が中学2年の春だった。父の仕事は、建設会社が大規模なビルやマンションを建築をする際に、地下に遺跡などが見つかった場合に調査するというもので、たまに私も調査を見せてもらっていたりした。
「・・・うん、わかった」
今までは、父の仕事の都合でいろいろな地方へ転校していったので大変であったが、その分新しい遺跡などの見学ができるので楽しかった。海外の現場などでは、あやしげな法具なども見つけたりもした。捨てられるよりはと、こっそり持ち帰っている。そういう楽しみが無くなってしまうのは残念だが、何よりも友達も欲しいので快諾した。
編入試験は、勉強のかいあって合格ラインぎりぎりであったが、なんとか合格した。
「初めまして、小鳥遊圭といいます。よろしくお願いします」
私はお嬢様学校というものを知らなかったので、必用最低限の事だけを話して後は黙っていた。
『日本人形みたいでかわいいー。』『おしとやかそうー』というのが私に対する彼女たちの印象らしい。木を見て森を見ず・・・だわね。
「じゃあ、小鳥遊さん、高根さんの横の席に座って頂戴」
担任教師が教室の後ろの方を指さすと、そこにはショートカットの女の子が居た。
「わたし、高根美智子。よろしくね。えっと圭さんでいいかしら?」
「いいわよ。高根さん」
「あら、私のことは美智子って呼んでくださらない?」
「ええ、美智子さん」
こうして、私の恵泉ライフが始まったのであった。

「転校初日で申し訳ないのだけれど、今日、教室の掃除当番よ」
聞くと、掃除当番とは聞こえが良いが、毎週テリトリーがローテーションするだけというものであった。クラスを4等分して、教室、美術準備室、中庭、焼却炉まわりを交代で掃除するという。お嬢様学校と言いながらこのように掃除が頻繁にあるのは、おそらく家庭では家政婦さんなどに掃除を任せっきりにしてしまう生徒をおもんばかっての所業なのであろう。
「拭き掃除が済んだら、机を並べるのよ」
と美智子さんが教えてくれた。
「小鳥遊さん、机は床タイルの仕切り線に合わせてくださいね」
クラスメイトが声を掛けてくれるが、彼女の名前は覚えていなかった。
なるほど。ショートホームルームの時に、なんでこんなに綺麗に机が並んで居るんだろうと、訝しんでいたのだが、考えてみれば理由は簡単だったな。修行が足りないね、私も。

「ねえ、圭さん。圭さんのおうちはどちら?」
掃除が終了し帰宅時間になった。部活動にはまだ参加していないので私も帰宅組。そろそろっと美智子さんが近づいてきて私に尋ねる。
どうやら、彼女は私に気があるのか、いろいろと話しかけてくれる。
「栗見ヶ丘三丁目だけど・・・」
「偶然ね、一緒の方向じゃない。一緒に帰りましょう」
美智子さんは、そういうと私の手を取って、歩き出そうとする。
「え・・・・」
私は驚いた。今まで友達と手を繋いだこともなかったので恥ずかしかった。
「あら、顔を赤らめている圭さん、かわいいっ」
美智子さんがからかう。顔が赤くなる?感情表現が苦手というか、ある種病気なのかもしれないが喜怒哀楽がほとんど表に出ない私にしては珍しい現象だ。
「かわいい・・・そんなこと・・・ないとおもうー」
むう。こんな触れ合いというのもいいものだな。私も美智子さんの手をぎゅっと握り返してみた。驚いた事に美智子さんの頬が赤く染まった。

一月も経つと私も学園生活に慣れてきたので、友達も増えてきた。この学校では友達を作っても、すぐに別れなくてもいい。その安心感は心地よかった。
「あの、圭さん。今度の日曜日、一緒に遊びに行きませんか?」
金曜日の帰り道、美智子さんが私を遊びにさそってくれた。恵泉に移ってから遺跡へ行くことがなくなり、家で籠もっていることが多くなった私にとっては新鮮なイベントになるだろう。
「ええ、いいわ。どこへ行くの?」
「駅前のKABURAGIYAなんてどうかしら」
「KABURAGIYAって駅前にあるあの気が遠くなりそうなくらい大きいデパートのこと?」
「ええ、そうよ。待ち合わせは9時半に、改札口前の時計の下でどうかしら」
「了解」
「じゃあ、デート用の気合いを入れた格好で来てね。じゃあ日曜日ね!」
本気とも冗談ともつかないような事を美智子さんは言って別れた。デートか。恵泉は女子校なので少なくとも素敵な彼氏と出会えるチャンスは学院内にはそうそう転がっては居ない。女の子同士で遊びに行くのをデートと称するのは、たぶんに男の人とのデートを夢想するこの年頃の乙女の妄想力というものであろう。乙女ってやつぁ、コレだから・・・

日曜日。私は、美智子さんに言われたからではないが、ちょっとだけ気合いを入れてみた。少し乙女ちっく。恵泉に入学できたことで、父が『普段着も実用一辺倒のものばかりじゃなく、ちょっとはお嬢様っぽい格好した方がいいんじゃないか?父さんな。圭のかわいい姿も見てみたいんだ』と買い込んできたものだ。フリルが端々についている装飾過多でちょっと恥ずかしい。

「あらあら、圭さんってば素敵な格好してますのね。うっとりしちゃいますわ」
美智子さんは、キュロットスカートにオーバージャケットを着て、ちょっとボーイッシュな格好をしている。
「美智子さん、いつもと雰囲気が違う…」
「うふふ。さあ、お姫様。お手をどうぞ」
そう言うと、美智子さんは手を英国紳士がする様に手を差し伸べてきた。私はおずおずとであるが、美智子さんの手のひらにそっと自分の手を添えた。
『ちゅっ』
美智子さんが私の手にキスしてきた。ドキン。心臓の鼓動が高まる。え?え?え?何?今のは一体…
「み…美智子さん、何するんです?」
僅かながら体温が上がった気がした。
「あら、お姫様や貴婦人に対する挨拶よ」
そう言って、美智子さんはいたずらっぽく笑った。
何だろう、どうしてなんだろう。美智子さんに何かされたり、微笑まれたりする度に私の感情表現が豊かになる?
手をつないで歩き出す。私の心臓がドキドキと鼓動を早めた。落ち着け!おちつけ私の心臓!美智子さんに変なところを見られるのは恥ずかしい。
恥ずかしい?どうして恥ずかしいの?私は自問自答しつづけた。
「ねえ?圭さん。なぁんでドキドキしてるの?」
うう。美智子さんは意地悪だ。私が困ることを次々としてくる。困るといっても嫌がることをしてくるわけではないのが、ちょっとくやしい。
ウィンドウショッピングの間中、いや今日一日中美智子さんにドキドキさせられっぱなし。
KABURAGIYAはとても大きいデパートで、目的もなくウィンドウショッピングでうろうろするだけならとても回りきれないほど。なので。
「圭さん、また一緒に遊びに来ましょうね」
と、美智子さんに誘われた。ダメ。美智子さんにはあらがえない。
別れ際に美智子さんはわたしのほっぺに、ちゅっ。っと軽いキスをしていった。
私は、その暖かい感触を忘れないように手で押さえて、しばらく立ち尽くしていた。

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漢(をとこ)は兄貴(あたし)に惚れているぜ!

あたし、鏑木瑞穂。花も恥らううら若き乙女。の筈なのに・・・
厳格だったお婆様の遺言ってのがとんでもない話で、「瑞穂は鏑木の経営している男子校(!) に編入しなさい」・・・ですってえええ!?。
従兄弟の御門真利矢兄が、「俺に任せな!」なんて言ってくれるから、私立聖鷹学院の男子寮に入寮することになっちゃった。男装して、男子高校生としての卒業までの9ヶ月を男子寮で過ごせって!?無理無理ぶっちゃけありな~い、!もうイヤ!なんとかして頂戴!

第1話 梅雨空は憂い顔と共に

「・・・はあ、何でこうなっちゃったのかしら・・・」昨日から何度目の溜息だろう。
 ぽっちゃりしたほっぺが、見る者に強烈な印象を残す紅顔の美少年(?)は、そのかわいらしい顔に似合わないほどの陰鬱な雰囲気を漂わせていた。
「あっはっは、まあそんな暗い顔をしないで行こうぜ。それからな、女言葉になってるぞ!」
真利矢は、バンカラな笑い方をして瑞穂の肩をバンバン叩く。
「もー、真利矢ったら。何でそんなに平気なのさー?」
「ん?だって人ごとだから」
悪魔ちっくな笑いを浮かべる。
「そんなぁ~」
男子寮からの小道から、正門前の大きい通りにさしかかると、いろいろな生徒が真利矢と瑞穂に向かって挨拶をしてくる。もっとも、挨拶されているのは真利矢の方なのだが、瑞穂は軽いパニックになっているので判っていない。
「お、おはようございますっ!」
初々しさからみて初年度生のようだ。緊張しているのが
わかる。

「うぃーっす」真利矢が軽口のように返事をする。
「おはようございますっ!真利矢さん!今日の試合頼みます!」
「おっす!今日もぐっちょんぐっちょんのけっちょんけっちょんにしてほえ面かかせてやらあな」
実はこの真利矢、聖鷹学院ではかなりの有名人なのである。というのも実家が古武道の道場をやっている為、武道全般に秀でている。ほとんどの体育会系クラブの試合に助っ人というか、ほとんど主戦力として参加している。しかも強い。絶対に強い。われらが真利矢。と言われるほど。まさに聖鷹の頼れる兄貴なのだ。
 挨拶を繰り返す内に、真利矢の顔色が曇った。真利矢が見据える先には、薔薇とブランデンブルグ交響曲を背負った、ものすごい金モールがかかった学生服を着た男が立っていた。
「御門君。何度言ったら判るのかね?紳士たるもの粗暴な言葉を使ってはならぬと」
「へっ。貴(たかし)お坊ちゃま、ご機嫌麗しゅう。ってか?」
「だ・・・誰が貴お坊ちゃまだ!心底、不愉快なやつだな。君は」
「ふん。行こうぜ瑞穂」
真利矢は地獄の底にでも居るような声を出して瑞穂に言った。
「ちょ・・・ちょっと待ってよ。真利矢~」
ぽてぽてと真利矢の後をついて行こうとすると、貴が瑞穂に声をかけた。
「待ちたまえ。君は誰だ?見かけない顔だな?」
瑞穂はびくっとして振り向いた。
「あの・・・み・・宮小路・・瑞穂です。て・・転入生です。」
「すまない、人に尋ねる前にまず自ら名乗るべきであったな。私は厳島 貴だ。」
軽くウェーブのかかった、栗色の髪。さわやかな笑顔で瑞穂に微笑んだ。
「学生会会長として忠告しておく。あのような馬鹿者とは即刻縁を切った方が君のためだ」
そう言いつつ、ビシュッと効果音がかかる位の切れの良さで真利矢を指さした。
「なんだとう!」
真利矢は烈火のごとく怒った。

「確かに我が校の主戦力なんだろうが、いささかどころか大いに我が校の品格を損なう言動を繰り返すのは、馬鹿者のそしりを受けるに十分な挙動であろう」
「おいおい、対外試合の時にお上品に『きゃー』とか言っててみろ、『あそこはお嬢様学校でいらっしゃるの?わっははは』と嘗められるだけだろうが。そもそも、おまえら学生会が
もっとよその学校に対して、シャキッとしねーのが悪いんじゃねーか」
「ほんっとうに君は、下品だな。君の御門の家名が泣くぞ。まあいい後で先生方にも説諭してもらおう」
貴はくるっと振り返るとスタスタと校舎の中に歩いていった。

「今日から、君たちと一緒に勉強をすることになった宮小路瑞穂君だ。御門の親戚だから、手を出すと怖いぞ」
担任の梶浦 緋紗夫先生が軽口をたたいた。
「了解でーす!」
「さー、いえっさー!」
「らじゃー」
などと口々に返答するクラスメイトたち。
「えぇっとお・・・宮小路です。よろしくお願いしますぅ・・・」
瑞穂はビビリまくっていた。
ライオンを目の前にしたインパラの様な感じだった。
「うおー!かわいいいー。うちにも姫制度があったら姫確実なのになあ。」
「萌えだよ。萌え!」

なにやら、とても難しい専門用語が飛び交っているようで瑞穂の理解を超えていた。

瑞穂は挨拶をすませて、梶浦先生に指定された席に座った。

「やあ、はじめまして・・・かな?僕は十条 紫皇(じゅうじょう しおう)」にっこり笑って話しかけてきたのは瑞穂にとって見覚えのある優しげな人だった。
「あ。もしかして昨日・・・会いませんでしたか?」
瑞穂は尋ねた。

------------
真利矢にいろいろと特訓されていた瑞穂は夕方休憩を取りたいと言って、男子寮から抜け出した。
『~♪』誰かが歌っている。瑞穂はきょろきょろと見回した。その刹那、風がざわついた。
「歌はいいねえ。リリンの生み出した文化の極みだよ。」
「!」
瑞穂は声のした方向に振り向いた。
「君は歌は好きかい?歌は魂を揺さぶるのさ。きっとドリルと同じ漢のロマンなんだろうね」
「・・・・す、すきですけどぉ?」
ザザァッ。風で木立が揺れる。
「XXXX」
男は瑞穂とすれ違いざまに何かをささやいた。だが瑞穂にはそれを聞き取ることは出来なかった。
------------

「ああ、やっぱり。男子寮のところで会った人だよね。雰囲気が違うんで判らなかったよ。」

1時間目の授業が終わると、真利矢が瑞穂の教室に入ってきた。まっすぐ紫皇と瑞穂の席に
向かってきた。
「やあ、真利矢君。瑞穂くんに用事かい?」
「あ、紫皇さん。ちょっと心配だったので、見に来ました」
「ちょっと耳を貸したまえ」
そう言うと、紫皇は真利矢になにかささやいた。
「え!!何でわかったんですか!」
驚く真利矢。
「うん、僕には不思議な力があってね。でも大丈夫だよ。他の人はまず気がつかないだろうね。ところで、これだけの逸材はめったにないね。例のアレ、行けるんじゃないかな?」
にやりと笑う。
「そう思いますか。紫皇さん。お代官様も悪ですのう。てひひひひ」
「いやいや、そういう越後屋、おぬしこそ」
時代劇の悪役さながらの会話をしたあと、二人は瑞穂の顔を見た。
「決戦は金曜日!ですね。あと正味4日しかないから、昼休みに作戦会議しましょう。紫皇さん」
「にやり」
「・・・二人とも悪人ですか。そうですか・・・・」
瑞穂は呆然とやり取りをみていた。

昼休み。怪しげな裸電球がぶら下がっている準備室に、入りきれないくらいの人物がいた。
「紫皇さん、寮の初年度生も連れてきましたよ」
真利矢は握り飯と食べ食べやってきた。
「紫皇先輩。ご無沙汰しておりますです」
周皇院 奏(すおういん かなで)が真利矢の背後から挨拶をした。「七生●報国」のハチマキがトレードマークの若人だ。
「押忍!紫皇先輩!」
こちらは上岡由佳(かみおか ただよし) 空手部の初年度生。
「えー、こほん。さて本日皆様にお集まりいただいたのは、他でもない。お集まりの皆様はすでに宮小路瑞穂をご存知の方ばかり。そこで・・・・・」
真利矢が演説を始めた。
結局、男たちの悪巧みは昼休み一杯続いた。

「真利矢~、お昼休み、どこ行ってたんだよう~。みんないなく・・ぼしょぼしょ」
5時間目の授業後、やってきた真利矢に瑞穂は泣きついた。後半はぼしょぼしょと口ごもって聞き取れない。
「か・・・かわいい♪」
紫皇は、うれしそうな顔をしてつぶやいた。

その日の夜、寮の食堂。現在4人しか入寮者はいない。
「え?兄貴選挙~!?何それ?」
瑞穂は口に含んだご飯を吹き出しそうになった。
「あ、瑞穂にいさんは、外部から来たばっかりですからね、知らなくて当然でしょうね。聖鷹には、毎年6月に知性・教養・品格が優れている紳士たる人物をみんなで選ぶという行事があるんですよ。今年の有力候補が厳島 貴先輩なんですよ」
由佳が説明をする。
「兄貴選挙で選ばれるとエルダーブラザー(長兄)と呼ばれるようになりますが、みんな親しみを込めて「アニキ」とか「兄貴」とか呼ぶようになります」
奏が後を継ぐ。
「でだ。通常先輩を呼ぶときに「誰々兄さん」とか関西のお笑いタレントみたいな呼び方をするんだが、このエルダーブラザーは、ザ兄貴オブ兄貴sなわけで、まさに『THE兄貴』に相応しい人物と言うわけだ。と言うわけで単に「兄貴」と呼ばれるとエルダーブラザーを指すんだ」
真利矢がさらに継いだ。
「で、わ・・ボクとどういう関係があるの・・・さ?」
瑞穂はきょとんとした目でみんなを見た。
「決まってるじゃないですか、瑞穂にいさんを兄貴候補にするんですから」
由佳が言った。
「☆○▽~♪◇(!!)」
瑞穂は驚きのあまり言葉にならない叫びをあげた。
正気に戻るのにきっかり27秒かかったが、瑞穂は真利矢の手を引っ張って食堂の片隅に来た。
「真…真利矢~。何考えてるのよっ。あたしは女なのよっ!兄貴なんて、なってどうするの!」
他の二人に聞こえないよう小声で叫んだ。女言葉全開だった。

「瑞穂にいさーん。兄さんなら間違いなく兄貴になれますって」
由佳が無責任極まりない台詞を投げかける。
がっくりうなだれる瑞穂には『どうか、厳島 貴が選ばれますように』とお星様に祈るしか道は残されていなかった。

さて、瑞穂の知らないところで暗躍を続ける、悪巧み集団。根回し工作もバリバリと行い、前日の校内トトカルチョブックメーカーの発表ではなんと厳島 貴に対して50-50というオッズにまでなっていた。

「あ…ありえないから。ありえないんだってば~」
瑞穂は呆然としつづけていた。

『全校生徒の皆さん。各クラスに配布された投票用紙に候補者の名前を書いて近くの投票箱に投票してください。この投票は15時を持って締め切ります。開票は即時行われますので投票の済んだ生徒から講堂に集合してください。繰り返します・・・・』
投票日当日、学内に投票のアナウンスが響き渡る。

15時の締め切りが過ぎる頃、ほとんどの生徒が講堂に集合していた。笑ってしまうことに、掛け率は90-10で宮小路瑞穂の圧勝状態だった。
「みんな大穴にかけてるんだ。きっと…」
瑞穂は自分に言い聞かせるように言った。順当に本命が当選してくれれば問題ないのにと思った。

『第72回聖鷹エルダーブラザー選挙の結果を発表いたします!、有効投票数1626で、得票率が90%を超えた候補者が居たため、今回の投票で決定になります。エルダーブラザーは3年A組の宮小路瑞穂君です。では、宮小路瑞穂君前に出て就任の挨拶をお願いします』

「な、なんだってぇ~!!」
もうこれ以上無いと言うような、驚きの表情を見せるが、みんなに「ほら、行ってこい!」と押し出されてしまう。

「……み……宮小路 み…瑞穂です…」
それだけ言うのが精一杯だった。
「うぉおおおおお!兄貴~アニキー!」
講堂が揺れた。

かくて、前代未聞の兄貴(おにいさま)が爆誕したのであった。

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「ちびまりやちゃん」

「まりやさま。早く起きてください!幼稚園に遅れますよ!」
「むにゅむにゃ。ほっちょいて~」
御門家のまりや専属メイドがなかなか起きないまりやを起こすのに必死だ。
ここは、東京の山手にある御門家の子供部屋。部屋の中は持ち主の性格を現しているようで、着せ替え人形が散らばっている。
「まりやさまっ!」
メイドは覚悟を決めて、まりやのベッドカバーをむしりとった。
ボクッ!
「うぎゃ。」
蛙をつぶしたようなメイドの悲鳴が室内に響き渡る。まりやの足蹴がメイドのおなかに突き刺さった。
「うがぁ!」
蹴飛ばしたほうのまりやはうめき声をあげるが、しっかり掛け布団をだきしめたままである。
怪獣じゃあ、ここに怪獣がおるわい。そう常田富士夫の声で叫びたくなるメイドであった。
気を取り直したメイドはまりやを後ろから抱きかかえるとベッドから引き摺り下ろして、カーペットに無理やり立たせた。
「おはようございます!まりやさま。急がないと幼稚園に遅れますよ!」
メイドの叫びにやっと反応した、まりやはぼそっとつぶやく。
「きょうおやちゅみ」
「まりやさま!」
メイドに怒られしぶしぶ、着替えをすませご飯を食べた。恵泉女学院幼稚園に出かけるのにしっかり1時間かかった。

まりやは幼稚園に出かけるのがあまり好きではなかった。というのも「ちゅくめいのらいびゃる いちゅくしまちゃかこ」が居るからだ。
厳島グループというまりやの親戚の鏑木財閥系グループと猛烈な喧嘩をしている、ある種下品な企業集団の総帥の娘が貴子であった。(と、後年まりやは認識していた)
そもそも、貴子とは最初からそりが合わなかった。あまり家柄とか、お上品さを気にしないお転婆娘なまりやにとって、品行方正、お嬢様然とした貴子はお互いに相容れない存在のようだった。
そもそもの出会いは、幼稚園の入園式の時であった。園長先生のお話が始まったばかりだというのに、まりやはもう式典に飽きてきていた。
「ぷぎゅるるる~」
謎の効果音を口にしながら、まわりの子の様子を観察しだした。
「あにゃた。しじゅかになしゃっていただけましぇんこと?」
頭の両サイドにリボンをつけたふわふわの髪をした子がじろっとまりやをにらむ。
「にゃにおう~」
まりやは怒られるのが大嫌いな子であった。家でもいたずらをして、怒られそうになると、ぴゅーっと逃げてしまい、今やいたずら発覚時の逃げ足は世界2位(追い風参考)というほど。
まりやは貴子にちょっかいを出しまくった。
「いいきゃげんにしてくだしゃい」
貴子は激昂する。
「うるしゃい!」
まりやも負け時と激昂する。
「きーーーーっ!」
「むきーーーーーっ!」
ついに取っ組み合いの喧嘩が始まった。まりやと貴子のファーストコンタクトは、最悪な事態から始まった。
「まあ、二人ともいったい全体どうしたというのですか?」シスター兼保育士の女性職員は目を丸くして二人を見た。
それもそのはず、二人とも砂だらけで恵泉女学院幼稚園のエプロンドレスは所々にかぎざきが出来ている。貴子にいたっては髪飾りのリボンがちぎれてしまっている。
「こにょこが、あばれりゅんでしゅ、ちゃかこはひぎゃいしゃにゃのれしゅ」
「そっちぎゃ、しゃいしょにけんきゃしてきちゃのににゃにいってんにょよ!」
「「うーーーっ」」
「「ふんっ」」

別のある日
「まりやしゃん。しょこをどいていただけにゃいかしりゃ?」
「いや」
まりやが陣取っているのは、トイレの入り口。貴子はすでにもじもじしながらまりやをにらんでいる。
日ごろの恨みを晴らすべく、対峙しているのであるが、陰湿な嫌がらせではなく、堂々と直接対決するところなど、幼児ながら天晴れとしか言いようがない二人であった。(え?知恵が回っていないって?そんなことはないですよ。お姉さま方♪)
「あにゃたは、どおうちてそんにゃにひとにょいやぎゃるこちょばか……う…うぇえええええええん」途中で貴子の文句は止まり、そのかわり涙がぽろぽろと出てきた。我慢の限界を超えたからである。
まりやは当然、大洪水になってしまったその場から韋駄天の如く逃げ出した。
貴子が園内でお漏らしをしてしまった事を他の子に言いふらさない所は、非常に漢気あふれた行動パターンだといえよう。

事あるごとに対立していったこの二人が14年後に親友になるとは、神様もイエス様も気が付かなかったようである。

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恵泉放送部提供「上岡由佳里のお菓子大好き!」

「(ジングル)ごらんの番組はKHC、恵泉放送部がお送りしております」
「みなさん、ご機嫌いかがでしょうか。一週間の御無沙汰でした。上岡由佳里のお菓子大好き!の時間がやってまいりました。本日のゲストはエルダーシスターの宮小路瑞穂お姉さまです」
パチパチパチ
「えっと、宮小路です。よ…ろしくおねがい…しますね」
「瑞穂お姉さま、緊張されてますね。では、今日作るお菓子は最近大ブームになっているフィナンシェをつくります。では材料をフリップに書いていますので、メモのご用意を」
『 牛・豚挽肉 1000グラム
  卵     2個
  玉ねぎ   1個
  パン粉(生) 2カップ
  ナツメグ  少々
  サラダ油  大さじ3
  バター   適量
  塩     適量
  こしょう  適量
  砂糖    適量


「あのー、由佳里ちゃん?お菓子にしては挽肉とか書いてあるような気がするのだけれど…」
「お姉さま、気にしたら負けです!」
「は。はあ」
「じゃあ、まず玉ねぎをみじん切りにして耐熱皿にバターと一緒に盛って3分チンします」
「はい。こうですね」
「次に挽肉に塩、胡椒、ナツメグ、パン粉、お砂糖、先ほどチンした玉ねぎを淹れて良くこねます」
「な…んだか量が…多くてたいへんですわね」
「小判型に整えてぺちぺちと叩いて形を整えます。おへその部分に少しくぼみを入れます」
「ぺちぺちぺち♪」
「できあがったらフライパンに油を引いて良く熱したのち、できあがった材料を入れて良く焼きます」
「はい!。入れました」
「片面を良く焼いて、こんがりと焼き色が付いたらひっくり返して、蒸し焼きにします。はいっ!お姉さまひっくり返して!」
「はいっ!先生!」
「蓋をしてじゅうーっという音が小さくなったらできあがり」
「はあ、はあ、はあ、重労働ですねえ。ところで由佳里先生?これハンバーグじゃないんですか?」
「いいえ、違います!これはフィナンシェというお菓子で、フランスの金融街にあるお菓子屋さんが考案した金塊に似せたケーキなのです!」
「えーーーと、投げっぱなし?」

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処女はお姉さまに恋してる THE MOVIE 第2回

貴子は職員室を出たばかりの、瑞穂の担任教師を捕まえ、瑞穂の身柄を引き渡した。
「あなたが、転入生の宮小路瑞穂さんね。職員室で待っていたのだけれど、厳島さんに掴まっていたのね。うふふ。自己紹介が遅れちゃったわね。わたし、梶浦緋紗子。緋紗子先生って呼んでくださる?」梶浦緋紗子、25歳の若い女教師だが、背丈も大きい割にどこかあどけなさを残すアンバランスさ漂う。
「緋紗子…先生ですか。はい。よろしくお願いします。か…宮小路瑞穂です」
「うーん、あなた大騒ぎになるかもしれないから、覚悟しておいてね」
「覚悟…ですか?一体何を?」
瑞穂は尋ねた。
「うふふ、よく見るとあなた美人ね」
瑞穂は気がつかなかったが緋紗子は淫靡なまなざしで瑞穂を睨め付ける。女郎蜘蛛が獲物を見つけた時のような目だ。チロッと舌なめずりもしていた。
「え。そうですか…」
瑞穂は下を向いてどぎまぎする。
「下を向いてると、ぶつかっちゃうよ。ちゃーんと前を向きましょうね」
そんな話をしている間に二人は3年A組の教室までやってきた。
「はいはい、みんな静かに!転校生を紹介しま~す。はい、お名前をどうぞ」
緋紗子が瑞穂を紹介しだす。少々子供っぽい言い方をしているうえに、大きめなメガネがさらに子供っぽい感じを醸し出す。その雰囲気で生徒に人気があるようだ。
「はい。あたしは、か…宮小路瑞穂と申します。えーと、お嬢様言葉は慣れていませんので、言葉遣いがおかしい事も多々あると思いますが、よろしくお願いします」
教室内は静まりきっていた。何か大失敗したのかと瑞穂は、どぎまぎした。
「きゃあーっ。かっこいい~」
「王子さまみたい~」
「お姫様の方が似合ってるわよ~」
教室内はかみすばしいことこの上ない状態になっていた。
パンパン!緋紗子先生が手を叩いた。
「はい。みんな静かに~。幼稚舎じゃないんだから、落ち着きなさい」
「え~、先生~、こんな美人がうちのクラスになるんですもの~、これが落ち着いて居られますかって感じですわ」
「そうですよ~。朝なんかいきなり生徒会長と一緒に薔薇の館へ行ってしまわれるんですもの。ああ、素敵」
「えええ。そうすると、転入早々天上人?」
「はいはい。ホームルームが始められないわよ~、お願い。静かにして頂戴~」
緋紗子は大声で懇願し、なんとかその場は収まった。
「先生、すみません」
瑞穂はつい謝る。
「ふう。やっぱりこうなったわね。授業にならないわね。お嬢様学校と言ってもこれじゃあねえ」
緋紗子は苦笑した。有閑階層はゴシップが大好きという事を緋紗子は忘れているようだ。
「まあ、瑞穂さんにレクチャーも兼ねて説明しておきましょうね。たぶんクラスのみんなも貴女のこと知りたがっていると思うから」
「はあ、すみません」
瑞穂は謝ってばかりいた。
「えっと宮小路瑞穂さんは、開正学園から転校してきました。」
「おおーっ」
どよめきがおこる。開正といえば、ここ恵泉女学院のエリートコースに匹敵する才能が集まるところとして有名なのだ。
「みなさんも聞き及んでいると思いますが、転入試験は全教科満点。ということで基本的にはこのクラスに所属しますが、授業は特進コースになるので半分以上に授業は別々になってしまうわね」
「ええーっ、そんなー」
別のどよめきがおこる。
「えっと、みんなが天上人と言っているのは何ですか?」
「天上人は、生徒会の事よ。学院長直轄の活動団体になっているので、私たち教職員よりも権力があって、学園自治をまかされているの。とはいえ、無茶な暴政はしないし、愛校心がある生徒が多いので、学校的には大歓迎なのよ」

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おとボク 迷作劇場『とりかへばやものがたり異聞』

今は昔。それはもうはるか昔。京の都にえらーい左大臣がいました。左大臣は今で言うと総理大臣くらい偉いわけです。
「姫、姫は居らぬのか!?まったくどこをほっつき歩いておるのじゃ、帝が入内を御所望だというのに。こうもお転婆では困ってしまうのう。おお女房。なに!?また瑞穂が失神して倒れただとう!?いったいあの兄妹はどうなっておるのじゃ!」
最高権力についた左大臣のたった一つの悩みの種が、このお世継ぎたちの体たらく。嫡男はそれはもうたおやかで、都一番の美人の誉れが高い可愛らしい瑞穂君(きみ)。そして御息女はやんちゃで手の付けられないいたずらっ子で暴れん坊のまりや姫。
「あーあ、二人の性別がとりかえられたらなあ。」というのが「とりかへばや ものがたり(とりかえたい 物語)」なのであります。

さて、ここは宮廷ど真ん中。
「左大臣、そろそろ貴殿の娘を入内し、女房(女官)にしてはもらえないだろうか」
帝である貴子君が、左大臣に詰め寄ります。左大臣、まさかお転婆娘の方を仕官させるわけにもいかないだろうなあ。と考えてみるのですが、瑞穂君のほうとて、何かあるとすぐに「きゅう~」と倒れ込んでしまうわけで、それもこまってしまってこんな言い逃れをかんがえました。
「帝。本当は出仕させたいのでありますが、なにぶん娘はとてもシャイなので、男性をみただけでのぼせ上がってしまうのです。というわけで、無理」
このいいわけ、かなり無茶です。
「じゃあ、えらく美男子だという息子でもいいや、仕官させてくれないか」
貴子君がご所望になるが、これまた困った左大臣
「息子はもう、暴れん坊で、主上の御身になにかあったらわたし、首くくってお詫び申し上げないといけなくなりそうです」
と、ごまかすも、
「だーめ。確か、同じくらいの年の紫苑中将がいたはずだから、彼と一緒に仕官させなさいね。させないと首くくってもらうよ」
とやけに凄んでくるので、あきらめて
「はい。善処します」
と答えてしまったのです。

「おはよう!まりや君、今日も良い日だね」
紫苑中将は、まりや姫を気に入ったらしく、何かあるたびに一緒に遊んだり、出かけたりする仲になっていきました。
そうこうするうちに、なんと瑞穂君を出仕させないと、左大臣の首がやっぱり危ういところまできてしまったので、ついにあきらめて、瑞穂君を女房として仕官させることになりました。
「おお、なんと美しい妹君だ。まりや君、あなたがうらやましいよ」
そういうと紫苑中将は瑞穂君を一目見ようとあの手この手で、女房の寝所を目指します。
実は貴子君も瑞穂君には会いたくて会いたくてどうしようもない。いやー、若さって本当にいいもんですよね。
ついに、貴子君は瑞穂君の寝所にもぐりこんでしまったのです。大あわてなのは瑞穂君。そりゃー、ごちそうさまーっていただかれちゃったら、一族郎党まるっと島流しどころじゃない。すっかり絶滅させられるって感じになりますからね。
「まあ、主上わたくし、心に決めた方がいらっしゃいますの。ですからよよよ。ばたん」
お着きの女官がいるところでナイスタイミングで倒れてしまいました。帝とはいえ、御無体なことはできないので、しょんぼりorzと帰って行きました。

まりや姫の方はと言うと紫苑中将がもうちょっかいかけまくり。
「なあ、まりや君、君に女を紹介しよう。東の四の姫。奏姫だ」
ついに奏姫とまりや姫は結婚ということに。とはいえまだまだロリっ娘な奏姫。かまととどころか本当におこちゃま、結婚生活はおままごとなわけなので、子供もできるわけない。というか女同士で子供が出来たら、かたつむりか何かなので、それはそれでやだなあ。
「あのですね。奏ね。まりやさまの事大好きなの~」
あまりのかわいさの為、ぎゅーと抱きしめるだけではあきたらず、紫苑中将なんと親友のまりや君の妻に手を出して孕ませちゃった。

こりゃーやばいと思った左大臣。なんとか息子と娘をいれかえようと画策するのだが、なんとまあ、貴子君が瑞穂姫に手を出してしまった。
あろう事か、瑞穂姫つわりになってしまい、すわおめでたか!となった。

さて、こんなどたばた生活が平安時代におこなわれていたのです。

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マジかルしスター 緋紗子

わたしね、梶浦緋紗子26歳。世間的にはお肌の曲がり角をヘアピンカーブで急旋回してしまったお年頃。はあ。職業。目下の所OGでもある恵泉女学院の古文教師。
でもね、それは、世をしのぶ仮の姿。お供の魔法猫「しお」とともに、この世のモノではないモノたちと戦う魔法少女。それが、緋紗子なの。
マジかルしスター 緋紗子におまかせよ!
「にゃあ!?」(緋紗子お姉さま、私、こんな役なの!?)

序章 マジかルしスター 爆誕 怪人ばぐーん登場。

恵泉女学院、それは緋紗子にとって、甘く切なくそして苦い想い出を秘めた場所なの。恋人であった詩織(しお)が亡くなったのもこの学院内のことだったしね。
新聞では事故死と書かれていたが、転校先から元クラスメイトに問い合わせると、事故ではなくありえない事件だという噂だったわ。
後ろ髪を引かれる思いで転校してしまった私は、教員としてこの地に戻ってきたのだ。
「うーん、今日からぁ、緋紗子も先生なんだからぁ、甘えんぼさんからは卒業するぞぉー!」
ちいさくえいえいおーと、気勢をあげてみる。けどコロコロとした鈴の音のような声じゃやっぱりダメね。
童顔な緋紗子は、メガネをかけると小学生みたいな風貌になるの。背丈が168cmあるからまだ大人にみえるけど140cmくらいだと子供先生にしか見えないかもお。
こども先生はかわいいかもしれないけど、自分がなるのはちょっといやかも。
「さあ、出かけますかっ!」
緋紗子は、自転車によっこらしょとまたがると、颯爽と学校を目指してこぎ出した。うふふ、職業婦人って感じに見えるかなあ。
学校に近づくけど、まだ登校時間じゃないので人もまばら。
キキーーーーッ!
「あっ、あぶない!猫ちゃん。ダメじゃない。気をつけなさいね」
急に白い猫が飛び出してきたので、緋紗子は急ブレーキをかけたの。猫は緋紗子をチラッと見るとにゃーと鳴いて塀にのぼって消えていったんだ。

「みなさん、はじめまして。梶浦緋紗子といいます。緋紗子先生って呼んでね。呼んでくれないと泣いちゃうからね」
一年ひよこ組の教室はざわざわしていた。
「ふっふふ、良く来ましたね、新入りさん。ここはわがばぐーん帝国の配下にあるのだ。ばぐーん」
え?だれ?緋紗子こまっちゃうよ。えっと、えっと出席簿出席簿。んーと上岡由佳里さんね。
「上岡さん。おいたはダメですよ。メッ」
緋紗子は一生懸命威張って言ってみたけど、上岡さんは全然きにしていないよ。どうしよう。
「ばぐーんの戦闘員達よ。この女を捕まえて洗脳しておしまい!ばぐーん!」
「あらほらさっさー」
ノリの良い人たちが緋紗子を捕まえにきたよう。

「そこまでにゃ。妖魔ばぐーん!」
教室の上の方から声がしたよ。びっくり白い猫さんだ。しゃ、しゃべってるう?
「緋紗子ちゃん、君はマジかルしスターなんだ。このステッキを使って変身して戦うんだ!」
「ほえ?これどうするの?」
緋紗子は白い猫さんが投げたステッキをうけとった。
「マジかるドミかる、マジかルしスター 緋紗子に変身よ!」
きらきらきらーーーーんと光が緋紗子を包んだ。うわーかっこいいー!
「あれ、なんか上岡さんがおっきくなってる」
「ばかめー、おまえが小さくなっておるのだああああ、ばぐーん!」
「ええええ、そんなー」
「大丈夫、呪文で戦うんだ!戦う意志があれば呪文は自然に、心にわいてくるんだ!」
「フローラル、スィート、ぽらほらマジカル! マジかルしスター 緋紗子が主になりかわり天罰を下しますわよ!」
「ば、ばぐーーーーーん!」
ちゅどーん!よくわからないけど急に舞台が石切場になって爆発しちゃった。

「よくやったね、緋紗子お姉さま!」
「あなただれ?」
「わたしよ。しおですよ。詩織」
「うそ!なんで」
「いやね、先輩のお誕生日記念に引っ張り出されてえらい目にあってるんですよ」
「ちょっとちょっと、素に戻らないで。26にもなってこんな恥ずかしい格好してるのよ、わたしだってやなのよ!」
「大丈夫じゃないですか?今日び有明でやってる全国青少年少女欲望の祭典では40越してるのに魔法少女やってる人とかいっぱい居ますから。しかも男」
「しお、あなたむやみに敵を作らないでよね」
「はあ、とりあえず、お誕生日おめでとうございます。お姉さま」
「あ。あのう。妖魔ばぐーんって何ですか。一部の人だけ大喜びですよ。これじゃ」

「緋紗子お姉さま、なんか次はまりやさんって娘さんが敵らしいですけど、いいんですかね?」
「うーん、まさかその次が貴子さんでラスボスが瑞穂さんなんてありきたりな話じゃないですよね。」
『ぎくっ』
「「「なんか、へんな声しなかった?」」」

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処女はお姉さまに恋してる THE MOVIE 第1回

恵泉女学院学校群の中央にそびえ立つ時計台。その最上階にあるのが、この学院でもっとも権限を持つ高校生徒会。
通称薔薇の館。その薔薇の館に君臨する生徒会長が、史上最強生徒会長と呼ばれる厳島貴子その人であった。
軽くウェーブの掛かったやわらかな髪。そして優雅な物腰。権力がありながら、驕ることなく自分を律する孤高の才女。それが貴子の学院内での評価だった。
「君枝さん。確か本日、我が学院に転入生がやってくるのでしたね」
「はい。3年生の宮小路瑞穂嬢です。転入試験は満点。これは我が学院始まって以来の才女と言っても過言ではありません」
三つ編みに少々やぼったい黒フレームのメガネをかけた少女が答える。会計である彼女は貴子の信奉者でもあった。
「この時期に転入。しかも成績は抜群。何か臭うわね。直々にご挨拶差し上げましょう。宮小路瑞穂さん、貴女がどのような方か見極めさせていただきますわ」
そういうと貴子は生徒会長の机の上に置かれたロイヤルコペンハーゲンのティーカップに注がれているディンブラを飲み干し、生徒会専用のエレベータで階下へ降りていった。
君枝は、一人取り残された生徒会室で、自分のティーカップに残っている紅茶を一口すすった。キリッとした爽やかな味わいのディンブラは、貴子の性格にも似ていて君枝も好きな一品であった。
『ゴーン・ゴーン・ゴーン』
重厚な朝の鐘が恵泉の敷地だけでなく、近隣にも鳴り響く。
その時計台の窓からは、恵泉女学院の下に広がる市街地とさらにその先にある海岸線が一望できた。

-乙女はお姉さまに恋してる- THE MOVIE
"La r'evolutionnaire de l'adolescence"

ここは恵泉女学院の正門に通じる道。ショートヘアの少女につれられて、ロングヘアの少女がやってきた
周囲の少女たちが物珍しそうにロングヘアの少女を見ている。
「まりや、なんかじろじろと見られているのだけれど、これは…何?」
ロングヘアの少女がショートヘアの少女に不安げに聞く。
「転入生が珍しいだけだって、気にしていたら負けよ」
「勝ち負けって何よ。あたしは見せ物でも客寄せパンダでもないわ」
ロングヘアの少女は憤っている。
「あ、…ごめん。瑞穂ちゃん、ちょっと黙ってて」
まりやが、ロングヘアの少女を制した。正門の入り口に、仁王立ちし腕組みをして睨め付けるような目で二人を見ている人物がいた。

「御門まりやさん、転校生はこちらの方?」
「ふんっ、そうよ。こちらは宮小路瑞穂さん。で、いったい転入生である彼女に何の用?あんたら生徒会には用はないでしょ」
「ふ。下々の感覚に染まっているあなたには、辟易させられますわ。名門御門の人間でありながら、言葉遣いがなってませんのね」
貴子はまりやを侮蔑した目で一瞥すると瑞穂の方に顔を向け、微笑みながら言った。
「ああ、わたくし、厳島貴子と申します。宮小路さん。転入生は生徒会に来ていただく事になっていますの。さ、参りましょう」
「ちぃっ!また勝手なこと言って!そんなルールなんか聞いたこと無いわ!」
まりやは歯ぎしりしながら反抗した。
「まりや…あたし行く。行かなきゃならない気がするの。」
「結構です、宮小路さん。では貴女はこちらに。ああ。そこの御門さん、貴女はここでお引き取りを」
くるりときびすを返すと貴子はスタスタと歩きだした。
「あ、待ってください。ま…まりや、あとでね」
憤慨したまりやを残して二人は去っていった。
「むきーーーーーっ。瑞穂のばかああああああ!」

「な…なんなの!?この機械仕掛けの学内は!?」
瑞穂が驚くのも無理はない。縦横無尽に張り渡された廊下や建造物は、機械仕掛けで常に動いている。
「あら、御門さんから聞いてらっしゃらないの?あの方はやはりうすらトンカチでいらっしゃるのね。」
貴子は心底呆れたようにつぶやいた。
「この学院は鏑木財団による人材開発を主眼とした研究学園都市なのです。あなたは、世界最高峰の学院に入学したのですよ?」
「はあ。あまりそのような事は知りませんでした。従姉妹のまりや…御門まりやさんに強引に勧められて転入試験を受けてやってきた。だけなのです」
「こちらへ」
貴子は生徒会室へつながる高速エレベータに瑞穂を導いた。
「なんだか、現実味の薄い場所に感じますね」
「わたくしたちには非常にリアルなのですけれどね」
「でも、やはり…映画か小説の世界に思えてなりません」
「言い換えてみましょう。世の中の出来事が現実感に溢れている…とはとても言い難いのではありませんか?新聞やニュースに出てくる事件など、わたくし達にとっては他人事つまり現実感に乏しい出来事として受け取っていますわ。では、貴女がこれから実体験するというわが校は非現実なのでしょうか?」
「何か禅問答の様に聞こえますが、あたしにしてみればどちらも非現実的なのかもしれません」
『チン』エレベータが最上階に到着したことを知らせるベルが鳴った。電子音ではなく本物のベルの音だった。
「ようこそ、宮小路瑞穂さん。恵泉女学院生徒会室、通称薔薇の館へ」
貴子は瑞穂の方に振り返ると大げさなポーズをとりドアの方に手を差し出した。
シャーっという音とともにドアが開くと、そこは薔薇が咲き乱れる空中庭園を持つ豪奢な作りの部屋であった。
「やっぱり、ここも現実感はありませんね。くすっ」
瑞穂はくすりと笑った。
「宮小路さま、お茶でございます」
貴子にすすめられるまま応接セットのソファに腰をかけた瑞穂に、君枝がお茶を出した。客用のティーカップはウェッジウッドだった。貴子のカップよりは質素な感じがするが趣味は悪くない青いカップであった。瑞穂は出されるままに一口すすった。
「まあ、おいしい、茶葉もいいけど淹れ方も上手だわ」
「ありがとうございます」
そう言うと、君枝は自分の席に戻っていった。瑞穂には少し警戒心をもっているような感じだった。
貴子は自分のロイやりコペンハーゲンからディンブラを一口すすって、カップをテーブルの上のソーサーに戻した。
「宮小路瑞穂さん。単刀直入に言います。御門さんと別れて、我々生徒会に参加しませんか?」
「…会長!」
君枝が驚く。
「お黙りなさい!君枝さん」
貴子が叱責する。
「あたしは、生徒会など人の上に立つような仕事は向いていません。それに3年生の今頃転入してきたような生徒にほいほい務まるようなものでも無いのではないですか?」
「転校当日にいきなり、生徒会に参加しろ。と言われてはいそうですかと即答できないのは理解しております。ですから、お返事は後日でかまいません。そろそろショートホームルームの時間です。教室までお送りいたしますわ」
貴子はそう言うと、瑞穂に向かい手を差し出した。
「いえ、大丈夫ですわ」
そういうと瑞穂は一人で立ち上がり、貴子の後に着いていった。一瞬貴子の目が、くっと動くが瑞穂はそれを知ってか知らずか、何も言わなかった。

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紫苑さまのひみつ

「瑞穂さん、そろそろ更衣室にまいりせんか」
「ええ、まりやさんがまだ来てませんけど、先に参りましょうか」
瑞穂は、よいしょっと声を出し机の横にぶら下がっている体操着袋を取り上げると、紫苑と共に更衣室に向かった。
「はあっはあっはあっ。あ、瑞穂ちゃんじゃなかった。お姉さま、紫苑さま。遅れましてごめんなさい」
「まりやさん、どうしたんですか?」
階段に向かう廊下を、息を切らしながら走ってきたまりやに、恐る恐る理由を聞いた。
「ごめんねー、また貴子のやつに、ねちねちねちねちと嫌味をいわれちゃってさー」
「ちょっと、まりやさん、言葉遣い!地が出てますよ」
瑞穂がたしなめる。
「あら、ごめんあそばせ、お姉さま」
ペロッと舌を出すまりや。
「うふふふ」
「紫苑さま~、何お笑いになってるんですか~」
「まりやさんと貴子さん。相変わらずの関係でうらやましいのです。わたくし、病気がちだったからそのようなお友達もいなかったの。」
「紫苑さま?ケンカ友達はあんまり精神衛生上良くないですよ?」
「紫苑さん……」
「今は瑞穂さんのおかげで、こんなにお友達が増えましたわ。わたくしとってもうれしいんですの。」

やがて更衣室にたどり着くと、いつもの様に紫苑とまりやが瑞穂をブロックして、着替えを始める。
とはいえ、かなりの生徒がすでに着替えを終えて校庭に出て行っているので、あまり隠さなくてもいいような雰囲気になっている。
「瑞穂ちゃん、たまにはブルマーで授業受けなよ」
「え?えええ?何言い出すのよ。まりや・・・さん?」
「わたくしも、瑞穂さんのブルマー姿見たいですわ」
「はい、これ瑞穂ちゃんの為に買っておいたブルマーだよ」
まりやは自分の体操服袋から「3A 宮小路瑞穂」と書かれたブルマーを取り出すと、着替え始めようとしている瑞穂に渡した。
「そんな~、紫苑さんまで…とほほ…」
がっくんとしゃがみこむ瑞穂。
「「あ、落ち込んだ♪」」
二人とも悪人ですよ。と瑞穂は落ち込んだ背中で抗議した。

「瑞穂ちゃん、ショーツの時だって見えないように処理してるんでしょ?
大丈夫だって、ショーツだってこんもりなんかしてないしさ。女の子でも土手高の娘もいるからさ」
まりやが瑞穂に耳打ちをする。
「な…何おっしゃってるの、まりやさん…?」
完全に目が泳いでいる。
(それはそれで、男の矜持をいたく傷つけられるんですけど…)どぎまぎしながら瑞穂はさらに落ち込む。
「まあ、女の子だって聖人君子なわけじゃないんだからさ、多少のお下品さだってあるわよ」
「うぐ…やっぱり着ないと駄目ですかぁ?」
そういうと、諦めたのかワンピースを着たまま、ブルマーを履き始める。
「あら、ま。こういう所はすごく女の子だよ。瑞穂ちゃんv」
まりやはにやにやしながらつぶやく。
恵泉女学院の制服はワンピースというと少々語弊がある。 バスト部は下に着込んだブラウスが露出する胸当て部の無いワンピースだ、厳密に言うと2ピースなのだがそれはさておき。
瑞穂が、そのスカート部を脱ぐとそこにはスラッとした美脚が現れた。
「う、相変わらずあんた女の敵ね」
まりやは自分がそそのかしてブルマー姿にさせたのを棚に上げて文句を言っている。
「まりやは運動してるから筋肉ついてるでしょ」
「うー、最近は筋肉がつきすぎて、子持シシャモなのよ」
「うあ!?ちょっ…ちょっと紫苑さん、何してるんですか!」
まりやが足元を見ると紫苑がうれしそうに瑞穂の足に頬ずりをしたり両手でなでまわしたりしている。
「あら、わたくし妬けちゃいますわ。こんなに綺麗なおみあしなんですもの」
「私は紫苑さんくらいの方が女性としては魅力的だと思いますよ。その。胸も大きいし…」
「むきーーー、瑞穂ちゃん!なんでそこであたしの胸を紫苑さまの胸を見比べるかなあ?せくはらよせくはらっ!」
「わたくしは、薬の副作用で太ってしまうの。だから」
「そういえば、紫苑さんはいつも食事の量が少なめですね」と瑞穂が言った。
自分は男だから運動部に所属しているまりや、由佳里ほどではないが、そこそこ食べる。というか、成人男性に近い自分が平均的女子の食事量で済んでいるのが我が身ながら不思議だ。
それからすると紫苑は、奏ちゃんほど少食ではないが、弁当箱は小さめ。学食メニューの時は、おかず交換レートが1:2位の分量比なので実際は半分ぐらいしか食べてないのだろう。

「えーと、ごめんなさい」
瑞穂があやまる。
「? 瑞穂さんは何も悪いことしてませんけど?」
「いえ…でもやっぱり…不躾な話題でした」
「そういえば、紫苑さまって体育のある日はいつもロングブラですね」
まりやが話題を変えようとした。
「ええ、やっぱり普通のブラだと胸を支えきれなくて、痛くなってしまうんです。わたくしとしては、瑞穂さんくらいの大きさがいいのですが」
「し…紫苑さん!そこで胸を揉まないでください。あん♪ 今日はへんな気持ちになったらまずいんですってば!」
「お姉さま、紫苑さま、まりやさん。予鈴がなりましてよー!早くお着替え済ませてくださいねー」
最後のクラスメイトがそそくさと更衣室から出て行き、すでに更衣室には3人以外残っていない状況だった。あわてて着替えをすますと校庭に急いだ。

キャーーーーーーーーーーッvvv黄色い歓声が上がる。それを聞きつけた校舎の中に居た生徒たちも窓から覗き込み歓声をあげる。
「え、なに?」
「瑞穂ちゃん、悩殺しすぎ」
「あ、お姉さま珍しいですね。今日はブルマーですか?」
「…瑞穂さん…ぐっじょぶ…」
「け…圭さんまで」

「お、宮小路。今日は強烈かわいい格好してきてるな。あんまり他の生徒を悩殺したらダメだぞ。授業にならなくなるからな。あっはっは」
「由美子先生まで…とほほー」
「はい、せいれーつ!。おはよう!じゃあ、今日の授業は新体操をやりたいと思います」

準備運動はペアで柔軟体操だ。身長の関係から瑞穂は紫苑と一緒だ。
「瑞穂さんがいらっしゃるおかげで、体育の準備運動も安心して出来るようになりました。感謝してますわ」
「この学院の同学年で165以上の方は瑞穂さんだけです。昨年もそう変わりませんでした。だから私、相手の方が押しつぶされちゃわないかと気が気ではありませんでした」
「そんなことないですよ。紫苑さん。」
「瑞穂さん、体重49キロだったじゃありませんか。」
「はい。そうですね。もう少しあってもいい気がするんですが。」
「あの、わたくし・・・ろ・・・68キロもあるんですよ・・・・」
「え?何が問題なんですか?」
「瑞穂さんの正体のこと忘れてましたわ。まあ、女心を判ってらっしゃらないのね」
くすりと笑うと、開脚前屈をしようとしている瑞穂の背中にきゅっと体重をかけてきた。
「し・・・紫苑さん!胸!胸が当たっています!」
「あら、女の子同士なんだから気にしないのよ。それにしても瑞穂さん柔らかいのですね。180度開脚してるの瑞穂さんくらいですわ」
「ええ、実は幼稚園くらいの頃に体操教室へ通わされまして。やっていたのは床運動とか平均台とかばかりでしたけどね」
「良家の子女はあまり活発な体操や運動はしない。と言うのもあるのでしょうね。わたくしも日舞とかはやりましたけど、激しい運動は禁止されてましたから。でも、今日の授業は楽しみですわ」

「この中に、新体操やったことあるものはいるか?」
おずおずと手を挙げる瑞穂。
「なんだ。この組は宮小路だけか。じゃあ、リボンの模範演技やってみてくれるか」
「はぃい?」
とんっ。誰かに背中を軽く押される。振り返るとにっこり笑った紫苑であった。
「がんばってくださいね」
ハートマークまで散っていた。

瑞穂はリボンのスティックをにぎると、くるくると回し始めた。
「きゃあーーーーっ」黄色い歓声があがる。
新体操のリボンは6m以上あるちょっと重い素材で出来ている。このリボンを試技中に絶対床に触れさせてはならないという、見た目の優雅さとは異なり結構ハードなスポーツである。
しかも手先は優雅に、女性らしさを忘れずに。
2分くらい、昔の練習を思い出しながら、リボンを高く投げタンブリングして受け取る。
「すごいな宮小路。1年から在学していたら新体操部作って、一緒に全国目指そうと思うレベルだな」
先生もちょっとびっくりしている。

この授業の話は尾ひれがついて、全校に広まってしまうのだが、このときはまだ瑞穂たちはそこまでは知らなかった。
「まあ、いきなりみんなにこのレベルをやってもらおうとは思っていないが、新体操は女性らしさを表現するスポーツだ。
宮小路は非常に女性らしい繊細な表現をしていたな。どこが女性らしいか気がついた人は居るか?」
「はい」と何人かが手を挙げた。
「指先が揃っていて、とてもきれいでした」
「他には?」
「柔らかい物腰で優雅でした」
別の生徒が答える。
「君たちに日舞をやっているものはいるかね?」
何人かの生徒が手を挙げた。もちろん紫苑もだ。
「新体操も日舞に通じる物がある。手先・足先に心を配るということだ。だらしがない格好をしていたりしたら、
いくら着飾ってもみっともないからな。とはいえ、新体操は楽しいから、まずはリボンを持ってやってみるところから始めよう。グループに分かれて始めなさい」

「ふふっ。瑞穂さん、また評価が高くなりましたわね」
紫苑が笑う。瑞穂のグループは瑞穂、紫苑、美智子、圭、まりやのオールスターだ。
「瑞穂さん、あだるとたっちで変身しなさいよ。」
「えっと、圭さん。そのネタついて行けないんですが…」
「瑞穂ちゃん、新体操なんてやってたんだ」
まりやがおどろく。
「え?一緒の体操教室通ってたじゃない?」
「え?そうだっけ?あたしは体育館のトラックコース走ったりするばっかりだったんで、新体操なんて覚えが無いよ」
「まりやは技術系じゃなくて体力系の方だったよね」

「で、どうしてこうなっちゃうのかなあ、瑞穂ちゃん…」
リボンでぐるぐる巻きになっているまりやが瑞穂をにらんで言う。
「まりやさん、縛られるのが好きなのですか」
「み…美智子さん。なに危険な表現炸裂してるんですか」
「瑞穂ちゃん、美智子さんや由佳里のエロエロ空間に染まらないでね。」
からまったままのまりやが文句を言う。
「ところで、もしかして…まりやさんって物事に対しておおざっぱなんですか?」
美智子が改めて問う。
「自慢じゃないけど、そうだわね。って、ほどけない。むきーーーーーーっ」
「まりやさん!そんなに無理してひっぱったら固くしまっちゃいますってば」
一生懸命ほどいている美智子さんがあわてる。
その後、からまったリボンからまりやが脱出できたのは5分後だった。

「ほ~れ。くるくるくる~」
さすが演劇部部長の圭は、体を使った表現力が豊かだ。しゃべらなければもっといいのだが。
「うふふ、瑞穂さん楽しいですわね」
紫苑がめずらしくはしゃいでいる。
紫苑はリボンをくるくると回しながら、小走りに走ったり、スティックを目の前に掲げて、下向きにして水平にくるくると回し始める。
「でもさ、こういうのって室内でやるもんだよね?」
まりやは疑問をもちかけてくる。
「多分、60人近い生徒が同時にくるくるとリボンをまわすのに、体育館が充分大きくないのではないかしら?」
瑞穂が答えた。
「うーん、そうかもね。結構場所とるしね。流石は名探偵瑞穂ちゃんよね。真実は100万コ!とか言って見得を切るのね」
そんな軽口をたたき合っていた時だった。
どさっ。
嫌な音だった。
瑞穂は音のした方向を振り返って叫んだ。
「紫苑さんっ!」
「「紫苑さまっ!?」」

「せ…せんせいっ!紫苑さまがっ!」
駆けつけた生徒が叫ぶ間もなく、瑞穂が紫苑を抱きかかえて、保健室へ掛けだした。
「お…おい!宮小路!」
先生があわてて瑞穂の後を追って保健室に向かっていった。
「み…瑞穂さん。また倒れてしまったのですね」
申し訳なさそうに紫苑は言った。
「大丈夫。もうすぐ保健室ですよ」
ブルマーから伸びるすらりとした足が韋駄天の如く駆けて行く。

「先生、紫苑さんは大丈夫なんですか?」
瑞穂は心配そうに保健医に訪ねた。
体育教師は紫苑の容態が悪くなかった事を確認すると、瑞穂に残って世話をするように言って授業に戻っていった。
「ええ、いつもの発作、といっていいのかしらね。どうしちゃったの十条さん?」
保健医は苦笑している。
「はい、授業ではしゃぎすぎてしまったのが原因です」
紫苑は答えた。
「今までのあなたらしく無いわね。ふふ。わかってますよ。宮小路さんの影響かしらね。以前のあなたと違ってとても明るくなってるもの」
「はい、そうですね。瑞穂さんのおかげですわ。うっ」
紫苑は少し顔をしかめて、胸の下を押さえた。
「十条さん。すこしブラを外した方がいいわ」
「はい」
そういうと紫苑はブラを外そうとした。
「くっ」
紫苑がまた顔をしかめると、保健医は瑞穂に言った。
「悪いけど、十条さんを手伝ってあげて」
「は、はいぃ」
何故か顔を真っ赤にする瑞穂。
「ん?どうしたの。宮小路さんは恥ずかしがり屋さんなの?」
「あ、はい・・・じゃなくていいえ。そんなことは」
「瑞穂さん、お願いします」
紫苑は体操着の上をまくりあげると背中を向けた。

ロングブラのホックは普通のブラが1個か2個で留めるところを9個くらいで留めている。ぽちっぽちっ。と、下側からブラのホックを外していく。
さすがに毎日ブラをするようになってからは、瑞穂もブラの留め外しは手慣れたものになってしまったので戸惑うことはないが、
果たして男がこんなに女性用下着の着脱に慣れてしまってもいいのだろうかと、瑞穂は疑問に思ってしまった。
「ふう。やはり締め付けがきついのはダメですね」
紫苑はひとごこちついたかのように、息を吐いた。
「そうね、十条さんはここに手術痕もあるし、隠したい気持ちは判るけどね。あんまり押さえつけちゃダメよ」
左の乳房下あたりを指さしながら保健医は言った。

「あ、あの・・・そんな話の時に私がいてよかったんですか?」
瑞穂はあわてた。
「瑞穂さん。いいのよ。あなたには聞いてほしかったんですの」
紫苑はにっこり微笑むと瑞穂に向かって、傷跡を見せた。左のバストのすぐ下に小さいけど手術の傷あとがあった。
「わたくしね、生まれつき肺に奇形があるの」
紫苑は続けた。
「!!」
瑞穂は驚いた。
「去年、エルダーに選ばれた直後だから7月はじめですわね。発作が起きて、胸を切って中に溜まった膿を排出しないと生死にかかわるという状況になってしまいました。
秋に一度学校には戻れたのですが、また再発して・・・結局出席日数が足りなくて留年してしまったんです」
紫苑の話は結構ヘビーだった。
瑞穂は紫苑が病気で留年をした。と言うことはまりやから聞いたが、病気がどんなものでどんな状況だったのかは知らなかった。
「わたくしも女のはしくれですから、やはり見られるとつらいのです。だから、皆さんにランジェリーを見られる体育の授業にはロングブラで登校してきたんですわ」
「そうね。十条さん。もともとロングブラはストラップレスでブラをしたいとき用の補正下着なんだから、もう少しアンダーバストが飾りになっているものにした方がいいわね」
保健医の先生は笑って諭した。
そういえばこの先生、緋紗子先生と仲が良かったんだよなー。ふんわりとした雰囲気で似たもの同士なのかな。と瑞穂は思った。
「ともかく、傷あとの件は皆に気づかれないようにした方がいいですね」
瑞穂は紫苑に尋ねた。
「じゃあ、これもわたくしたちだけの秘密と言う事にしましょう」
紫苑は微笑んだ。

(うふふ。瑞穂さんと共有する秘密がまた出来てしまいましたわ。)紫苑は独りごちる。去年、倒れてから腫れ物をさわるように距離をとっていった級友たち。
病気であることを知って、紫苑に負担を掛けないようにしてくれたのだと思うのだが、やはり寂しさは大きかったようだ。
エルダーに選出された後では、エルダーであるが故に後輩たちからも神聖化され距離をとられてしまった。

(瑞穂さんはそんなわたくしの心の壁をポンと乗り越えて来てくれた。去年あれだけ腐心していたのにもかかわらず、同級生から離れてしまった自分という存在を、一瞬でわたくしが渇望していた位置に戻してくれた。瑞穂さん。ありがとう。大好きよ。)紫苑は心の底から瑞穂に感謝した。

さて、宮小路瑞穂嬢がブルマー姿で校内を駆け回り、新体操のリボン演技で同級生たちを悩殺しまくり、あまつさえ紫苑を助けるために再び白馬の王子様を演じたという事は、ものの
半日もかからずに全校に広まった。これは瑞穂のエルダーの地位を揺るぎないものにするのに充分すぎたのは言うまでもない。しかも、恵泉女学院内に秘密結社『お姉さまにレオタードを着て新体操をしてもらう会(会長 御門まりや)』が結成されるというおまけまでついた。ちなみに会員数は745名というかつて無い規模の秘密結社だったという。

「ぼ・・・僕にレオタード着て新体操しろっていうの!」orz。瑞穂の落ち込みようはいかばかりであったろうか。だが瑞穂は知らない。もうすぐ体育の授業に水泳が登場し、また一悶着起きる事を。

(『紫苑さまのひみつ』おしまい。)

※:本当は倒れた人を抱きかかえて連れ回すのは良くありませんよ。瑞穂さん。

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始めました。

どもっ。あまのです。

「処女(乙女)はお姉さまに恋してる」のSS始めました。

ふふふ。なんか「冷やし中華始めました」みたいですね。

ラーメンと言えば、小笠原流作法にはハンバーガーやラーメンなどの

下々の方が食されるようなものを食べる時のマナーもあるのです。

(マリみての祥子さんが、ハンバーガーを目の前にしてナイフとフォークを

探していたのも小笠原流作法に則ってみると当然の事。奥が深いですわ。)

即席ラーメンの発明者安藤百福さんが亡くなったという記事が新聞に載って

いてびっくり。ラーメンつながりな話題ですが、ご冥福を祈ります。

脇道のそれちゃいましたが、ココはたま~に、煩悩にまみれた妄想娘の脳みそ

からあふれたモノを上げてみたり、習作の下書きをアップしてみたりします。

(下書きは某チャットの先生に見せたら消しちゃう事がありますが、運が良ければ

見られるかもしれません。)

というわけで。恵泉女学院物語のはじまり、はじまり~、

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